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剣地の最終兵器


剣地:城内の廊下


 俺の耳に大きな破裂音が聞こえた。相手の隙を見て後ろを見ると、ティーアに斬られたのか、男の体から光と闇の波動が現れていた。そして、斬られた男はその場に倒れた。


「向こうは終わったみたいだな」


 俺はそう言うと、剣を構えた。


「クソッ! エバーソン、起きろ、クソッたれ! チッ、あんなガキにやられやがって!」


「あんたもすぐに倒してやるよ!」


 俺は男に向かって飛び蹴りで攻撃し、後ろの壁にぶつけた。


「ウグッ!」


 壁に激突し、男は体を強打した。俺はその隙を狙い、ハンドガンで男を狙って撃った。だが、男は体を回転させながら移動し、俺の撃った弾丸をかわしていった。


「意外とやるようだな」


 男は両手に水を発生させ、地面にぶつけた。


「少し本気で行くぞ」


 地面にぶつかった水は、エバーソンというティーアが倒した男が殺した兵士の体に命中した。一体何が起こる?


「さーて、この人数を相手に勝てるかな?」


 なんと、相手は水の魔力を使い、殺された兵士を操り人形のように動かしたのだ。


「さぁさぁ、かかってこいよ!」


 俺は攻撃をかわしつつ、銃で相手を打ち抜こうと考えていた。だが、その考えはすでに見抜かれていて、あいつの目の前には盾代わりなのか、兵士がいた。殺した相手をこんなことに使いやがって、絶対に許せない!


「皆、すまない!」


 俺は殺された兵士にこう言うと、両手に剣を装備して攻撃を始めた。


「へぇ、結構容赦ないのね」


 男は俺の戦う姿を見て、笑いながらこう言った。この言葉、マジでむかつく! 目の前の兵士の死体を切り倒し、俺は男の前に立った。


「くたばれ! クソ野郎」


「くたばるのは貴様の方だ」


 男は手を開き、俺の腹を触ろうとした。何かするだろうと察した俺は手にしている剣で男の腹を突き刺そうとした。だが、互いの攻撃は途中で止まった。


「水を当てようとしても無駄だぜ」


「剣で刺すなよ、痛いだろ」


 俺ら二人は言葉を交わすと、睨み合いを始めた。


 この状況は本当に嫌だ。相手は水の魔力を飛び道具のように使う。遠距離戦になるのは間違いないが、俺が打った弾丸は相手には効かない。また氷漬けにされるだろう。


 一度ルハラから聞いたことがある。一部の水を使う魔力使いは、冷たい水を霧にし、周囲を凍らせることができると。それと、水を凍らせて武器にもできる。相手は多分……いや、確実に水の魔力を使いこなしているだろう。


「お前がこないなら、こっちから行くぜ」


 男は両手に氷で作ったナイフを構え、俺に向かって投げつけた。


「アイスナイフの切れ味は抜群だぜ! 回避しないと大変なことになるぜー!」


 俺は銃を取り出し、氷で作られたナイフを打ち落とし始めた。このままじゃあ防戦一方だ。どうすればいい?




成瀬:リーナ姫の部屋


 なんだか嫌な予感がする。剣地の奴、苦戦しているかもしれない。私の予感はたまに当たるが、当たるのは嫌な予感ばかりだ。


「どうしたの、ナルセ?」


 私の様子を察したのか、ヴァリエーレさんが声をかけてきた。


「剣地の所へ行こうと思います。ヴァリエーレさん、ルハラとヴィルソルと一緒にリーナ姫を守ってもらえませんでしょうか?」


「援軍に行くのね? 分かったわ。気を付けてね」


「はい」


 その後、私は部屋を飛び出し、剣地の魔力を探し始めた。どうやら、少し離れた所にいるらしい。近くにはティーアの魔力を感じる。そして、何者かの魔力も感じる。数は二つ。一つは大きいけど、もう一つはうっすらと感じている。ティーアか剣地が倒したのだろう。とにかく、早く援軍に行かないと。




剣地:城内の廊下


 俺はあの男の魔力切れを狙っている。何度も何度も飛んでくるナイフを打ち落としているが、隙を見て前進している。


「ガンマスターのスキル持ちかな? 厄介だねぇ」


「何だ、銃で撃たれてやられたいのか?」


「痛そうだから遠慮するよ!」


 男はナイフを投げてこう言った。俺はそのナイフを打ち落とすと、それに合わせて男が動きを見せた。俺は標準を合わせて銃の引き金を引こうとしたが、弾は切れていた。


「やべっ!」


「この時を待っていたよ」


 男は両手に氷の剣を持ち、俺に襲い掛かった。俺はすぐに剣を装備し、男の攻撃を対処した。廊下中に剣と氷がぶつかり合う音が響く、だがその激しいぶつかり合いで互いに傷はなかった。


「やるじゃん」


「お前のようなクズに褒められてもうれしくねーな」


「はは。素直に喜べよ、クソガキ!」


 男は俺の腹めがけて蹴りを入れようとしたが、俺はその足を剣で突き刺した。


「グアッ!」


 男は悲鳴を上げ、攻撃の手を止めた。やるなら今しかない。


 俺は体勢を崩した男に接近し、両手に持った剣で激しい攻撃を始めた。男は両腕を氷で固めて盾代わりにしているが、俺の猛攻撃に耐え切れず氷は削られていく。それに、俺の攻撃は男の体全体を襲っていた。腕だけではなく、足や胴体部分、防御しきれない個所を全て攻撃した。


「こりゃやばいな……」


 男は両腕の氷を弾き飛ばし、その衝撃で俺を吹き飛ばした。俺は後ろへ吹き飛んだが、大したダメージはなかった。だが、その隙に男はどこかへ行ってしまった。


「逃げたか……」


「ケンジ! こっちに逃げたよ!」


 と、ティーアが俺に駆け付けてこう言った。


「どこだ?」


「あそこ、床を凍らせて滑るように逃げるのが見えるでしょ?」


 ティーアの言うとおり、男は床を凍らせ、滑るように逃げていた。俺は深呼吸をし、リボルバーを取り出した。


「何それ?」


「リボルバーって種類の銃だ。扱う弾丸が拳銃よりも大きいから威力も強い」


 俺はリボルバーに魔力を注ぎ込み、狙いを定めた。


「撃つ時、結構音がでかいかもしれないから耳塞いでおけよ」


「オッケー」


 俺は狙いを付け、男に向けて引き金を引いた。この瞬間、俺はリボルバーに魔力を注いだ時のことを思い出した。普通に魔力を注いだだけだが、なぜかいつもと違っていた。そのせいか、俺が引き金を引いた瞬間、大爆発が起きたような音が起きた。そして、とんでもないスピードで弾丸が男に向かって発射され、男の足を打ち抜いた。


「グアッハァッ!」


 男の悲鳴が周囲に響いた。銃弾を打ち抜かれた衝撃で男は吹き飛び、壁に激突した。俺とティーアは男に近付き、様子を調べた。


「死んではいないね。気絶しているみたい」


「そうか……」


 とりあえずは、戦いは終わったようだな。俺は安堵の息を吐き、その場に座った。すると、後ろから成瀬の声が聞こえた。


「剣地、ティーア! 大丈夫!」


「俺は大丈夫だ。切り傷はできたけど」


「ちょっと痺れがある。でも動けるから心配ないわ」


「とりあえずは大丈夫のようね。よかった……」


 成瀬は本当に心配していたのか、ちょっと涙目になっていた。




剣地:リーナ姫の部屋


 その後、俺とティーアが倒した二人組は兵士が連行した。で、俺とティーアはリーナ姫の部屋に戻っていた。


「侵入者との戦い、ご苦労様です」


「ああ……だけど、騎士団の人が死んじまったよ」


 そう。戦いに勝ったけど、犠牲が多すぎる。騎士団の一班がつぶれてしまったのだ。素直に喜べねーよ。


「そうですか。しばらくしたら、彼らの葬式を始めましょう……」


 リーナ姫はうつむいてこう言った。


「こんな事件……早く終わればいいのに」


 リーナ姫のこの言葉を俺は耳にした。確かにそうだ。こんなことが頻繁に起こっていると、犠牲者の数は増えるだけだ。


 だったら、クァレバって裏ギルドに乗り込み、直接ぶっ叩く。簡単に終わるのはそれが一番かも。と、俺はそう思った。だって、これ以上リーナ姫の悲しむ顔なんて見たくねーからな。


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