アオーラ到着
剣地:アオーラ領域前
ついに徳川家康がいるアオーラ王国へ到着した。と言っても、俺たちが到着したのは王国内ではなく、その外の領域の前である。このまま踏み込んだら、アオーラ王国敷地前にある門に付いているミサイルが飛んでくると、オノブさんが言っていた。事前にサーチしていたのだろう。
「皆、話を聞いてくれ」
オノブさんが俺たちを集めた。オノブさんの話を聞くと、これから門を潰すようだ。門さえ潰せば飛行船に飛んでくるミサイルは無効化できるとのこと。ちなみに、いくつかアオーラ王国に入るための門はあるのだが、一つ一つの距離が開いているせいで、一つ問題があってもすぐに駆け付けることはできないそうだ。
話を聞いたヴィルソルが、少し腑に落ちない顔をしながらオノブさんにこう言った。
「慎重に叩かなくていいのか? 騒動を起こせば、我らがこの国に入ったことが奴らに知られるのでは?」
「奴らはもうわしらがいることを察知している。慎重に動いても無駄じゃ。だから、ここは暴れてやろうじゃないか」
「そうか。それなら話が早い」
「で、どの門を潰せばいいのかしら?」
と、話を聞いた成瀬が、とんでもない魔力の塊を手に放出させてオノブさんに聞いた。いつの間にあんな大きい塊を発したのかよ。
「あれじゃ。右前方に見える白い建物じゃ。サーチによると、あれが門じゃ」
「分かったわ」
成瀬は返事をすると、思いっきり強く魔力の塊をぶん投げた。そして、門に命中して大爆発を起こした。
「行くぞ、皆の者! 戦の幕開けじゃァァァァァァァァァァ!」
オノブさんは刀を構え、走り出した。うし、こうなったらやり切るしかない! 俺は剣と盾を装備し、オノブさんの後ろから走って行った。
門を抜けると、奴らが雇った傭兵らしき連中が襲ってきた。
「ケンジ!」
ヴァリエーレさんの声が聞こえた。その直後に銃声がし、目の前の傭兵が倒れて行った。
「援護は任せて」
「お願いします」
「私たちも」
「いるよー!」
ルハラとティーアが同時に前に出て、襲ってくる傭兵たちを倒し始めた。その上空では、ヴィルソルが発した闇が傭兵たちを吸い込んでいた。だが、ヴィルソルはため息を吐いてこう言った。
「これだけいても、数が減らないのう」
「確かにの。雑魚の相手は面倒じゃ」
オノブさんは目の前の敵を斬り倒し、近くに着地したヴィルソルと話をしていた。ニッコーさんとタトミさんも、雑魚の相手にうんざりしているようだ。
「皆、私の傍にいて」
魔力を解放した成瀬がこう言った。その時、俺たちは上空から何かが降ってくる音を聞いた。まさか……成瀬の奴、また隕石を落とすつもりか?
「皆、急いで成瀬の周りに集まれ!」
俺の声を聞き、皆は急いで成瀬の周りに集まった。成瀬の周りにはバリアが張られていた。それで、上空の隕石を雨のように落としていった。
「ありゃま、こりゃすごい」
「成瀬殿……あなたは一体、何のスキルを……」
「マジックマスター・ネオとゼロマジックを使っています。まだ戦えますのでご安心を」
と、成瀬はニッコーさんとタトミさんの方を向け、ウィンクをしながらこう答えた。
ルハラ:アオーラ王国領域内
あららー、ナルセが隕石を落としたせいで、辺り一面が焼け野原になっちゃったよ。だけど、傭兵たちは死んではいないようだ。ナルセが半殺し程度に威力を落としておいたから、命を落とさずに済んだようだ。
「ぐぅ……こんなことが……」
「事前に聞いた情報と違う……」
「これが……奴らの本気か……」
倒れている傭兵が、苦しそうにこう言っている。まぁ、死にはしないからほっておいても大丈夫だろう。体は鍛えているから、生命力もあるだろうし。
「さぁ、行きましょう」
周辺の傭兵を倒した後、ナルセはこう言った。だが、別の魔力が近付いてきている。これはただの傭兵じゃない。結構強い奴だ。
「ふぅ、空を飛んでくるのも大変だな」
「ああ。だけど、これも命令だから仕方ない」
現れたのは二人の男だ。着ている鎧はこっちの世界の物じゃないような気がする。腰に携えている刀も、オノブさんが所持している物と形が似ている。
「貴様ら、家康の部下か」
オノブさんがこう言った。イエヤス……ああそうか、前の世界での奴の呼び名だ。そうか、イエヤスの部下が直接私たちの相手をするつもりなのか。
「何だ、本能寺の変でくたばった信長様ではありませんか」
「我らの国に何の用で?」
奴ら、オノブさんを挑発しているようだ。だけど、オノブさんは冷静な態度で奴らにこう言った。
「アオーラを助けにきた。それ以外の理由はない。お喋りはここで終わりか? それなら、かかってこい、クソ狸の部下よ」
おっと、逆に挑発を返してきた。自分の上司をバカにされたからか、奴らは腹が立っているようだ。
「貴様……あの人を……家康様をバカにするなよ!」
「もう一度あの世へ送ってやる!」
あの二人が襲ってきた。オノブさんの護衛に行きたいけど、奴らと一緒に傭兵たちも現れた。クソッ! こいつらの相手もしないと! そう思っていると、ケンジがオノブさんの横に移動した。
「皆は雑魚を頼む。俺はこいつらと戦う」
「よっしゃ、片方は頼むぞ! 剣地!」
「了解です!」
ケンジが援護に向かったのなら、安心だ。私たちは一思いに雑魚を相手に戦おう!
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