表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
198/594

居合の勝負


 刀を鞘に納めたオノブは、サダマに詰め寄った。


 居合斬りで攻撃するつもりか?


 サダマはこう思い、防御の態勢を取った。その直後、オノブは目で追えないほどの速さの居合を放った。


「なっ!」


 サダマは刀でオノブの居合を防御しようとしていた。しかし、オノブの刀はサダマの刀を斬り壊し、サダマの腹をかすった。


「ぐぅっ!」


 サダマは斬り壊された刀を見て、オノブから距離を取った。


「悪いの。高そうな刀を台無しにしてしまって。余裕があったら新しい刀を買ってやるぞ」


 オノブは悪い笑みをしてこう言った。しかし、サダマは斬り壊された刀を握って魔力を込め始めた。それを見たオノブの表情から、笑みが消えた。


「まだ勝負は終わっていない。刀は……残っている」


「そのようじゃの」


 オノブは考えていた。あの男は折れた刃の代わりに、魔力の刃を発して襲ってくると。魔力の刃は鉄で鍛えた刃とは違い、何でも斬れてしまう。それが鉄であるとも。


「覚悟」


 サダマは一言こう言って、オノブに斬りかかった。居合のような構えなのか、刀を振る速度は早かった。


 あの攻撃を受けたら、わしでもやばいのう。


 オノブは心の中でこう思った。オノブ自身にも魔力はあるのだが、あまり使ったことはない。


「ニッコーの言うとおり、魔力を鍛えていればよかったの」


 と、攻撃をよけながら小さく呟いた。その呟きが耳に入ったのか、サダマは攻撃を止めてこう聞いた。


「何もしてこないのか?」


「考え中。ちーっと待ってろ」


「なら、考えることを止めるのを手伝ってやろう。死ねば考えることはなくなるだろう」


「わしを始末すれば、思考は止まるってわけか?」


「その通りだ。死ぬ覚悟を決めたら、さっさと斬り殺されろ」


 サダマはオノブに接近し、攻撃を仕掛けようとした。しかし、オノブはサダマが攻撃をする瞬間、サダマの右腕に蹴りを入れた。


「なっ!」


 右腕を蹴られたせいで、途中で攻撃の軌道が変わった。その結果、振り上げようとした魔力の刃は、サダマの腹に刺さった。


「ぐぅっ!」


 刃が腹に食い込んだのを感じた一瞬、サダマは魔力を解除して魔力の刃を消した。しかし、その一瞬がサダマに大きな傷を与えた。


「あーあ、見ているこっちが痛そうじゃ。鉄で斬られるのと、魔力で斬られるの、どっちが痛い?」


 と、オノブは笑いながら質問をした。サダマは脂汗を額に浮かばせ、片膝をついた。少しでも休み、痛みを和らげようとしているのだ。だが、オノブは回復をさせなかった。


「悪いが、お主を斬る」


 オノブはサダマに接近し、一瞬で刀を振り上げた。サダマは口から血を流し、オノブを見てこう言った。


「見事……」


 この直後、サダマの腹から血が流れ、サダマはその場に倒れた。




ヴァリエーレ:アオーラ王国領域内


 雑魚の片付けは終わった。それと同時に、ケンジとオノブさんの戦いも終わったようだ。戦いが終わった後、私たちは二人と合流した。


「家康の部下と戦った。今後、あいつの部下と戦うことも予想されるの」


「結構強かった?」


 ルハラの質問に対し、二人は同時にこう言った。


「それなりに」


「あまり強くなかったのー」


 それなりか。まぁ、頑張れば倒せるレベルの強さか。しかし、さっき倒した男は前座の可能性が高い。これからもっと強い奴が出てくるかもしれない。私は心の中でそう思っていた。


 その後、周りの敵を倒した私たちは先に進んだ。しばらく先に進むと、目の前にこの世のものとは思えない光景が現れた。


「何なの……これ……」


 目の前の光景を見たナルセが、驚きのあまり体を震えさせている。ルハラは目が点となり、ティーアとヴィルソルは気分が悪くなったのか、目を背けている。


「これ……全部人なの?」


「多分……」


 その光景とは、無数に転がる人の死体。一部は山のように重なっていたり、別の一部では死体が腐敗して、無残なことになっていた。


「何でこんなことに……」


「奴らが始末した革命軍の連中じゃ」


「もしかして……これ全部が……」


 ケンジはオノブさんの答えを聞いて、驚いていた。イウチの奴は、自分に逆らった革命軍の人たちを殺したが、面倒が処分なのか放置していたのだ。


「もっとわしらが早くこればこんなことにならなかったのにのぉ……済まぬ」


 オノブさんは申し訳なさそうにこう言った。だがその時、私は死体の一部が動くのを目撃した。


「どうかしたのですか? ヴァリエーレさん」


 タトミさんが私の様子に気付き、こう聞いてきた。だけど、質問に答えている暇はない。私は死体が動くなんてことはあり得ないと思っていた。しかし、今この目で死体が動き出すのをはっきりと目にしている!


「な……何でじゃ……何で死体が!」


「うわァァァァァァァァァァ! 化け物か?」


「死体が動くなんて……こんな奇天烈なことが……」


 動く死体を見たオノブさんたちは、悲鳴を上げて驚いている。そんな中、私は思い出した。あのカプセルの存在を! 私たちは一度、死体が動くのを目撃したことがある!


「チッ……まさかあの男がここにきたのかしら……」


 ナルセから殺意の波動を感じる。ナルセもあの時のことを思い出したのだろう。


 リバースカプセル。セブンワーオンが開発した蘇生薬もどき。死体に使えば、ゾンビとなって蘇る。セブンワーオンのブレアはそれを開発し、秘密裏に販売しようとしていた。しかし、武器商人のジョンがその設計図や試作品を奪って逃走した。まさか、あのカプセルがここでまた私たちに牙をむくとは!


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ