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独裁王国の内情


成瀬:ヴィルソルの部屋


 剣地とヴィルソルが出発した後、私たちはシリヨク王国へ向かう準備を始めた。


「準備はいい? あの国は治安が悪いから、ガラの悪いおっさんやコソ泥に気を付けてね」


「オッケー」


「ルハラは本当に分かったかしら? 変な男と変なことして変な性病かからないでよね」


「私が体を預ける男はケンジ一人だけだよ。他の男に誘惑されるような女じゃないよー」


 ルハラが体を回しながらティーアにこう言った。


「ナルセ、準備はいい?」


 武器や道具を装備したヴァリエーレさんが私にこう聞いた。


「ええ。できています!」


「じゃあ行くわよ!」


 その後、ティーアの掛け声とともに、私たちはマージドイナカ山から旅立って行った。




成瀬:シリヨク王国前


 数分後、私たちはシリヨク王国の門の前に着いた。ガムを噛んでいる門番が、気だるそうに私たちの方を見て睨んだ。


「ガラの悪い門番ね」


「大丈夫だって。私に任せて」


 ティーアはガラの悪い門番に近付き、勇者の紋章を見せつけた。


「ウッヴェエエエエエ! あの勇者様?」


「何でこんなクソみたいな国に?」


「用があるのよ。ほら、通して」


「はい! 分かりました!」


 その後、私たちはティーアのおかげで難なくシリヨク王国へ入ることができた。町の中はかなり荒れていて、あちらこちらで喧嘩があり、風俗嬢らしき女性が男性に誘惑をしていた。


「ほら、これが独裁王国よ。適当な政治のせいで国民たちは皆荒れちゃったの」


「ほんと、酷いねー」


 ルハラは近寄ってきたチャラ男を魔力で風を発して薙ぎ払いながらこう言った。その行動を止めるため、ヴァリエーレさんがルハラの体を止めていた。そんなヴァリエーレさんを見た周りの男たちは、下品な声を上げながら近寄ってきた。


「へいへい姉ちゃん」


「俺らと遊んでくれよ」


「すみませんね。こう見えても私、人妻ですので」


 ヴァリエーレさんは、剣を構えてこう言った。男どもは剣先を見て、悲鳴を上げながら逃げて行った。


「遊んでないで。さっさと進むわよ」


 ティーアはこう言っていたのだが、彼女の周りにはコテンパンにされた男どもが倒れていた。


「いつの間にこんな状況に」


「ガキンチョ扱いされたからボコしてやった」


「それ、勇者のすること?」


 いつも呆れるような行動をしているルハラが、今回はティーアの行動に呆れていた。




剣地:シリヨク王国裏道


 そろそろ成瀬たちはこの国に入ったかなー? 俺はこのことばかり考えていた。


「ケンジ、ボーっとするではない!」


 俺の前を歩くヴィルソルがこう言った。俺は返事をし、ヴィルソルの後をついて行った。


 治安が悪い国だとは思っていたが、俺の予想ははるかに超えていた。今、俺とヴィルソルはシリヨク王国へ侵入するため、裏道を歩いている。そこには、いろんな人が倒れていた。


「酷いな」


「この人たちは税金が払えないからここへ逃げてきた人だ。だけど、ここから外へ出ると凶悪な野良モンスターがあたりをうろうろしている」


「餌にされるってわけか。王様はこのことを知っているのか?」


「知っているから無視をしている。この国の王にとって、税金を払うことはできない住人はゴミと同じ扱いだからな」


「話聞いたら腹が立ってきた。急いであの王様を張り倒そう」


「ああ」


 そんな会話をしていると、後ろから足音が聞こえた。


「敵か?」


「いや。情報だと、この辺りに兵士はいないはず」


「じゃあ何だ?」


「分からない。今わかることは、あいつが魔力を使えるってこと」


 俺とヴィルソルは同時に振り返り、追手の存在を確認した。追手はすぐに俺とヴィルソルが感づいたことを察したのか、すぐに逃げた。


「後を追うか?」


「ああ。もし、兵だとしたら厄介なことになる」


 俺とヴィルソルは走り出し、追手の後を追い始めた。相手はすばしっこい野郎かと思ったけど、相手のスピードは徐々に落ちていき、最後にはその場に倒れてしまった。


「もしもし?」


「おい、大丈夫か?」


 俺とヴィルソルが声をかけたが、相手は返事をしなかった。


「ヴィルソルって魔力で人を回復できるか?」


「できぬ。うむ、どうしよう」


 考え込んでいると、倒れた相手がぽつりとこう言った。


「に……西の酒場へ……ここから……まっすぐ行けば……着きます」


 相手の言葉を聞き、俺とヴィルソルは顔を見合わせた。このまま放置しておくわけにもいかない。


「しょうがない。連れてくか」


「そうじゃのう」


 俺は倒れた相手を背負い、言われた通りに進み始めた。




成瀬:西の酒場


 西の酒場、ここが依頼主との待ち合わせの場所。酒場というからには、荒い人や店中に煙草や酒の臭いが充満して気持ち悪い空間になっているのではと思っていた。だが、この酒場、ロックハートという名前だけど。その店はとてもキレイだった。


「ちっちゃいけど、いい店じゃないの」


「そだねー」


 ティーアとルハラは辺りを見回しながらこう言った。私たち以外にも、客が三人ぐらいいた。皆私たちに興味がないのか、黙って飲み物を飲んでいた。酒場というぐらいだから、酒を飲んでいるのだろう。


「で、依頼主はどこにいるのかしら?」


 ヴァリエーレさんは、依頼表を見てこう言った。依頼表にはこの店で待ち合わせをするって書いてあったけど、依頼主を示す文章がどこにもなかった。


「だったら聞けばいいじゃないの」


 ティーアはそう言うと、近くにいた客に話しかけた。


「すいません、誰かギルドへ依頼ってしましたー?」


「しねーよ、そんなこと。俺に払う金なんてない」


「そうですか。野暮なこと聞いてすみませんした」


 その時、カウンターで酒瓶の整理をしていたお姉さんが私たちに声をかけてきた。


「ねえ、待ち合わせ?」


「うん。一応ギルドの依頼できましたが、依頼主っぽい人がいなくて」


「そう……」


 お姉さんは短く返事をすると、手を叩いて大声を出した。


「はいはい! 今日はもう閉店だよ!」


「何だよ、イーファさん。まだ閉店には早いぜ」


「用ができたの。ほら、払う物払って帰った。あ、メノルさん。今日こそは溜まったツケを払ってよ?」


「ひェェェェェ、当てた時に返すよ」


「ギャンブルをする金があったらとっとと払いなさい」


 店のお姉さん……イーファさんってお客さんが言っていた。イーファさんは私たち以外のお客を返し、店じまいの札を入口に掲げた。


「さーてと。それじゃあ依頼の話をしましょう」


「え? あなたが……依頼主さん?」


 私は目を丸くして驚いていた。そんな私を見て、イーファさんはくすりと笑った。


「驚いた? ごめんね」


 イーファさんは私たちをお店の奥へ案内し、とある一室の扉を開けた。だが、その部屋には大きなタンスと電話みたいなものがあるだけだった。


「何これ?」


「すぐわかるわ。レット、ギルドの人がきたわよ」


「了解。入口を開けるからタンスを開けて待ってくれ」


 電話っぽい機械から声が聞こえた。イーファさんは言われた通りタンスの扉を開けて、少し待っていた。すると、タンスの床が音を立てながら開いたのだ。


「おおおお! これは一体何?」


「クーデター軍の秘密基地への入口よ」


 その後、私たちはイーファさんの後に続き、秘密基地へ入って行った。梯子を伝って下へ降りていくと、また扉が現れた。扉の奥から、男性の声が聞こえた。


「イーファ。きたか」


「あら、フィロス。あなたがお出迎え?」


「レットは別の用事で別室にいる」


「そうなのね。じゃあ早く扉を開けて」


「ああ」


 会話の後、目の前の扉が開いた。


「君たちがギルドの者か」


 綺麗な水色で、長髪の男性が私たちに向かってお辞儀をした。


「私の名はフィロスです。クーデター軍の密偵を務めております」


「密偵ですか」


「はい。詳しいことは中でお話ししましょう」


 その後、私たちは部屋の中に入り、中央に置いてある椅子に案内された。


「汚い椅子ですが……」


「いえ、気にしませんので」


 私たちが椅子に座ると、突如大きな声が聞こえた。


「誰だ、テメェ! ここじゃあ見ねえ顔だな」


「うわっ! いきなり大きな声を出すなよ!」


「そうじゃ! 耳に悪い!」


 何があったのかと思い、私は席を立って様子を見た。すると、大きな体格の男性が、剣地とヴィルソルと言い争いをしていた。というか、どうしてケンジとヴィルソルがここにいるの? それと、剣地が背負っている人は誰?


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