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家光の本気


剣地:海の遺跡


 あの野郎……今まで手を抜いて戦っていたのか。見た目でひょろひょろした野郎だと思っていたが、まさかこんな体だと思わなかった。


「では行きますよ」


 家光はそう言って刀を構えて俺の近くに接近してきた。すぐに攻撃するだろうと予感できたが、家光は俺が予想していたよりも凄い速さで刀を振ってきた。


「ググッ!」


 金属同士がぶつかり合う音、そして風を切るような音が聞こえた。両手には、まるで走っている大型トラックを抑えていると思うような重い一撃を感じた。家光の野郎、こんなに力があったのか。


「あらら、余裕ではないようですねぇ」


「この野郎!」


 俺は銃を装備して家光に向けて発砲した。だが、家光は刀で弾丸を地面に弾き飛ばした。嘘だろ、魔力を込めた分威力もスピードも上がっているのに、見切ったのか!


「豆鉄砲を使っても無駄ですよ。その動き、もう見切っていますよ」


「じゃあこれはどうだ?」


 俺はガトリング砲を取り出し、家光に向けて乱射した。しかし、家光は目にも見えない速さで剣を振るい、飛んでくる弾丸を叩き落としてしまった。


「嘘だろ……」


「豆まきはもう終わりですか? 節分の時を思い出しますねぇ」


 こうなったら魔力だ。俺は光を発し、家光に向けて光の刃を飛ばした。


「光の魔力ですか……」


 おっ、家光は嫌そうな顔をした。家光は飛んでくる光の刃を飛んで回避し、俺に向かって走ってきた。弱点は分かった。光や闇の攻撃が苦手のようだ。と言うか、今の状況じゃあ対処できないようだ。それだけ分かれば上等だ。俺はそう思いながら、闇を発して家光の動きを封じようとした。


「グッ!」


 闇の重力のせいで、家光は闇の方に引っ張られていく。さぁチャンスだ。俺は再び光の刃を発し、家光に攻撃を仕掛けた。


「グウッ!」


 やっと攻撃が命中! 俺が放った光の刃は家光の体に大きな傷を作った!


「酷いことをしますね……体の傷が増えちゃったじゃありませんか」


「うるせー。これだけ傷があるから、一つ傷が増えてもあまり変わらないだろうが。気にすることか? 意外と女々しいんだな、お前」


 俺は剣を構えて家光に向かって走って行き、何度も斬りかかった。しばらく攻撃をしていたが、家光は立ち上がって俺を蹴り飛ばした。チッ、かなり強烈な蹴りだ。内臓まで響いた。


「やれやれ……私の邪魔をする子供はお仕置きをしなければいけませんねぇ。少し怒りましたよ」


「黙れ! 偉そうに上から目線で口を開くな、クソ野郎! オメーの時代は終わってんだよ!」


 俺と家光は剣を構え、互いに向かって走っていた。だが、突如発生した火花が俺と家光の間に割り込むように現れ、大爆発した。


「グアッ!」


「あらまぁ……向こうも向こうでかなり激しい戦いをしているみたいですねぇ……」


 家光は苦しそうに口を開いた。光の刃のダメージが効いているようだ。俺は追い打ちをかけるために家光に向かって走って行った。しかし、家光はズボンのポケットから何かを取り出し、地面に叩きつけた。そこから発生したのは煙だ。煙は俺の目や口の中に入り、ムズムズし始めた。クッソー、この隙に家光が逃げてしまう。ああもう、また逃がしてしまった。あと少しで倒せたのに。




成瀬:海の遺跡


 そろそろアセックとの戦いを終わらせないと。後は私だけのようだ。どうやら、また家光の野郎は逃げたみたいだ。


「グッ……他の連中は皆倒されたのか……」


 アセックは仲間が全員倒されたことを察し、少々焦り気味のようだ。私は剣を持ち、接近戦を挑んだ。ささっとアセックを倒そうと考えたからだ。だが、アセックは焦るどころか少しにやりと笑っていた。


「接近戦か。好都合!」


 何で都合がいいのだろう。そう思っていると、アセックは戦いで疲れて休んでいる皆に向けて炎を発した。まさかこいつ、皆を人質にするつもりか!


「うわっ! 何だ、この炎!」


 家光との戦いを終えた剣地が剣を振り払って炎を消そうとしたが、その瞬間に大爆発を起こした。


「グァァァァァ!」


「ケンジ!」


 助けに行こうとしたティーアだったが、アセックが放った炎がティーアの体に命中した。その直後、その炎は大爆発を起こした。


「グッ……あの野郎、我らの行く手を阻むつもりか!」


「これじゃあ二人を助けられない!」


 ヴァリエーレさんとヴィルソルが炎に取り囲まれた。ルハラも周りを見て、炎に囲まれたことを察した。


「嫌なことをする相手だなー。止めた方がいいよー」


 と、ルハラはアセックに向かってこう言った。その言葉を聞いたアセックは大笑いを始めた。


「何故だ? 貴様らを仕留める絶好のチャンスだ! 止めるわけがないだろ!」


「あっそー。じゃあ命失っても恨まないでねー。忠告はしたから。どうなっても知らないよ」


「は?」


 どうやらルハラは今の私の心境を察しているようだ。ヴァリエーレさんとヴィルソルもアセックを見て呆れた表情をしている。


「どういうつもりだ? 何だ、その顔? どうして緊迫した表情をしない?」


「こういうことよ。クソ野郎」


 私は魔力を開放し、アセックに接近した。そして強烈な拳骨でアセックの脳天に攻撃を仕掛けた。


「グギャァ……」


「まだまだよ」


 私は拳を強く握り、アセックのみぞおちに向かって何度も殴った。


「うげぇ……」


 アセックは苦しそうにうめいた。もう十分アセックはダメージを負ったと思うが、それで私の気はすまない。


「あーあ、ナルセが怒っちゃったよ」


「我はもう知らぬ。皆、避難の準備だ。それと、ケンジと勇者の治療もするぞ」


 ルハラとヴィルソルはため息とともにこう言った。アセックがダメージを負ったおかげでルハラたちを取り囲んでいた炎は消えていた。炎が消えたことを察したルハラたちは急いで剣地とティーアの治療を始めた。さぁ、これで心置きなくあの野郎をぶっ倒すことができるわ!


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