武士の戯れ
オノブは刀を構え、家光に斬りかかった。家光は素早く刀を手にし、オノブの攻撃を防御した。
「やりますね」
「はん。あの狸にそれなりに鍛えられたか」
「ええ。その通りですよ」
家光はこう言うと、後ろに下がって距離を取った。そして少し呼吸をして態勢を整え、後ろに下げた右足に力を入れ、勢いよく走り出した。
「はん。直接叩きにくるか」
オノブは剣を握ってその場に立ち、家光が接近してくるのを待った。
「信長様、あなたがいたら私の野望の障害になるんですよ。だーかーらー……死んでください!」
「たわけたことを言うな! お前が死ね!」
家光は刀を振り上げ、オノブは刀を横に振り回した。互いの刀の刃が激しくぶつかり合い、耳鳴りするような金属音が周囲に響いた。その音の衝撃か、周りに生えている木の葉がゆらりと落ちた。
しばらく刃同士がぶつかっていたが、二人は刀を戻し、剣筋を変えてスピードを込めて攻撃した。これもまた、刃同士がぶつかった。
面倒だ。こんなことを続けていたら、体力がなくなってしまう。
オノブはこう思い、刀を強く握った。殺気の攻撃より強い力が込められたと察した家光は、剣を鞘に納めた。この行動を見たオノブは、不審に思わなかった。居合斬り。この技を使うのかと思っていたからだ。
「力でぶつかるつもりか?」
「敵に策を話すなど、バカなことはしませんよ」
家光は笑みを作ってこう返した。
「うっへー、気味悪い笑み」
その笑みを見たオノブは、舌を出して気持ち悪いとアピールした。その直後、家光の鞘から刀が抜かれた。それを一瞬で見抜いたオノブは、家光の刀を持つ右腕を蹴った。
「なっ!」
「これで刀が抜けるか?」
オノブは足に力を入れ、家光に刀を抜かせまいとした。家光は何度も刀を抜こうとしたが、力負けして刀は抜けなかった。
「卑怯者、刀の戦いに足を使うとは!」
「貴様と真剣勝負をするつもりはない。わしはどんな手を使っても貴様を殺すつもりだからな。それに、卑怯者はお前のことじゃろうが」
オノブは刀を構え、家光に突き刺そうとした。刺されると察した家光は後ろに下がり、刀を抜いた。
「居合は諦めたか」
「ええ。あなたと同じように卑怯な手で行きます」
その直後、オノブは家光から魔力を感じた。
「魔力か……」
「こう見えても使えますよ、魔力」
家光は巨大な竜間を発生させ、オノブを飲み込んだ。
「グァァァァァァァァァァ!」
「アハハハハハ! あなたのような実力者でもこの魔力の竜巻を受けたら悲鳴を出すんですね! そのまま斬り刻まれて死ね!」
竜巻から聞こえてくるオノブの悲鳴を聞き、家光は勝利を確信していた。だが、家光の顔に浮かぶ笑みはすぐに表情を変えた。竜巻の中から魔力を感じ、驚いたのだ。
「仕方ないのう、わしの本気を見せたる!」
オノブの叫び声と共に、竜巻はかき消されてしまった。
「何だ、その魔力は……私と同じ風か?」
「外れじゃ。わしは火、水、風、雷の魔力が使えるぞ!」
オノブはこう言うと、火と雷の玉を家光に向けて放った。家光は風で火の玉と雷の玉を落としたのだが、腹に違和感を察し、触ってみた。そこには、氷柱が突き刺さっていた。
「グフッ……」
「油断大敵じゃのう。それ」
氷柱を受けて隙らだらけの家光に対し、オノブは竜巻を放った。この大きさは、家光が放った竜巻よりも大きかった。
「う……うわァァァァァァァァァァ!」
家光は竜巻に飲まれ、斬り刻まれて行った。その際、魔力を解放しようとしたのだが、再び違和感を察した。すると、突如竜巻が消え、上空にいた家光は落下した。
「グハッ!」
「グッ……頭が痛い……」
オノブはそう言って魔力を止め、刀を杖代わりにして体を支えた。傷を負って負傷した家光は、荒く息をしながら自分が乗ってきたバイクへ戻った。
「あ、逃げるのか……あたたたた……」
オノブは家光を追いかけようとしたのだが、頭痛のせいで体が言うことを聞かなかった。
バイクで逃げる家光は、徐々に頭痛が回復していったせいか、楽になっていた。
「あの魔力は……邪神の体の力か?」
家光は察していた。あの洞窟にあるダムング像と言うのが邪神の体だということを。だが、傷を受けた今はあの洞窟へ入ることはできない。それに、魔力を使ったら頭痛が発生する。さてどうしよう。そう思いながら、家光は逃げていた。
ダムング像の洞窟へ入ったギルテは、奥へと進んでいた。
「何もない洞窟だなぁ」
そう呟きながら、ギルテは歩いていた。しばらくし、目の前に不気味な像を見つけた。それがダムング像。そして家光から聞いた邪神の体だということを、すぐに察した。
「これが目当ての物か。にしても不細工な像じゃのう。こんな物が欲しいとは、変わった男だ」
ギルテはダムング像を手にしようとした。その時、ギルテの頭の中に謎の言葉が聞こえてきた。
ヨコセ! オマエノイノチヲヨコセ!
チカラヲヨコセ! ソノチカラヲオレニヨコセ!
その言葉は何度も同じことを叫んでいた。最初は小声だったのだが、徐々に大きな声になった。そして騒音レベルに達し、ギルテの精神は壊れ始めた。
「何だ、この声は? 力をよこせ? 貴様のような奴にわしの魔力と体をやるわけがない!」
何度もこう叫んだのだが、次第にギルテの精神は崩壊し、魔力を解放した。ギルテの体から魔力が発生し、ダムング像はその魔力を吸収していった。その時、現場に到着した剣地たちが、その様子を見ていた。
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