難関は続く
シーアは船長室で唸り声を上げていた。剣地たちから連絡がこないからだ。船員たちはその様子を窓から覗いていた。
「船長、不安そうだね」
「海に入って何時間は経過しているけど、連絡はないってさ」
「ケンジたちだから大丈夫だと思っていたけど……今回は海の底だし、命の危険があるかも」
「フェッフェッフェ、あんまり不安なことを口にしない方がいいぞ、お嬢さん」
会話中にアラマー博士がやってきた。アラマー博士の両手には、釣り竿とクーラーボックスがあった。それを見た船員は、呆れた顔でこう言った。
「呑気だねー。ケンジたちが不安じゃないのかい?」
「不安さ。じゃが、わしらに何ができる? 帰ってくるのを待つしかない」
「そりゃーまぁ、そうだけどさ」
「釣りをするのは気を紛らわすため。何かをしないと、落ち着かないからのう」
アラマー博士は近くに座り、釣り糸を垂らした。そんな様子の博士を見て、船員たちはため息を吐いた。
「ま、博士の言う通りだね」
「ケンジたちの無事を祈ろう」
「さーて、見回りでもしますかー」
と言って、散り散りに去って行った。シーアは海の方を向き、剣地たちの無事を祈った。
ヴァリエーレ:海の遺跡
ビークが倒れた後、私たちは先へ進んだ。しばらく歩いていると、また部屋が見えた。
「今度はなんだろう」
「ろくでもない罠の可能性が高いのう。注意しておけよ」
ティーアとヴィルソルの会話が聞こえた。二人の言うとおりだ。この遺跡の罠は確実に侵入者を殺しにかかっている。しかし、いつになったら海の書の部屋に着くことができるのだろうか。
「行きましょう」
「うん」
「ああ」
私たちは部屋の中に入り、すぐに武器を構えた。すると、入ってすぐに鉄格子が落ちてきた。
「さっきと同じだね」
「もう驚かんぞ」
「う……嘘でしょ……」
私の声を聞き、ヴィルソルが私の方を振り向いた。
「何じゃ、まだ鉄格子の落ちてきた音で驚いたのか?」
「あ……あれ……」
私は指を指して目の前の光景を二人に見せた。二人も目の前の光景を見て、目を丸くして驚いていた。
「あれは……ブレア!」
そう。マスカレードファイトで私たちと戦ったセブンワーオン元社長、ブレアが現れたのだ。ブレアはあの騒動の後、処刑されたと聞いた。だが、あいつの体は全身真っ青。それに青いオーラを纏っている。
「見て二人とも」
ティーアが上を見るように私たちを促した。あの青いオーラが私たちの周りで発していたのだ。気が付かなかった。いつの間に発していたのだろう。
「私たちの記憶をよんであいつを出したのね」
「じゃあ……もしかしたら……」
「過去に戦った敵が出てくるかもしれんの」
私たちが話していると、ブレアの幻は私たちに襲い掛かった。あの時よりも私たちは強くなった。必ず倒してやる!
剣地:海の遺跡
何とかデストロイサーカスのイサイラを倒した。倒したというか、ルハラのセクハラで倒れたというか……まぁ倒したと言っていいよね。
俺たちは先へ進み、次の部屋へ向かっていた。どうせまた似たような部屋があるのだろうな。
「一体いつになったら海の書の所に到着するのかな?」
「まだまだかもしれないな。そもそも歩いている道が間違えているかもしれない。正解だと祈って歩こう」
「そうね。正解であることを祈りましょう」
俺たちが会話をする中、あの青いオーラが急に現れた。それを見て、俺は嫌な予感がした。
「成瀬、ルハラ。走る準備をしてくれ」
「ええ、分かったわ」
「何がくるか察しているよー」
俺の声の直後、後ろから大きな石が落ちてきた。そして、俺たちに向かって転がってきた。
「やっぱりこの手の罠か。原始的だな」
「改めて思うけど、この遺跡罠だらけだねー」
「のほほんと話している場合じゃないわよ。二人とも、危ないから下がって」
と、成瀬は魔力を開放し、大きな闇を出して大玉に向かって放った。
「闇で大玉を飲み込む考えだね」
「うまくいくかどうか、一か八かの賭けだけど」
成瀬が答えた後、大玉が転がってくる音が聞こえた。
「青いオーラが攻撃の邪魔をしているみたいね」
「成瀬、早くこい!」
「分かったわ!」
返事をした成瀬は魔力を開放し、空を飛びながら俺とルハラの手を掴んだ。どうやら、部屋で発生している青いオーラがここにも現れ、成瀬の邪魔をしたのだろう。
「このままどうするの?」
「次の部屋まで飛ぶわ。捕まって!」
その後、俺とルハラは成瀬の手を掴んだ。成瀬は俺とルハラの手を掴んだまま、空を飛んで次の部屋に飛んで行った。
しばらくすると、次の部屋の入口が見えた。成瀬はその手前で俺とルハラを下ろし、部屋に入った。
「今度は何かなー?」
「アトラクションじゃないから。魔力を開放して武器を構えていましょう」
「成瀬の言うとおりだ。青いオーラが充満しているぜ」
俺がそう言った直後、青いオーラが徐々に形を作って行った。その形を見て、俺たちは驚いた。その形はリーナ姫の命を狙った裏ギルド、クァレバのリーダーのレッジだった。
「私たちの記憶を探って作ったみたいだね」
「ちょっと待って、まだあるわ」
成瀬がそう言うと、新しい青いオーラが発し、同じように形が作られて行った。その形を見て、俺は嫌な記憶を思い出した。あの姿はヒレラピの一人だったクナブだ。しかもすでにサキュバスになっている。
「俺たちの記憶を元にして作ったつもりか、あいつらはもう戦えないし、この場にいない。あいつらは偽物だ!」
俺は銃を撃って偽物を攻撃したが、偽クナブはツタを発して俺が放った銃弾を防いだ。その隙にモンスタースキルの状態のレッジが迫ってきた。
「どきなさい!」
成瀬が剣を振るってレッジに反撃をしたが、レッジは後ろに下がって攻撃をかわした。
「どうやら攻撃も力も同じのようだね」
「苦戦するな……こりゃ」
俺はため息を吐いてルハラにこう答えた。
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