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成瀬VS二つの爆炎


 剣地たちの後を追っている家光たちは、時折減っている魔力を察ししていた。


「先に行った人が結構やられているみたいですね」


「助けに行くしかないな」


 と言ってアセックが走り出そうとしたが、家光は彼を止めた。


「今行っても無駄です。焦って先走って助かる見込みはあるのですか?」


「行ってみないと分からないだろう」


「考えなさい。どうせ今焦って向かってもあなたの部下は死にます。常識的に考えても、間に合いません」


「面白い男だと思ったが……心は冷え切っているようだな」


「ええ。自分でも把握しています。あなたの気持ちは分かりますが、先走ったあなたの部下が悪いのです。残念ですが……」


 家光は静かな口調でアセックにこう言った。言葉を聞いたアセックは大きなため息を吐き、落ち込む様子を見せた。


「落ち込んでいてもしょうがない。行くぞ」


 手招きをしながらニートゥムがこう言った。家光はアセックの肩を叩き、言葉をかけた。


「こんな所でくじけていてはいけませんよ」


「ああ」


「ここから帰ったら、立派な墓を建てましょう」


「そうだな」


 家光とアセックは会話をしながら、ゆっくりと歩きながらニートゥムの所へ向かって行った。




成瀬:海の遺跡


 剣地がまずい。私は強力な風の刃を発生させ、キメラの腕を斬り落とそうとした。あいつらはヒノクルマとヒノダルマと互いの名前を言っていたが、見た目が同じだからどっちがどっちだか分からない。今はそんなことはどうでもいい! さっき風の刃を発した結果、炎と相殺されて消えたけど、今度はそうはいかない。


「また風を発生させたか。無駄なことを!」


 またキメラが炎を発した。だが、今度の風はさっきと違う。同じようなことを二度も繰り返すわけがないじゃない。


「なっ……炎が消えるだと! そんなバカな!」


 そう。今回はなった私の風の刃は炎対策でとんでもなく冷たい氷のオーラを纏わせている。一か八かの賭けだったけど、私の氷のオーラはキメラが放った炎を打ち消したようだ。


 キメラは炎が消されてあたふたしていたけれど、その隙に私が放った風の刃が奴の腕を斬り落とした。


「うわっ! 落ちる!」


 腕の中にいた剣地の悲鳴が聞こえた。助けに行こうと思ったけど、ルハラが風を発生させて落下の衝撃を抑えてくれた。


「後のことは任せて。ナルセ、あの二体が攻撃の対象としてナルセを狙っているから気を付けて。あれだけ暴れたから目立ったみたいだよ」


 ルハラの言うとおり、あの二体のキメラは私の方を睨んでいる。腕を切断されたキメラは苦痛の顔をしながら腕を抑え、相方のキメラは口から炎を吐きながら怒りをあらわにしていた。


「よくもヒノダルマを……許さん!」


「まだ倒れたわけではないが、この女……かなり強いぞ。気を付けろ、ヒノクルマ」


「ああ。我が奴と戦う。お前はその間治療に専念しろ!」


「任せたぞ、ヒノクルマ!」


 どうやら、ヒノクルマと言うキメラが私と直接戦うようだ。ヒノクルマは私に向けて大きな火の玉を何発も放ってきた。


「さっきと同じ技ね。それしかできないの?」


「生意気なことを言うなよ? 貴様にこれが対処できるのか?」


「ええ。もちろんできるわよ」


 私は強いバリアを発生させ、飛んでくる火の玉を弾き飛ばした。その火の玉は別の玉に命中し、大爆発を起こした。それが連鎖して、後から飛んでくる火の玉も次々と爆発を起こした。


「チィッ! こんなことがあってたまるか!」


 ヒノクルマは口を大きく開いて強力な炎を出そうとしていた。私はその隙にヒノクルマの口の前に接近した。


「何をするつもりだ? 直に焼かれるつもりか?」


「焼かれるのはあんたよ」


 私はそう言って強力なバリアを発生させた。ヒノクルマの口よりも大きく作ったせいか、苦しそうな顔をしていた。


「アガッ! アガァァァァァァァァァァ!」


「まず一体ね」


ヒノクルマは炎を吐く寸前だったのか、炎を止めることはできなかった。しばらく部屋内には悲鳴が響き渡った。そして、大きな爆発音がした。


「ヒノクルマ……」


「次はあんたよ。容赦はしないから」


 私は剣を装備し、残った一体に近付いた。仲間がやられて怒ったのか、そいつは大声を上げながら私に接近してきた。


「この女! よくもヒノクルマを……お前だけは絶対に許さん!」


 接近して大きな腕を振り上げ、私を爪で引き裂こうとヒノダルマと言うキメラは考えているのだろう。頭に血が上っているせいか、ヒノダルマは腕を振り回して攻撃を仕掛けている。私を倒すことしか考えていないわ。


「くたばれ! 倒してやるぞ!」


「悪いけど」


「くたばるのはあんただよ」


 後ろにいた剣地とルハラが電撃と風を発し、ヒノダルマの腕に命中させた。そのおかげでヒノダルマの腕が落ちてしまった。


「援護ありがと」


 私は二人にそう言うと、油断しているヒノダルマより高く飛び上がり、剣に魔力を込めた。


「魔力を込めて叩き斬るつもりか」


「その通りよ!」


 返事をし、私はありったけの魔力を剣に込めた。その結果、とんでもなく大きな魔力の刃が発生した。それを見たヒノダルマは、目を丸くして驚いていた。


「な……何だ、その滅茶苦茶な魔力は……」


「私、こう見えて意外と強いのよ」


 私はそう言って、叫び声を上げながら剣を振り下ろした。強力な魔力の刃はヒノダルマの体を一刀両断した。


「つ……強すぎる。目覚める長い時の中で……こんな戦士が……生まれて……いた……とは……」


 ヒノダルマは体が二つになりながら、悔しそうに小さく呟いていた。地面に倒れた後、ヒノダルマは再び石像になった。


「さ、どっちに行きましょう」


 剣をしまい、私は剣地とルハラの方を振り返ってこう聞いた。


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