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心がよめる少年


 家光とニートゥムは怪我を治した後、どこかへ向かっていた。怪我は治ったが、まだ完全に治ったわけではないのだ。


「しばらく身を隠すのが正解だな」


「何を言っている? 俺はまだ戦えるぞ」


 ニートゥムはこう言っているが、家光が腕を触った直後、ニートゥムは悲鳴を上げた。


「その状態で戦うなんてことはできません。野望を果たす前に死にたくないでしょ」


「そうだな」


 その後、家光とニートゥムは近くの喫茶へ向かい、休憩のため食事をすることにした。


「メニューは?」


「コーヒーとマルゲリータピザ」


「緑茶とフィッシュバーガー」


「分かりました」


 それぞれ注文をした後、二人は雑談を始めた。


「そう言えば、この地にまつわる噂を耳にしたことがあります」


「どんな噂だ?」


 ニートゥムが聞くと、家光は思い出しながら答え始めた。


「耳にしたのは……あのジジイが生きていたころだから、ちょっと前ですね。兵士たちの話を小耳にしたのですよ。イドナの近くに人の心をよむ少年がいるらしいと」


「心がよめるか……ふざけた奴だな。どうせスキルか何かだろ」


「スキルかどうか分かりませんが、何かしらの方法でこの力を手にしたと思います」


「どうであれ、俺にはそんな力はいらないな。他人の心をよんで戦いに勝ちたくない。それに、他人の腹の中が分かっても、いいことはない」


「ですね。ま、私は言いたいことは直接言う性格だからいりませんが」


「本当か? 胡散臭いな」


「そんなことを言わないでくださいよ」


「自分のジジイを殺したことを忘れんじゃねーぞ」


 その後、二人が注文したメニューが机の上に出された。




 キリアは当てもなく歩いていた。廃墟と化したアジトにいたら、空しくて悲しくなってしまうからだ。もう、誰も頼りになる人はいない。そう思いつつ、近くの町を歩いていた。その時、一人ぼっちで座っている少年を見つけた。ただの少年のようだが、キリアは何故かその少年に引かれるように近付いた。


「隣、座ってもいいかしら?」


 こう尋ねても、少年は何も答えなかった。キリアは心の中で不思議な子と思いつつ、隣に座った。


「失礼するわ」


「不思議な子で悪かったな」


 この言葉を聞き、キリアはびくっとした。何でこの子、私の心が分かるのと思うと、その少年はこう言った。


「何で分かるかって? 僕には他人の心がよめる力がある」


「心が分かる? そんなわけないじゃない」


「本当だよ。今こうしているうちに、周りの連中の心の中が頭の中で聞こえているよ」


 この話を聞き、キリアは金持ちのような男を見つけてこう言った。


「あの人が何を考えているか分かる?」


「今持っている金でどの店に行こうか考えている。あ、風俗街に行こうとしているよ」


 その後、その男性は近くの風俗街へ向かって行った。キリアはまぐれだと考え、近くにいたホームレスのような男性を見てこう言った。


「偶然かもしれないからもう一回聞くわね。あの人は何を考えているか分かる?」


「あの人はホームレスじゃない。変装した警察官だ。違反な店をやっている奴を逮捕するために、変装して調べているよ。そろそろ仲間がきて、その店に乗り込むつもりだよ」


 少年の言葉の後、無数の警察官がやってきた。そして、ホームレスの衣装を外し、変装していた警察官が合図をした後、一斉に警察官の群れが店の中に入って行った。


「すごい……」


 この少年の力は本物だ。キリアはそう思うと、少年はこう言った。


「気持ち悪いでしょ。こんなことができるなんて」


「確かにね。そのせいで、一人ぼっちなの?」


 キリアがこう聞くと、少年は少し間を開け、話を始めた。


「この力のせいで、僕はずっと一人だ……いや、一人でいい。親も、友も、誰もいらない。皆僕の力を利用しようとした。だから、わざと嘘のことを言って破滅させてやった。そんな奴らのせいで……僕は人を信じない」


 少年はこう言った後、少し慌てながら話した。


「何で……こんなこと誰にも話したくないのに……」


「気にしないで。嫌だったらすぐに行くから」


 その時、少年は立ち上がろうとしたキリアの手を握ってこう言った。


「もしかして、お姉さんも一人なの?」


「そう。家族も仲間も、皆悪い奴に騙されて死んじゃったの」


「そう……なんだ……」


「まぁ、私自身もジザヴァーク家という裏ギルドの一員……家族だけど、悪いことをしたら、罰が当たるわね。何にもなくなっちゃったわ」


 その後、キリアは少年の下から去ろうとした。この少年のことが気になるが、少年のことを思ったのだ。だが、少年は立ち上がってこう言った。


「ミラン」


「え?」


「僕の名前。お姉さんは他の奴と違う気がする。僕も一緒に行くよ」


「行く当てはないけどいいの?」


「うん」


 会話をし、二人はそのままどこかへ去って行った。




剣地:ギルドの部屋


 修行が終わって一ヶ月が経過した。オノブさんからも邪神関連の話はない。が、たまに世間話で電話する。しかし、俺たちとしても動きたいのだが、調べても何もないじゃあ身動きすら取れない。


「ギルドの仕事をするのも懐かしい気がするー」


 仕事が終わった後、ルハラがベッドの上で寝転がりながら呟いた。そうだなー。久々にモンスターとか薬草集め、悪人退治とか……この一ヶ月そんな仕事ばっかりだ。イドナの村での戦い、聖域での辛い修行が過去のようだ。だが、レギールのことは忘れてはいない。いや、忘れてはいけない。そんなことを思っていると、ギルドから電話がかかってきた。電話の近くにいた成瀬が応対に出た。


「はい。成瀬です」


「ナルセさん、皆さんはいますか?」


「はい。皆だらだらしていますが」


「明日の予定はありますか?」


「特にないです。もしかして、私たち指名で依頼ですか?」


「そうですが……匿名で出された依頼です。どうしますか?」


 匿名の依頼? 一体誰が俺たちを指名したのだろう? うーん、ちょっと気になる。


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