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飛行船を守れ


剣地:オハリの飛行船


 奴ら、ハーヤナギ谷の下で俺たちがくるのを待っていたのか。ロケットランチャーまで持ち出しやがって。


 俺とタトミさんは周りを見て敵の居場所を確認した。しばらくすると、発射音が響いた。


「ケンジ、守りは我に任せろ」


 中からヴィルソルが現れ、バリアを張った。これでロケット弾から飛行船を守ることはできる。しかし、バリアが張られた状態では反撃は行えない。


「このまま向かうか?」


「うむ……」


 タトミさんは深く考え始めた。この状況はよく考えないと打開できない。バリアを張った状態でアオーラに到着しても、後から連中が追っかけてくる。バリアを外して戦うことを選んだら、ロケット弾を受ける可能性がある。


 進んで後で反撃するか、後で楽をするために多少無理をして連中を片付けるか……どっちかだな……。


 そんな時、オノブさんが様子を察してやってきた。周りには銃を持った部下たちが立っていた。


「オノブ様」


「位置に付け。下にいる連中を倒すぞ。これだけ数がいれば、下手な鉄砲でも当たるだろ」


「分かりました!」


「俺も協力します」


「私もー。風で攻撃できるよー」


 その後、俺とルハラは飛行船の左舷に移動した。全員が位置に付いた時、オノブさんはヴィルソルにバリアを解けと告げた。


「反撃じゃ! 一斉に銃を撃て!」


 部下たちの威勢のいい叫び声と共に、発砲音が響き渡った。俺はライフルで敵を狙い撃ちにし、ルハラは風の弾丸を発して敵を攻撃していた。


「飛んでくるロケット弾は我が対処する。お主らは思う存分撃ちまくるがよい!」


 ヴィルソルは上空へ飛び上がり、ロケット弾が飛んでこないように見回りを始めた。それから、俺たちは敵の攻撃が止まるまで、ずっと銃を撃っていた。この世界にきて銃で戦ったことはあったのだが、今回はそれ以上に引き金を引いたと思う。


「ふぅ……」


 俺はリロードをしながら、呼吸して息を整えていた。倒した敵の数はもう数えていない。それでもまだ敵はいる。


「どれだけいるのだか……」


 リロードを終えた俺は、再びライフルを構えて攻撃を開始した。




ヴィルソル:オハリの飛行船上空


 ケンジたちが銃で応戦しているが、奴らはまだ出てくる。どこから出てくるのやら。闇の魔法で応戦したいのだが、下手すればロケット弾を打ち落とせなくなる。攻撃はケンジたちに任せよう。


 ロケット弾をかき消しているうち、我は連中がとんでもない物を用意しているところを目撃した。あれは……嘘だろ、ミサイル? ただの裏ギルドかと思っていたが、あんな兵器を持っていたのか!


「ケンジ! 皆! あいつら、ミサイルを使ったぞ!」


「嘘だろ!」


「構わん、撃ち落とせばロケット弾と同じじゃ! 多分大丈夫!」


「同じではない! あれは爆発したら周囲に被害が及ぶ! ロケット弾の爆発と比べると、とんでもない威力じゃ!」


 ミサイルか……仕方ない! 我の闇で消し炭にしてやろう! 我は両手に闇の塊を発し、巨大化していった。


「おお、でかい闇の玉じゃのう」


 オノブさんが我の闇の玉を見て驚いた。先の戦いなので経験を積んだせいか、かなり魔力の操作が上達したと思う。さーて、そろそろ頃合いじゃ。我はそう思い、闇の玉をミサイルに向けて発射した。その同時に、奴らは慌てた様子を見せた。


「おーおー、慌てたって無駄なことを」


 ルハラが飛んでくるミサイルを見て、呟いていた。ルハラの言うとおり、奴らの行動は完全な無駄だ。闇は全て無にする。ミサイルも闇に飲み込まれてしまえば塵となる。その後、ミサイルは闇に向かって発射された。もちろん闇に飲まれ、小さな塵となって宙に消えた。それを見た連中は慌てて逃げようとした。逃すわけがなかろう、我は闇を発し、逃げようとした奴を倒した。


「これで終わりのようじゃのう」


 下からオノブさんの声が聞こえた。あのミサイルで敵の攻撃は止まったようだ。周りを見ると、谷の下にいた連中は皆倒れていた。ふぅ、どうやら終わったようじゃのう。ま、変に強い奴がいなくて運がよかった。




成瀬:オハリの飛行船内


「戻ったぞー」


「終わったよー」


「あまり強くなかった連中じゃ」


 剣地たちが背伸びをしながら部屋に戻ってきた。剣地は息を吐いて私の横に座った。その時、ルハラが私を後ろから抱いた。


「疲れよー。リラックスさせてー」


「セクハラでリラックスはしないでよ」


「むー」


 ルハラはそう言いながら、私の体を触り始めた。結局セクハラするじゃない!


「疲れたなら座ってなよ。セクハラしていたら余計疲れるよー」


 ティーアはルハラをどかそうとしたが、逆にルハラのセクハラの被害を受けてしまった。


「おぎゃあ! 胸を触るな!」


「うーん……ナルセとヴァリエーレの方が大きいなー」


「それを言うな、ほっとけ!」


 疲れているはずなのに、ルハラは元気だなぁ。私は笑いながら追いかけっこをしているルハラとティーアを見ていた。


「呆れた性欲じゃのう」


「そうねぇ……」


 私と同じように呆れているヴィルソルと、どうしたらいいのか分からないと笑っているようなヴァリエーレさんがこんな話をしていた。そんな時、疲れたのか剣地が私の方に倒れた。


「ちょっと、剣地」


「悪い、少し休ましてくれ。神経使いすぎたのと、引き金引きすぎて指が痛い」


「仕方ないわね」


 しょうがない、私は倒れてきた剣地に膝枕をした。しばらくすると、剣地は眠り始めた。子供のような安らかな寝顔ね。


 そんな時、オノブさんが部屋に入ってきた。


「すまんのう。お主たちに伝えたいことがあったんじゃが、お楽しみの邪魔をしたか?」


「いいですよ、何ですか?」


 私は剣地の髪をなでながら返事をすると、オノブさんは外を見るように促し、こう言った。


「そろそろアオーラに到着じゃ」


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