神様が言うには
剣地:神様のいる空間
ギルテの体を乗っ取った邪神の攻撃によって俺たちは死にかけているらしく、また神様の所にいる。だが、このタイミングでここにくることができたのは運がいいと思う。邪神のことを聞けるからな。
「剣地たちが戦った邪神の体は、たった今崩壊した」
「誰かが壊したのですか?」
「うむ。今から教えよう」
と言うと、神様は映写機を持ってきて電源を入れた。その映像には、ロアムがスリリングショットを使って邪神の像に攻撃している映像が映った。そうか。魔力には反応するけど、魔力がない攻撃には弱いのか。
「これで邪神は元に戻る体を失った。じゃが、心臓にもあれと同じくらいの魔力がある」
「つまり、心臓をこの世から消さない限り、安心できないということか」
ヴィルソルの言うとおりだ。体はなくなったけど、心臓が残っている。もし、家光が心臓を手にすればとんでもないことになる。
「で、心臓の場所は分かるの?」
ルハラがこう尋ねたが、神様は困った顔をしていた。
「分からないのか」
「うむ。どこか深い所にあるのか、別の力によって封印、あるいは守られているかだな」
「あんな奴の心臓を守るなんて、どうかしているよ」
「ティーアの言うとおりね」
俺もヴァリエーレさんやティーアと同じ意見だ。まぁ、守る人はあれが何なのか知らないかもしれないけど。
「剣地、成瀬、そしてペルセラゴンの者たちよ。もう一度そなたらに願う。邪神を倒してくれ。辛い戦いだと思うが、お前たちの力ならきっと倒せる」
と、神様はこう言った。だが、俺は不安だ。皆で協力して戦った結果、死にかけた。
「ちょっと待ってください。私たちは六人で戦って負けました。負けたからここにいます」
成瀬が神様にこう言うと、神様は考えながらこう言った。
「確かにそうじゃのう……そうだ、聖域へ行ける呪文を覚えているであろう」
「ええ。確かラールです」
「それならすぐに行ける。今のままで勝てないとなれば、聖域で修行するのを考えてみたらどうじゃ? きっと、今より強くなれる」
聖域で修行か。確かに力を付けない限り、俺たちは邪神に勝てない。俺はそう思うが、ルハラが頬を膨らませてこう言った。
「あんたが力をくれないの?」
「無理じゃ。剣地と成瀬は特別に力を与えたが、それ以上の力や元々ペルセラゴンにいるそなたらに力を与えることはできないのじゃ」
「ケチ」
「仕方ないじゃろ。それに、それ以上の力を与えるのはわしの力じゃ無理なのだ」
なーんだ。神様の力じゃ今以上の力を付けるのは不可能か。ちょっと残念。
「とにかく、そろそろ目が覚める頃じゃ。皆が心配しているから戻るがいい」
「はい。じゃ、今度は一万年の寿命を終えた後で」
「それまでにここにくるなよ。健闘を祈る」
俺がこう言った後、目の前にできた光に俺たちは飛び込んだ。これで元の場所に戻れるはずだ。
成瀬:イドナの村の病院
私たちは神様と話を終え、元の場所に戻ってきた。目を覚ましてすぐに目に映ったのは、心配そうな表情のオノブさんだった。
「おお! 意識が戻ったか!」
オノブさんは私が目を覚ましたことを察し、急いで周囲にいるニッコーさんにこのことを報告した。話を聞いたニッコーさんは急いで私たちの元に駆け寄った。
「皆さん……」
「意識が戻ったのね」
「軽い臨死体験じゃったのう」
ルハラとヴィルソルも目を覚ましたようだ。その時、私は体に激痛を感じた。それと同時に皆も感じたのか、大きな声で叫んだ。
「イッデェェェェェェェェェェ!」
「何これェェェェェェェェェェ!」
「ピギャァァァァァァァァァァス!」
「アガッ! イッギャァァァァァァァァァァ!」
「ヴェァァァァァァァァァァ!」
「ビョェェェェェェェェェェェ!」
何……この激痛? 傷は治っているみたいだけど……何でこんなに痛いの?
「やっと目を覚ましたか」
隣の部屋からレジャックさんが現れた。痛さのあまり涙を流す私の下に、タトミさんがやってきて小声でこう言った。
「あなたたちの手術は彼が行ったのです」
「だからこんなに体中が痛いのか……」
理由は判明した。どうやら私たちが気を失っている間、レジャックさんが荒治療……手術を行った。
「死んだように気を失っていたから、手術がやりやすかったぜ」
レジャックさんはどや顔で言っている。死んだようにと言うか、本当に死にかけていたから。
「とにかく今はそのまま横になれ。変な攻撃をうけたせいで、体にダメージが残っている」
「ああ……」
剣地が腕を見て返事をした。私も腕や足を見たけど、邪神の攻撃のせいで痣とか残っている。消えればいいけど。
「それじゃ、治るまでここにいるってことね」
「すぐに動きたいけど……これじゃあ無理だね」
ルハラとヴァリエーレさんの言う通り、しばらく動くことはできなさそうだ。本当はすぐに聖域へ行って修行をしたいのだけれど、傷を受けた状態じゃあ動くことはできない。
しばらく寝ていようと思ったけど、ティーアが何かを考えているのか、唸り声を上げていた。
「どうかしたか勇者?」
「聖域にぱっと傷を治す場所ってあったかな?」
「あればすぐに使いたのだが……体を休めるのも必要だ。今がその時だろう」
ヴィルソルはティーアにこう言っていた。すぐに動きたいと思っていたけど、焦ったら無意味だ。修行は後にして、今は休むことに集中しよう……。
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