悪人も動き出す
家光とニートゥムはとある町の酒場にきていた。イドナでの戦いの治療を終えた後、ある情報を得るためにすぐに向かったのだ。
「で、噂の奴はここにいるのか?」
「だと聞いたんですが……どうやらいないようですねぇ」
家光はニートゥムの言葉に返事をしながら、つまみのピーナッツを食べていた。呑気な態度の家光を見て、ニートゥムは少々呆れていた。
「本当にお前は呑気だな。あいつらが先に動いていたらどうするんだ?」
「まぁまぁ、そんなネガティブなことは考えない。たまにはいいじゃないですか。あの戦い、意外ときつかったから少し休みたかったのですよ。休むことも大事ですよ」
「俺はすぐにでもティーアをぶっ殺したいが」
「止めておいた方がいいですよ。これ見てください」
コウは指に付いた塩をタオルでふきながら、ニートゥムにニュースを見るように促した。
「ハーレムパーティーが海賊団、マウンテンモンスターズを捕らえたか。あんな雑魚を倒しただけで調子に乗りやがって」
「確かにそうですが、それなりに強くなったみたいですよ。あなたが狙っているティーアと言う少女も」
画面にティーアが映った瞬間、ニートゥムは苛立ちのあまり剣を振って衝撃波を発生させ、テレビを壊してしまった。店内にいた客や店員は悲鳴を上げて机の下に潜ったり、部屋の奥に移動したりしていた。そんな彼らの行動を気にせず、機嫌が悪いニートゥムは大声で怒鳴った。
「おい店員! 強い酒を持ってこい、今すぐにだ!」
「は……は……」
「早くしろって言っているだろうがクズ野郎!」
「分かりました!」
ニートゥムの怒鳴り声を聞き、店員は慌てて用意を始めた。そんな中、二人に近付いてくる影があった。
「あーあー、そんな騒ぎを起こさないでよ。この店、俺のお気に入りなんだから」
「あぁん? 何者だ、テメー?」
「そんな態度を取らないで。あなたたちが私を呼んだのでは?」
「では、あなたが裏の世界で有名な武器商人の……」
「ジョンでございます」
ジョンはこう言うと、家光の横に座った。
「私に依頼したいという話を聞きました。どんな依頼で?」
「ある物を探しに海へ潜りたい。そのために必要な装備を買いたい」
「海に潜るか……海の書でも探すのですか?」
ジョンの言葉を聞き、家光の表情が変わった。その動きを見て、ジョンはニコッと笑って話し続けた。
「どうやら的中のようですね。あの本の話なら私も知っていますよ」
「なら話が早いですね、準備の方をお願いします」
「時間がかかる。準備が終わり次第連絡をしましょう」
「お前のことは信頼していない。裏の世界の人間の言うことなんて、俺は聞きたくもないね」
話に割り込む形でニートゥムが声を出した。ジョンは呆れたようなため息を吐き、ニートゥムの方を振り向いた。
「信頼してくださいよ。こう見えて、私は商売相手を裏切ったことはありませんので」
「本当か?」
「ええ。信頼してくださいよ、ニートゥムさん」
自身の名前がジョンの口から出たことに驚き、ニートゥムの動きが止まった。
「客相手に対応しやすい口調で言っていたが……あんたらみたいな相手はいつも通りでいいか。あんたの予想通り、俺はあんたらを知っている。戦場で暴れていた自称勇者のニートゥム、そんでもってあんたはイウチの孫のミツ……今はイエミツって名乗っているようだがな」
「なーんだ、私たちのことを知っていたのですか。あなたも人が悪い」
「まーね。一応客商売だから、印象よくしないと次の仕事を得られないし」
ジョンはこう言うと、立ち上がって再び口を開いた。
「あんたらの連絡先を教えてくれれば俺の方から連絡する。状況が状況なら、教えなくてもいい。一週間たったらここにくればいい」
ジョンの言葉を聞き、家光は少し考えた後、一枚の紙をジョンに渡した。
「これは私の携帯番号です。準備が終わり次第ここに連絡してください」
「あいよ。もし、海の書が見つかったら教えてくれや。俺も興味がある」
そう言ってジョンは立ち去ろうとしたが、家光はジョンを呼び止めた。
「ハーレムパーティーに見つからないようにお願いしますね」
「分かっている。奴らがやばいってことは俺も知っているからな」
と言って、ジョンは去って行った。去っていくジョンを見て、ニートゥムは胡散臭そうな目で呟いた。
「奴が裏切っても俺は知らんぞ」
剣地:アラマー研究所
俺たちはセントラー城で一泊した後、その次の日にアラマー博士に連絡をして研究所に向かうことを伝えた。前に博士が海の中に潜れるスーツ、シーアーマーを開発したことを思い出したからだ。もし、人数分あればいいなと思いながら、俺たちはアラマー研究所に向かった。
「あ、久しぶりです皆さん」
入り口前で掃除をしていたドッペルレトルが俺たちに気付き、近付いてきた。
「博士から話を聞いています。今、博士は研究所内で何か作っています」
「また変なのを作っておるのか」
呆れたような目でヴィルソルがこう言った。その言葉を聞き、ドッペルレトルも苦笑しながらこう言った。
「何を作っているのかは内緒だって言っていました。何か役に立つ物を作っているのでしょう。ナディさんたちの仕事の助けになるような何かを」
「警察の仕事を助ける発明か。どんなものだろう」
ティーアがこう言った直後、二階の窓から博士が顔を出して叫んだ。
「待っていたぞ、皆の衆! ここで立ち話も何じゃから、中に入るがいい。おかしもちゃんと用意してあるからの」
と言って、首を引っ込めて窓を閉めた。さて、シーアーマーがあればいいんだけどな。
この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!




