リバースカプセルの恐怖、再び
ヴィルソル:アオーラ王国領域内
なんてことだ! マスカレードファイトの事件の時に我らを苦しめたあのリバースカプセルが、ここでまた猛威を振るうことになるとは!
「あのカプセルがここに……じゃあ、奴もここに……」
まずい、ナルセがジョンのことを思い出し、殺意のオーラを放っている。ケンジが何とかナルセを落ち着かせようとしているが……あの様子じゃあ無理じゃのう。ナルセが落ち着くのはしばらく無理そうじゃ。
「死体が動いている……なんか変な魔力かスキルでもあるのか?」
「リバースカプセルですよ、オノブ様! 話題になったじゃないですか、どっかの国がこの兵器を利用して戦争を有利に動かしたってニュースが! まさか、ここでリバースカプセルと遭遇するとは思いもしなかった……」
ニッコーさんがこう叫んでいると、後ろからゾンビが襲ってきた。我は急いで闇を放ち、ゾンビを倒した。
「うひゃぁ……死んでいるから気配が感じなかった……厄介だなぁ」
「まーとにかく、死んでゾンビになった奴らも敵ってことでいいか?」
「はい。奴らに噛まれたら死んでしまい、ゾンビになってしまうので注意してください!」
ヴァリエーレがこう言うと、周りのゾンビを銃で蹴散らしていた。ケンジもゾンビに噛まれないように、銃で攻撃をしていた。
ゾンビと化した革命軍の数は、かなり多かった。いくら倒しても数が減らない。それに、革命軍の服と違った服装のゾンビが混じっている。アオーラの兵士がゾンビに噛まれ、ゾンビになってしまったのだろう。
「味方の兵士もろともゾンビにさせたようじゃのう……」
イエヤスの頭のねじはぶっ飛んでいるのか? 命をないがしろにするような行為、絶対に許されるはずがない。我がぶっ倒してやる。
しばらく戦っていたが、ゾンビの群れがしつこいせいでなかなか前に進まない。
「こりゃ面倒だねー」
「いくらなんでも数が多すぎるよ」
ルハラと勇者はこう言いながら、目の前のゾンビに攻撃をしていた。我も何対ゾンビを倒したのかもう数えていない。こんなに苦労するなら、あの時ジョンの奴もまとめてカプセルを壊せばよかった。
「ジョンの野郎、どこだァァァァァァァァァァ!」
ここでナルセの咆哮が聞こえた。まずい、ケンジだけじゃナルセを抑えられなかったか。ナルセは魔力を開放していて、辺りに火や氷、風、雷が飛んで行き、更には地面が変形している。大地を操る魔力を使っているのか!
「うわァァァァァァァァァァ! ちょっと!」
「成瀬殿、我らもいることを忘れないで! 巻き添えになってしまいますよー!」
「なーっはっは! 成瀬がこんなに強いとは知らなかったー!」
突然地面が変形し、ニッコーさんやタトミさんは慌てているが、オノブさんは余裕のようだ。笑っているよ、あの人。だけど、ナルセの暴走のおかげでゾンビの数が一気に減った。
「姿を出せジョン! さっさと姿を出しやがれェェェェェェェェェェ!」
「落ち着け成瀬、お前がこんなに暴れていたらあいつが逃げるだろうが」
「それもそうね」
ふぅ。何とかナルセは落ち着いたようだ。ゾンビも大半片付いたし、先に進めるようだ。前を見ると、大きな城が見えてきた。
「あの城に家康がいるのじゃな」
オノブさんは神妙な顔つきでこう言った。多分そうだ、あの城の中に黒幕のイエヤス……名前はイウチになっとるが、そんなことはどうでもいい。あいつがいる。ようやく、我らはあいつがいる城へたどり着いたようだ。
「ぶえっくしょい!」
とある町の酒場にて、大きなくしゃみが響いた。
「風邪か? ジョンさんよ?」
酒場のマスターが、鼻水を垂らすジョンにティッシュを渡し、こう聞いた。
「いや、俺は風邪にならない体質なんだけどね……ティッシュある?」
と、ジョンは鼻をかみながら答えた。その時、テレビでアオーラ王国のニュースが流れていた。
「またあの国の話題のようだな。確か、ギャッツがあの国を相手に商売しているのだろ?」
「そうだね。まだ姿を見せないから、商売は続いているようだ」
ジョンはフライドポテトを食べ、こう言った。そんなジョンに、店のマスターはこう話した。
「知っているか? ギルドの連中があるパーティーにイウチの討伐を頼んだらしいぜ」
「へー、一体どこのギルドに?」
「お前さんを狙うパーティーだよ」
この言葉を聞き、ジョンの背中に悪寒が走った。
「嫌なことを思い出すようなことを言うな」
「悪い。でも、あの事件に巻き込まれて奴らがあの世へ逝けば、お前さんも気が楽だろ」
「確かに。あのバケモンの嬢ちゃんに命狙われているし」
ジョンはコップのワインを飲み、成瀬のことを思い出しながら返事をした。しばらくし、店のマスターは小さく呟いた。
「ギャッツの奴、死ななきゃいいけどな」
「確かに。今、あそこは激戦区、死が隣り合わせの場所だ。死んだって知らせが入ってもおかしくない」
「そう言うことを言うなよ、本当に奴が死ぬかもしれないじゃないか」
「俺がこう言うことを言うと、逆のことが起こる」
と言って、ジョンはポテトを食べ終えて、財布から金を出した。
「ごちそうさん。ほれ」
「釣りは欲しいか?」
「とっときな。いつものサービスだ」
「あいよ。今度はギャッツの奴と一緒にこいよ」
「あいよー」
と言って、ジョンは店から去って行った。
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