セントラーからの大きな仕事
ヴァリエーレ:ギルドの部屋
ギルドの中は大変なことになっているだろう。窓の外から見えたけど、この世界と言われる大きな国、セントラーの人がいる。もし、この町にくるとしたら情報があるだろう。しかし、今回はその情報は入っていない。一体どうしたんだろう。
「うわー、なんか騒いる」
「大きな国の人がいきなりくるんだから、そりゃ皆騒ぐよ」
「何かあったのかしら? ねぇ、ヴァリエーレさん」
ナルセが私にこう聞いたその時、電話の音が響いた。ナルセが慌てて受話器を取って応対した。
「もしもし。成瀬ですが」
「ナルセさん? ギルドの者です、大至急こちらに向かうことってできますか?」
「あの、今うちの旦那と勇者と魔王が出かけていませんが」
「じゃあ集まったらすぐにギルドへくるように伝えてください!」
「はい。分かりました」
ナルセは受話器を置き、私たちにこう言った。
「剣地たちが帰ってきたらギルドへきてほしいって」
「ギルドから? 私たちに用があるのかしら」
「多分ね」
その時、部屋の扉が開いてケンジたちが帰ってきた。
「ただいまー」
「皆、今すぐ出かけるわよ」
「どこへ?」
「ギルド。全員集まったら大至急きてほしいって言われたの」
その後、私たちは急いでギルドへ向かった。大勢の人が見守る中、私たちはギルドの入口の扉を開き、中へ入った。
「あなた方が独裁王国、シリヨク王国を解放した戦士たちですな?」
青い鎧を着た男性がこう話しかけた。とてつもない威圧感に負け、私は少し下がってしまった。
「そうだけど、何か?」
ケンジがその男性にこう聞くと、同じような鎧を着た人たちが私たちを見つめた。
「噂通り、かなりの実力者らしい」
「それに、勇者ティーアもこの場にいる」
「話が分からないわ。ちゃんと説明して。どうしてリーナ姫の騎士団がこんな所へきたの?」
ティーアがこう言うと、青い鎧の一人が頭を下げてこう言った。
「頼みがある、リーナ姫を守ってくれ!」
成瀬:ギルドの奥
話を聞いた後、私たちはギルドの奥の部屋で詳しく話を聞くことにした。
今、セントラー王国では王様が病気で死にそうらしい。王の座を実の娘であるリーナ姫に王位を譲ると話が出ているが、それを快く思っていない連中がいるという。そいつが裏ギルドを使い、リーナ姫の暗殺を計画しているそうだ。
それをいち早く察したのが先月のこと、姫用の飲み水を毒見した毒見係が毒死した。その後、騎士団は犯人を捜したのだが、見つからなかった。だが、それでリーナ姫が命を狙われていることを知ることができた。
「我々の力だけでは謎の敵を相手に戦うことはできない。頼む、我々と共に戦ってくれ」
「報酬は払う。できる限り君たちの要望に応えよう」
報酬の話となり、私達は一斉に顔を見合わせた。相手は王国。お金はいくらでもあるだろう。しかし、そんなにお金をもらっても別に何に使うかは決めていない。
「いくらもらう?」
「相手は王国だしな。とりあえず億単位で」
「そんなにもらっても何に使うか決めないとね」
「私と剣地の装備は神様に貰ったから新調はしなくていいと思うし」
「我は魔力で武器を作れる。それだけあれば戦える」
「私は一族に伝わる武器があるから別にいらない」
「そうねぇ……まぁ仕事中に考えます」
ヴァリエーレさんの言葉を聞き、騎士団の人たちはおおっと声を上げた。どうやら私たちがこの依頼を受けたことに感激したらしい。
剣地:ギルドの部屋
仕事はすることになった。あの後、詳しい話は明日話すと言って、騎士団のおっさんは町の宿屋へ向かった。俺たちも一旦部屋へ行き、武器の整備や準備をしていた。今回の仕事、かなり厳しそうだからな。
「ケンジ、準備はどうー?」
ルハラが背後から俺を抱きしめた。その光景を見たティーアとヴィルソルが声を上げ、一斉に俺に抱き着いた。
「抱き着いてくるのはうれしいが、今武器の整備をしているから、後で愛してやるよ」
「それはありがたいけどさー」
「ケンジ、お主気付いているか? 騎士団の後を追っていた」
ヴィルソルの言葉を聞いた皆は、一斉に動きを止めた。
「敵の可能性があるな」
「ああ。ちーっと相手をするか?」
「そうだな」
「剣地、私も行くわよ」
「頼む成瀬」
俺が成瀬にこう言った直後、窓の方が少し明るくなった。今は夜のはずだ。街灯の電柱を変えたのかと思っていたが、理由はすぐに分かった。宿屋の一部の部屋から炎が出ているからだ。
「火事だァァァァァ!」
「私、消火に行ってくる!」
「私も行くわ」
騒動を聞いた成瀬とティーアが、慌てて部屋から出て行った。
成瀬:ロイボの町の宿屋前
どうしてあんなところで火事が? あの宿屋の周りには火の気になるものは置いてない。とにかく今は早く現場へ行って、炎を消すことを考えなくちゃ!
現場へ到着し、私は水属性の魔力を使って炎を消した。炎が消え、ティーアが急いで部屋の中へ入り、怪我人の有無を確認し始めた。しばらくし、焼けた窓からティーアが顔を出した。
「どうだった?」
「ダメだった……」
その反応を見て、私は急いで部屋へ向かった。部屋の中は黒く染まっており、ベッドや椅子、壁に掛けてあった絵も黒焦げになっていた。そして、部屋の中央には黒焦げになった死体があった。
「その人は」
「リーナ姫の騎士団の人たちだよ。見て、この焼け焦げた鎧」
ティーアが手にした鎧の汚れを掃うと、そこにはリーナ姫の騎士団の紋章が描かれていた。
「きっと、リーナ姫の命を狙う奴の仕業だよ。騎士団が多分変な動きを見せたと相手は思ったから……だけどこんなことするなんて、許せない……」
ティーアは手を強く握りしめた。私は目を閉じ、周囲の魔力を察した。目の前にいるティーアからは荒い魔力を感じているが、少し離れた所に強い魔力を感じた。ところどころ荒くなっているから、きっと激しく動いているだろう。こいつが怪しい。私は魔力を探知しながら、魔力で作ったツタを使ってそいつを捕まえようとした。そして、そいつを捕まえることができた。
「ティーア、犯人を捕まえたわよ」
「じゃあこっちまで移動できる?」
「ええ」
私が魔法を操ると、ツタに絡まった男がこちらに向かって飛んできた。
「クソッ、凄腕の魔力使いがいるのか!」
「さーて、話を聞こうかな」
ティーアが男を睨み、こう言った。その時、後ろから声が聞こえた。
「貴様か、俺の仲間を殺したのは!」
その声の主は騎士団の生き残りだった。一人だけだったが、彼は息を切らせて男に近付いた。
「さぁ吐け! どうしてこんなことをした!」
「ケッ、俺は命令通りに仕事をしただけだ。変な動きをする姫の騎士団連中を殺せと!」
「誰から言われた?」
「そこまでは言えねーな」
「じゃあ言わせてあげましょうか?」
私は剣を出し、男の首元に近付けた。それに気付いた男は悲鳴を上げて、話し出した。
「分かった! 話すから殺さないでくれ! 俺は裏ギルド、クァレバのアサシンだ。俺は上から命令されただけだ、それ以上のことは言われなかった」
直後、上空から風の音が聞こえ、次の瞬間にクァレバのアサシンの腹から血が流れた。私とティーア、生き残った騎士団の人は武器を構え、周囲を見回した。だが、人影は見当たらなかった。
「口を割ろうとした奴を殺しただけのようですね」
騎士団の人は剣を鞘に納め、こう言った。ティーアも剣をしまい、こう話した。
「今回の依頼、結構本腰を入れてかからないと大変だね」
「ええ。なんだか大きな事件に足を踏み込んだみたい」
「だけど、それを解決するのが私たちの仕事でしょ」
「分かっているわ。こんなことをする連中、ぶっ潰してやりましょう」
私がこう言うと、騎士団の人は恐る恐るこう言った。
「あの、仕事の内容は姫の護衛ですが……」
剣地:ギルドの部屋
成瀬とティーアから、昨日の夜のことを聞かせてもらった。どうやら俺たちは変な事件に巻き込まれたようだ。だが、受けた仕事は何が何でも終わらせてやる。
「皆、準備はできたか?」
俺は皆に声をかけると、皆は一斉に首を振った。準備はできたようだ。
「しばらくはここに帰ってこられないと思うけど……帰ったら皆で一緒に寝ような」
軽い冗談のつもりで俺はこう言ったが、その言葉を聞いた皆の目が真剣な目になった。あ、これいろいろと疲れそうな気がする。
そんなことより、早く騎士団の人と合流しないと。俺はそう思い、部屋から出て行った。
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