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追いついたデストロイサーカス


成瀬:海の遺跡


 鏡の迷路に大苦戦している時だった。後ろの方から感じたことのある嫌な魔力を感じた。剣地もルハラもこの魔力を感じており、すでに武器を手にしていた。


「奴らがいるな……」


「もう追いついたの? 早いよ。もう」


「デストロイサーカスの連中を引き連れてきたのね、あの二人」


 あの二人と言うのは、家光とニートゥムのことである。まさかもうここまでくるとは思ってもいなかった。


「さっきの部屋にトラップに引っかかってくれればいいけどな」


「だねー。そうなればこっちは楽なのに」


「そう簡単に罠に引っかかってくれると思わない方がいいわよ。奴らと戦って苦戦したことを忘れないで。そんな奴らが簡単に罠にやられるわけがないじゃない。さぁ、奴らがここにこないうちにさっさと先に進むわよ」


 こうなれば急いでこの迷路を脱出するしか手はない。私たちは鏡を触りながら壁の有無を確認しつつ移動していた。道中剣地が壁に触って移動していたらこけそうになったことが何度かあったが、それでも私たちは迷路を突破することはできなかった。


「何だか同じ所をぐるぐる回っているような気がする……」


「だから目が回ってきたのか」


 剣地が鏡に寄りかさり、休むためか呼吸を整えていた。だが、突如鏡が動き出し、剣地の姿が消えてしまった。


「おわぁっ!」


「剣地!」


 私は剣地がいた所の鏡を動かし、先の通路にいた剣地の姿を確認した。落ちた時に頭を軽くぶつけたようで、頭を押さえている。


「いってー」


「大丈夫?」


 ルハラが剣地の元へ移動し、様子を調べた。私も鏡を抜けて先の通路へ向かった。さっきと同じように鏡張りの迷路が続いているようだが、さっきと同じように鏡自体に仕組みがあって、それらを攻略しなければならないのか。


「まさかこんな仕掛けがあったなんて。これじゃあ先へ進めないわけだ。昔の人も結構考えるな」


「昔の人も考えたね。いちいち鏡を調べていたら時間の無駄だしね」


「作った人にしか分からないように通路を作ったみたいね」


 私たちは話をしながら、先へ進んでいった。さっきの仕掛けがあったことを知ったおかげで、鏡を調べながら仕掛けを解き、先に進むことができたのだ。


 しばらく先に進むと、鏡の道が途切れた。どうやら出口にたどり着いたみたい。


「着いたー!」


「やーっとゴールだよ」


「でも、この先に海の書があるって決まったわけじゃないわよ」


 私の言葉を聞き、剣地とルハラの顔から笑顔が消えた。まだまだ先がある。海の書に着くまでに、デストロイサーカスが追い付かなければいいんだけど。




 家光とニートゥムはデストロイサーカスの団員と共に海の遺跡の入口の前に立っていた。家光は子供のような笑顔で海の遺跡を見ながらこう言った。


「ここが海の遺跡ですか。なかなか神秘的な場所ですね。カメラでも持ってくればよかったですよ」


「ガキのようなこと言っている場合じゃないぞ。奴らが先にここにきたようだ」


 ニートゥムは発動している仕掛けを見て、家光にこう言った。だが、家光は笑ってニートゥムに言葉を返した。


「奴らが海の書を手に入れたと決まったわけではありません。さぁ皆様、先に進みましょう」


 家光はこう言って、ニートゥムたちと共に海の遺跡へ入って行った。最初の分かれ道の所で、デストロイサーカスの団員たちは自身の勘を信じて別々の道へ走って行った。それを見たニートゥムは、デストロイサーカスのボスであるアセックにこう言った。


「勝手に先に進んでいるが、ほっておいていいのか?」


「奴らの強さは俺が知っている。簡単に死なないさ」


「だといいんですけどねぇ」


 家光はそう言って、勘を頼りに進んでいった。ニートゥムは慌てて家光を追いかけて走って行った。その二人の姿を見て、アセックはため息を吐いて呟いた。


「気楽な依頼人だな」


 その後、アセックは家光とニートゥムに向かって俺たちは別の道を行くと大声で言って、コウとニートゥムが選ばなかった別の道へ向かって歩いて行った。


 ニートゥムは家光の前を歩いていると、突如笑い声を上げた。


「いきなり笑わないでくださいよ。驚いたじゃないですか」


「どうやらティーアがこの道を選んだようだ」


「運がいいですね。なら、彼女と会うことができるかもしれませんね」


「余計な魔力も感じるが、まぁ同時に始末すればいい」


「あらあら、恐ろしいことを言いますねぇ」


 と、家光は笑いながらニートゥムに言葉を返した。その時、話を聞いていた一人の男が二人に近付いた。


「なぁなぁ、ティーアって奴はお前さんに任せるから、残りの二人はオイラが相手にしてもいいか?」


「好きにしろ。お前は確か、幹部のビークって言っていたな」


「オイラの名前、憶えていてうれしいぜ」


「見た目と話し方のインパクトがでかいからな。一生お前のことは忘れることはできないだろう」


 ニートゥムは鼻で笑いながらビークにこう言った。そんな中、家光一行はヴァリエーレたちが苦戦していたガイコツの部屋に到着していた。だが、家光一行が部屋に到着する前に、デストロイサーカスの団員がガイコツに勝負を挑んだのか、無残な姿になっていた。


「あのガイコツ、かなり強いのか?」


「ですね。死体を見てくださいよ、全員急所に一撃喰らってます。そのせいで死んだのでしょう」


「あのガイコツ野郎、よくもオイラの仲間を。ここはオイラにやらせてくれ」


「ああ」


「お願いします」


 家光とニートゥムの返を聞いた後、ビークは槍を取り出し、振り回し始めた。その隙にガイコツがビークに向かって突っ込んできた。それに対し、ビークは槍を止めて横に構えた。そして、ガイコツが近付いたのと同時に槍を振った。


「仲間の恨み。思い知れ」


 ビークがこう言った後、ガイコツを支えていた骨が二つに裂け、ガイコツは崩れ落ちた。家光はガイコツの欠片から鍵を手にし、笑顔でこう言った。


「では。仇討ちもできたことですし、先へ行きましょう」


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