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ペルの本性


ヴィルソル:魔界


 数日使ってやっと魔界に着くことができた。エイトシターたちにはルハラと一緒にくることは伝えていたが、やはり魔界の皆は我が戻ってきたと言って嬉しそうにはしゃいでいた。我がいない間でも、ラウドたちの協力でそれなりに活気が戻ってきたという。少しほっとした。


 我とルハラはすぐにエイトシターの所へ向かい、あの間奏部分の所を聞かせた。


「ふむ。やはりこれは古代に使われた呪文ですね」


「呪文?」


 呪文。おそらく、ラールと似た力の一種のようじゃな。我はそう思っていると、エイトシターは話を続けた。


「呪文はもともとある文字を口で言い、魔力を発する技です。ただ、かなり古代の技なので現代で使える魔力使いはほんの一握り……もしくはいないでしょう」


「しかし、ペルさんはこの文章を知っている。そして何らかの意図で間奏部分にこいつを入れた」


「ヴィルソルの言う通りだね。なんかペルさんが怪しく見える」


 ルハラはこう言って、用意されたお菓子やお茶を飲み始めた。


「早く戻ろうよ、ヴィルソル。皆が心配だよ」


「慌てるのは分かるが、ここから戻るまでは時間がかかる。今話したことを電話で皆に伝えよう」


 とにかく我とルハラが戻るまで、ペルさんの見張りをケンジたちに任せよう。そう思いながら、我は携帯を手にして皆に連絡を始めた。しばらくコール音が鳴っていたが、少ししてヴァリエーレの声が聞こえた。


「もしもしヴィルソル、何かあった?」


「ヴァリエーレか。やはりあの間奏部分は古代に使われた呪文と言われる魔力を使った特殊な技じゃ。聖域へ行くことができるラールと似た力じゃ」


「呪文? ラールや海の遺跡で使われたのと一緒の力?」


「多分一緒じゃろう。使い方は違うが、仕組みは同じじゃ。ペルさんは何らかの理由で間奏部分にそれを入れた。何を考えているか分からんが、今回の事件の黒幕の可能性がある。気を付けてくれ」


「分かったわ。二人も気を付けて戻ってきてね」


「うむ」


 会話を終え、我はルハラの元へ戻った。


「お疲れ。で、皆の元に戻るの?」


「そうしたいのじゃが、もうバスはない。魔力を使って飛んで帰っても、すぐに魔力が切れる」


「ええ、確かにもうバスはないですね」


「今日はここで一晩泊まる。明日の一番のバスに乗って戻ろうと思う」


「分かりました。ヴィルソル様、皆がヴィルソル様のお戻りを待っていましたので、お話をしてきてはどうでしょうか?」


 そうじゃのう。魔界に戻ってきたのは久しぶりじゃ。エイトシターたちはちょいちょい話をしていたが、魔界に住む者と話すことはしていなかった。エイトシターの言う通り、皆と話してくるか。皆には悪いが、リラックスしよう。


「ルハラ、我は外で皆と話してくる」


「オッケー。久しぶりの故郷だし、ゆっくりしなよ」


「すまぬ。ルハラも我の部屋を使って休んでくれ」


「それじゃあお言葉に甘えて。先に部屋にいるね」


 その後、我は外へ出て行った。それから住人たちと話をしていたが、ケンジたちのことが心配だ。変なことが起きなければいいんじゃが……。




 同時刻、仕事を終えたペルは愛車に乗り込み、どこかへ向かって走らせていた。到着した場所は人里離れた廃墟。ペルは入口に入り、周囲を見回した。


「おーい、全員いるか?」


 と、大きな声を発した。それに合わせるかのように、廃墟の明かりが点いた。その中には騒動を引き起こしている裏ギルド、ガルートスの連中がいた。


「ゲヘ……ヘヘヘヘヘ……」


「ハッ。いくら裏ギルドのボスでも、呪文を聞けば俺の思い通りに動く。こりゃー素晴らしいぜ」


 ペルはそう言ってガルートスのボス、ドストの頭を叩いた。


「こんなことしても、俺に反撃することはないし、文句を言わない。ケケケケケ」


 そう言った後、ペルは魔力を発して言葉を発した。


「ノギーツ、ハキーゴウ、オーオリリ、ニメータウラーネ、デウヨージイカトンベーイ、ロシーギワサーオー」


 呪文を放った後、ガルートスの団員たちの体は痙攣をし始めた。しばらくし、イエッサーと返事をした。


「イベントは四日後だ。ギルドの連中もうろうろしている。それまで絶対に静かにしろ。誰にも姿を見せないように動け」


 続けてペルがこう言うと、ガルートスの団員たちはペルに向かってイエッサーと返事をした。その時、ペルは物音を耳にし、急いで窓の方へ受かった。窓を動かして外を見たが、そこには何もいなかった。


「人の気配がしたが……気のせいか」


 ペルはそう呟き、アジトから出て行って愛車に乗り込んで去って行った。ペルが乗る愛車の姿が見えなくなった後、隠れていたジョンが姿を現した。様子がおかしいと思ったジョンは、ガルートスについて調べていたのだ。


「はぁ、恐ろしい奴だな。あいつがガルートスの連中を操っていたのか」


 そう呟いた後、ジョンは窓をばれないように開き、中の様子を見た。ガルートスの団員たちは皆、生気を失ったかのように立っていた。試しに石を投げて当ててみた。だが、石を当てられた団員は何も反応しなかった。


「おいおい、マジかよ……何も反応しない」


 ジョンは小さく呟いた後、こっそりアジトの中に入ってみた。だが、それでも団員たちは反応を示さなかった。もしかしてと思い、ジョンは銃を取り出して発砲音を鳴らした。それでも、団員たちは反応しなかった。


「こりゃー完全に操られているな。ペルって奴、確か呪文って言っていたな……恐ろしいものがあるのか……こりゃまずいぞ」


 ジョンはずっと立っているガルートスの団員を見て、恐怖を覚えていた。


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