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戦いの行方


ヴァリエーレ:ダムング像の洞窟


 ギルテを操っている原因があの像なら、あれを破壊すればすべてが終わる。ナルセたちは簡単にあの像を破壊することができると思っているけど、私はどうもそうはいかないと思っている。像が攻撃されればダメージを受けることはギルテ自身把握していると思う。だけど、今はあれこれ考えている余裕はない。ケンジを助けるのが優先だ!


「ハァァァァァ……」


 ナルセが魔力を溜め、強烈な一撃を作り出そうとしている。それを見たギルテは、鼻を鳴らして笑った。


「ふん。魔力を溜めて攻撃するつもりか。隙だらけだぞ」


 ギルテが攻撃を仕掛けようとしたが、前に出たティーアとヴィルソルがギルテの攻撃をバリアで防御した。


「今だよ、ナルセ!」


「魔力を溜めるのじゃ!」


 二人は気合でギルテの攻撃を防御している。だが、徐々にバリアにひびが入ってきた。


「そんな……結構魔力を込めてバリアを作ったのに……」


「私に任せて!」


 私は剣を構え、奴に攻撃を仕掛けた。刃は奴の体を傷つけたが、すぐに回復してしまった。これが邪神の力なのか……。


「邪魔だ」


 強烈な一撃が私の前に迫ってきた。だけど、私の危機を察したルハラが私を引っ張って後ろに下がった。


「ギリギリセーフ」


「ありがとうルハラ」


「どもー」


「こっちも準備はできました!」


 どうやら、私が少しの隙を作ったおかげで、ナルセの攻撃準備が終わったようだ。成瀬からとんでもなく強い魔力を感じる。この魔力なら、どうにかなるかも!


「ほう。すごい魔力だな」


 ナルセの魔力は洞窟全体が震えるほどの威力がある。だが、それを見てもギルテは余裕の態度だ。ナルセの力を甘く見ているわね。


「さぁ……これで消えなさい!」


 爆発する花火のような音を轟かせながら、ナルセの両手から魔力が放たれた。これまでナルセが放った攻撃よりも、かなり強力なものだと察知した。


「攻撃が像に命中したぞ!」


 ヴィルソルの喜ぶ声が聞こえた。ナルセの魔力は強烈な音を発し、像に命中して爆発のような音を発した。これで終わっただろう。その時、私はこう思っていた。だが、目の前にいるギルテの魔力は変わっておらず、ケンジも苦しそうな表情を浮かべていた。


「そんな……嘘でしょ……」


 ナルセの残念そうな声が聞こえた。私もその光景を見て声を失っていた。あれだけ強烈な魔力の攻撃を受けたのに、像には傷一つも付かなかった。


「あの像は我の体だ。あの中には膨大な魔力がある。さっきも言っただろう」


 まずい。ギルテの体からとんでもないオーラを感じる。とんでもない量の魔力を開放するつもりだ!


「今回は特別にほぼ全力の技を使ってあげよう。死んでも後悔するなよ」


 その後、ギルテの周りに虹色のような渦が発生した。ナルセは私とルハラを呼び、皆の周りにバリアを張って防御しようとしたけど、そのバリアはすぐに壊されてしまった。


「そんなバリアを張っても無駄だ。貴様と私では魔力の桁が違うからな」


 ギルテはそう言うと、気を失ったケンジを私たちの方へ向かって投げた。


「もう盾の役目は終わった。せめて全員まとめてあの世へ逝くがいい。家族で逝くことができるんだ。嬉しく思え」


 私たちはギルテには向かおうとしたが、その前に虹色の渦に飲まれた。気を失う前に覚えているのは、体中に強烈な痛みを感じた。




 イドナの村の外で戦っていたニッコーは、茫然としながらその場に立っていた。


「人の命がこう簡単に……」


 ニッコーの目の前には、大量の血肉が水たまりのようにできていた。


「ニッコー殿、無事であったか」


 その時、別の場所で戦っていたタトミとその部下がニッコーの元へやってきた。


「無事も何も……戦っている最中に奴らが破裂したのじゃ」


「そっちもそうだったのですか」


「タトミ殿もそうでしたか。いやはや、禁断スキルを使ったとは聞いていたが……これほどとは」


「ええ、恐ろしいスキルです」


 会話をし、二人はオノブの元へ行くために村へ戻った。


「洞窟の前にいるのだろうか?」


「多分そうでしょう」


 オノブがいると思われるダムング像の洞窟前に到着した二人だが、最初に目にしたのは憤りで地団駄するオノブの姿だった。


「何かあったのですか?」


「あの小僧に逃げられた! 畜生! あと少しで仕留められたのに! わしも詰めが甘い!」


「まぁまぁ……奴は今度会った時始末しましょう」


「そう思っているが、悔しくて悔しくて……」


 オノブがこう言った直後、突如地鳴りが発生した。


「何じゃ!」


「洞窟の方から……」


「まさか、剣地たちの身に何が!」


 しばらくすると、村の住民が不安に思い、ダムング像を見始めた。その中にはロアム少年もいた。


「何だ、これ……今までこんなことはなかったのに……」


「もしかしたら、ダムング像は我々が思っていたよりも恐ろしい物かもしれません……」


 フリライトは冷や汗をかきながらこう言い、アヤシはそうかもしれないと返事をしていた。


 数分後、洞窟は大きな音を発しながら崩壊し、その中から紫色のオーラを放っているダムング像とギルテ、そして剣地たちが宙に浮いていた。


「剣地!」


 オノブが叫び声をあげると、ギルテは腕を動かして剣地たちをオノブの元へ飛ばした。様子を調べたタトミは、目を開いてこう言った。


「そんな……息をしていない……」


「それはそうだ。この邪神がこいつらを始末したのだからな」


 この言葉を聞き、オノブたちは絶句した。


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