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今度はこっちが仕掛ける番だ


成瀬:リーナ姫の部屋


 リーナ姫の涙を見て、皆はクァレバの連中を倒すことを決めた。私もそう。ああいう外道連中を見逃すわけにはいかない。だけど、クァレバのアジトがどこにあるのか知らない。今クァレバの侵入者を取り調べ中というけれど、まだ取り調べは続いているのかしら?


「剣地、今取り調べってどうなっているか分かる?」


「いや分からん。騎士団でもそんな話は一切なかった。多分あいつらが口を開かないだけだと思う」


「そうね……」


 この時、私は宿屋での火事を思い出した。宿屋で騎士団を殺したアサシンは口封じのため、仲間に殺された。もしかしたら、クァレバは誰かが秘密を洩らしたら殺すというルールでもあるのかしら?


「姫、取調室の場所を教えてほしいのですが」


 と、ヴィルソルが姫にこう聞いた。


「取調室は地下になります。地下への階段は騎士団の部屋にあります。どうかしましたか?」


「我が奴らと話をしてくる。無理矢理アジトの場所を聞きだしてくる」


 そう言って、ヴィルソルは部屋から出て行った。


「大丈夫かしら? ヴィルソルは魔王よ、魔王が取り調べしたら……」


「大丈夫だよ、ナルセ」


「あいつらは酷いことをやらかした。きっつい罰を与えないと」


 ティーアと剣地が私にこう言った。うーん……変なことにならなければいいけれど。




ヴィルソル:取調室


 この城の取調室はかなり薄暗いな。部屋を照らすのはたった一つのランプだけだ。なるほど、辺りを暗くして相手の恐怖心を煽り、言葉攻めなどで相手の口を開かせるやり方をしているな。


「我はヴィルソル。姫の護衛を頼まれたギルドの戦士だ」


「ギルドの人ですか……どのようなご用件で?」


「我が奴らの口を開かせる。部屋に入れろ」


「そう言われましても、担当が今取り調べをしていまして……」


 兵士はそう言っているが、中から聞こえるのは下品な笑い声だけ。どうやら、取り調べをしている兵士はクァレバの奴に馬鹿にされておる。


「我がやる。こんな調子じゃあ話を聞くのに千年はかかる」


 我は部屋に入り、取り調べをしていた兵士を椅子からどけた。


「あとは我がやる。貴様はそこで我の取り調べを見ているがいい」


「はぁ……」


 我が椅子に座ると、目の前の男は軽く口笛を吹いた。


「女の子か。いいねぇ、さっきの兵士君じゃあ話し相手にもならなかったよ」


「我を子供だと思うなよ。早速貴様の拷問を始める」


「は? 拷問?」


 我は男の首元を力強く掴み、机の上に男の顔面を叩きつけた。


「ガハァッ!」


「吐け。貴様らのアジトはどこだ?」


「けっ、言えるわけねーだろそんなこと」


「なら、もう少し痛めつけてやろう」


 我は右手の闇の炎を発し、男の顔に近付けた。


「ヒィッ! 何だ、その炎は? 見たことねぇ」


「闇の魔力だ。これは普通の魔力とは少し違うぞ。その身で試してみるか?」


 闇の炎を男に近付け、少し焼いてやろうと我は思った。闇の炎は普通の炎と比べ、威力も熱さも倍以上ある。そんなものを直に受けたら、火傷どころじゃすまないが、我はそんなものを男に近付けた。


「アヅァァァァァ!」


「どうだ、熱いか?」


 我はこう言いながら、更に炎を近づけた。炎を浴びる男の顔は、段々と苦痛の色を見せてきた。


「熱い! 止めてくれ、これ以上こんなもん受けていると腕が焼け落ちる!」


「じゃあ貴様らのアジトを教えろ」


「教えたら、裏切り者とされてリーダーに殺される!」


「そうか。なら、ここで死ね」


 我は愛用の武器である鎌を装備し、男の首に近付けた。刃の冷たい感覚が首筋に走ったのか、男は泣き叫んだ。


「お願いします! お願いします! 何でもしますから命だけは許してください!」


「じゃあアジトと貴様らのリーダーのことを教えろ!」


「だけど……教えたら俺は……」


「貴様の命など知ったことか! 兵士たちを虐殺し、姫の心を傷つけた輩の命など、我は知らん!」


「しょ……しょんなぁ……」


「さぁ言うか言わないか。どちらにする?」


 黙り込んだ男に、我はこう聞いた。しばらく間を開けた後、男は我にこんなことを聞いてきた。


「どの選択が助かると思います?」


「知るか。自分で考えろ」


「アジトとリーダーのことを教えます。なので、命だけは助けてください」


 よっしゃ。これでアジトとついでにリーダーのことが聞けたぞ。取り調べ担当の兵士もこれで分かっただろう。力でどうにかすれば話は聞きだせると。




ヴァリエーレ:リーナ姫の部屋


 数分後、ヴィルソルが戻ってきた。手には大事そうに資料を持っていた。


「皆! クァレバのアジトが分かったぞ!」


「マジか! よくやったヴィルソル!」


 ケンジがヴィルソルに近付き、頭を撫でた。この時のヴィルソルの顔は、満面の笑みをしていた。


 その後、ヴィルソルは持ってきた資料を広げ、私たちに見せた。それは地図であり、そこにクァレバのアジトらしきところに赤いバツ印が記されていた。


「ナルセ、地図を出せる端末はあるか?」


「うん」


 ナルセが端末を出し、周辺を調べた。


「どうやらここから離れた場所にあるみたい。結構山の中にある」


「男が言うには、アジトは砦のようになっている。それに砦には高い見張り台があるから、それを目印にしろと言っていた」


「よーし! 早速行くぞ!」


「待ちなさいよ、バカ!」


 ナルセが張り切るケンジを抑えつけた。


「いい? ここからは半分に別れて行動しましょう」


「そうだな。アジトに乗り込むのとリーナ姫の護衛で」


「そう。慎重に決めないとね……」


 それからしばらく話し込んだ結果、こんな結果になった。


リーナ姫の護衛チーム

ナルセ、ヴァリエーレ……つまり私、ティーア


アジト壊滅チーム

ケンジ、ルハラ、ヴィルソル


 話をしていると、リーナ姫が私たちの話を聞いていたのか、私に近付いてこう言った。


「あの、ケンジさんたちは大丈夫なのでしょうか?」


「ええ。ケンジは前にも似たようなことをしていますので」


「そうですか……」


「なーに。いざとなったら我の闇の魔力で一気にアジトを崩壊させてやる」


「私の魔力も負けてないよー」


 ケンジとルハラ、ヴィルソルはもう張り切っている。その光景を見て、私は少し微笑んだ。


「成瀬も気を付けろよ、もしかしたらあの連中がまた侵入してくるかもしれねーからな」


「分かっているわよ」


「ブチ切れて城を壊すなよ」


「余計なことを言わなくていいの!」


 ナルセはケンジの背後に回り、首を絞めた。いつも通りの感じだし、この作戦も成功するだろう。




ティーア:リーナ姫の部屋


 翌日。ケンジたちアジト急襲チームはもう朝早くに出て行ったらしい。ここからアジトまでは片道二日はかかるらしい。ルハラとヴィルソルはその間ケンジとイチャイチャするだろうな。ちょっと羨ましい。そんな中、黒い車が城に入ってくるのが見えた。こんな朝早くから誰がきたのかな?


 その後、私たちは朝食を食べた後、リーナ姫の護衛に着いた。何事もなく時が流れているが、いつ、どんな時に侵入者が襲ってくるか分からないため、私は周囲を何度も見渡していた。そんな中、電話の音が鳴り響いた。


「もしもし、リーナですが」


「姫様。ピレプ大臣が戻ってまいりました。お話がしたいとのことですが……」


 ピレプ。ケンジからこいつのことは聞いている。リーナ姫の暗殺をクァレバに依頼した男。つまりはこの事件の黒幕である。じゃあ、さっき城に入ってきた車にはピレプが乗っていたのか。


「ピレプ大臣が?」


 リーナ姫は返答に困り、私たちに助けを求めた。私はナルセとヴァリエーレに相談し、それで出た答えをリーナ姫に伝えた。


「すみません。今は会えないと返事をしてください」


「そうですか。では失礼します」


 そう言って、電話の相手は会話を終えた。ピレプっておっさん、どうしてリーナ姫に会おうとするのだろうか? 何か怪しいな。


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