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匿名の依頼


成瀬:とある港町


 匿名の依頼には、何が何でも私たちを指名するメッセージと共に、ロイボの町の近くにあるヌケダラ港にきてくれと書いてあった。時間は午前十一時とも書いてあった。


「誰がくるのかなー」


「そうだね、依頼内容が書いてなかったし」


 剣地とルハラがこんな話をしていた。依頼内容については書いていなかったから、口で伝えるのかしら?


「皆じっとして、誰かくるわ」


 ヴァリエーレさんがこう言うと、少し離れた所からスーツを着た仮面の人物が現れた。仮面のせいで、男なのか女なのか分からない。ただ、身長からして私と同い年位ということが分かる。


「時間通り、よくきてくれた」


 機械音声で仮面の人物はこう言った。うーん、見るからに怪しい。


「あなた、何者よ?」


「変な奴だったら、ぶっ飛ばすぞ」


 ティーアとヴィルソルは敵対心をむき出しにしながらこう聞いた。まぁ、見るからにして怪しいしね。気持ちは分かる。


「おいおい、そんな物騒な物を手にしないでくれよ。それに……匿名じゃないと、あんたらに会えないからな」


 と言って、奴は仮面を外してこう言った。その仮面の下には、見慣れた顔があった。


「よっ。久しぶりー!」


「シーア!」


 何と、仮面の人物の正体は海賊シーアであった。あれから連絡がなかったけど、元気そうだ。


「何だよ、電話してくれば一発で分かるのに」


「立場上、簡単に連絡するわけにはいかないからね。ギルドの戦士、有名なハーレムパーティーが海賊とお友達ってことがばれたらマスコミの連中がうるさいだろ?」


 と、シーアは剣地に説明をしていた。シーアはシーアなりに私たちのことを気にしてくれていたのね。


「話は船の上でするから。今、待機しているからそこに行こう」


 その後、私たちはシーアの海賊船へ向かった。今は普通の漁船であるようにカモフラージュをしているが、中にいるのは皆見知った顔だった。皆、私たちを見て歓迎してくれた。


 船長室へ向かい、シーアは船長の服に着替えて話を始めた。


「さて、私が依頼したいのは、マウンテンモンスターズという海賊を倒してほしいって話だ」


「ま……マウンテンモンスターズ?」


 すごい名前。海賊なのに、マウンテン……山の意味を持つ単語が入っている。ふざけているのか?


「変な名前だねー。そいつら強いの?」


 ルハラがこう聞くと、シーアは返事をした。


「ああ。奴らはとんでもないバカ力で悪さをするとんでもない海賊だ。しかも、逃げ足が速いから私たちが倒そうとしても、すぐに逃げてしまう」


「バカそうに見えるが、意外と利口だな」


 ヴィルソルがこう言った。変な名前を付けるからバカな連中だと思ったけど、意外と抜け目がないようね。


「私たちは海賊だが、目的は宝だ。他の船を狙うなんてことは一切しない。だから、他の人を襲う連中が気に食わない」


「理由は分かった。俺は依頼を受けるぜ」


 話を聞いた剣地が、にやりと笑ってこう言った。それからヴァリエーレさんも、ルハラも、ティーアとヴィルソルも依頼を承諾した。そして、剣地が私の方を見てこう聞いた。


「成瀬は……ま、答えは分かっているけどな」


「もちろんよ。私もやるわ!」


 と言うわけで、次の依頼は海賊退治に決まった。




 キリアとミランは別の町のカジノにいた。


「本当にこんな所にきてもいいの?」


「あなたの力があれば、生活費は稼げるわ。賭けをするのは私、あなたはサポートして」


「結局あなたも僕の力を使うのか」


「話を聞いて。手持ちを増やすのはこれしかないの。生き残るには金が必要よ、色んなことをしても生きないと。死にたくないでしょ? 私もこんな方法で稼ぎたくないけど」


 キリアの話を聞き、ミランは納得した。その後、キリアは百ネカのコインを取り出し、チップを一枚だけもらった。


「そんなので勝てると思っているのですか? お嬢さん?」


「黙ってなさい」


「おーおー、気の強いお嬢さんだこと」


 その後、キリアはポーカーのコーナーへ向かった。すると、ミランはキリアの服の裾を引っ張り、耳元でこう言った。


「あの人、いかさましている」


 ミランが示す方向には、いかにも悪そうな人相の人物がポーカーのディーラーをしていた。そのディーラーのポーカーをやっていた人たちは、皆悔しそうな顔をしていた。


「心をよんで、あいつをだしにして荒稼ぎしてやる」


「その意気込みよ。稼ぐついでにあいつを懲らしめましょう」


 会話後、二人はそのディーラーのポーカーをやることにした。


「いらっしゃい。いくら賭けます?」


「これで」


 キリアが一枚だけのチップを取り出すと、ディーラーはバカにしたような笑みでカードを配り始めた。しばらくすると、ミランがこっそりとキリアに近付いてこう言った。


「キリアさん、あいつズルしています。皆がハズレになるようにカードを配っています」


「そうね。分かった」


「キリアさん、あいつに上から六番目のカード、十二番目のカード、十八番目のカードを交換したいって言ってみて。交換するのは手札の真ん中三枚」


 話を聞き、キリアは真ん中の三枚を置いてこう言った。


「交換したいけど」


「いいですよ」


「指定してもいいかしら? 上から六、十二、十八番目のカードを交換してください」


 この言葉を聞いたディーラーの額に、冷や汗が流れた。


「すみません、それは無理です」


「何で? 交換できない理由でもおありで?」


 この言葉の直後、皆ディーラーのことを疑い始めた。カードの位置を指定するキリアもおかしいと思った観客だったが、態度が豹変したディーラーの方が注目を集めてしまった。


「さぁ、早く」


「ぐ……ぐぐぐ……分かった。話に応じよう」


 その後、カードを受け取ったキリアは、役を見て少し驚きながら手札を見せた。


「ロイヤルストレートフラッシュ。私の勝ちね」


 この声を聞き、戦いを見ていた観客たちは騒ぎ始めた。


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