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黒幕イウチの正体


剣地:オハリの飛行船


 いやー、いろいろと驚くことがあった。まさかオノブさんが織田信長だったなんて。というか、歴史の偉人が転生していたことに俺は驚いていた。


 それから、ニッコーさんとタトミさんも正体を明かしてくれた。ニッコーさんは豊臣秀吉、日本を統一した人だ。歴史の授業で秀吉は信長に仕えていたが、志半ばで命を落とした信長の跡を継いで戦い、日本を統一した。そして……タトミさんは明智光秀。信長が命を落とすきっかけとなった本能寺の変を起こした人。何で自分の命を奪った人を仲間に入れたのだろう。そこだけは俺は理解できなかった。それから、信長さんたちは昔の名前より、今の名前で呼んでくれと言っていた。昔は昔、今は今って考えているんだろう。


 オノブさんたちが正体を明かした後、オノブさんは咳をして話を続けた。


「で、わしらがアオーラに向かうのは、イウチの奴を倒すためじゃ」


「それは我らと同じ目的だ。しかし、ただ本当にアオーラのために戦いに行くのか?」


 と、ヴィルソルがこう聞いた。まぁ、正義感が高い人ならアオーラを開放するために戦うだろう。俺はそう思っていた。次の言葉を聞くまでは。


「イウチ……か。奴もわしらと同じようにこの世界に来て名前を変えたか」


「え? 知り合いですか?」


「ああ。奴の名前は徳川家康。わしらと同じ時代に生きた人間じゃ」


 徳川家康! 俺はあの時、神様に言われた言葉を思い出していた。家康が何かをするって。


「ん? どうした剣地? 難しい顔をして」


「実は……」


 俺はオノブさんたちに神様が言っていたことを話した。話を聞いたオノブさんは、顎を触りながら呟いた。


「あの狸野郎、この世界を統一するつもりか? 日本より広い国を統一できるわけがないのに」


「欲が深い男だ」


 タトミさんが険しい顔をしてこう言った。そんな感じで話は終わった。


 その後、俺は外に出て周りを見ていた。いろんなことが起こって頭の整理がついていけないからだ。他の皆は整理がついているようだけれど。


「あれ? どうかしましたか、剣地さん?」


 と、掃除をしていたタトミさんが俺に話しかけてきた。


「いやぁ、日本の偉人たちがこの世界に転生したとかいろんなことが起こりすぎたせいで、ちょっと混乱していて……」


「確かに」


 タトミさんは笑いながら返事をした。うーん……見た限り裏切るような人ではなさそうだけどな……聞いてみようかな。


「あの……質問したいことがあるのですけど……いいですか?」


「ええ。本能寺のことですね」


 う。聞きたいことをぴしゃりと当てられた。どうしよう。気分を害さなきゃいいんだけど。


「困った顔をしないでください。あの事件のことを気になるのは当然でしょうから」


「はい」


 その後、俺とタトミさんはキッチンへ移動し、席に座って話を始めた。


 簡単に説明すると、タトミさんが過去にオノブさんを裏切ったのは、家康のせいである。家康は天下統一をするために、邪魔なオノブさん……というか、信長を殺すため、タトミさん……光秀に甘い言葉などで誘惑してあの事件を起こしたのだと言う。


「あの時、信長様が自信の命を落とす前に、あの男に操られていることを指摘されました。その後、私は秀吉殿に接近し、全てを話した後で自分を討ってくるよう頼みました。その時の秀吉殿の顔は覚えています。とても……悲しそうな表情でした」


「そして、命を落としてこの世界に転生したと」


「はい。転生してすぐに信長様と合流できるとは思ってもいませんでした。それからこの世界で名を変え、自由に過ごしていました。数十年後に秀吉殿も加わりました」


 なんだか、歴史の裏側を知ったような気分だ。だけど、日本にはもう帰れないし、このことを知ったところで何にもできない。過去は過去。何百年以上のことなんて、もうどうでもいいことだ。


 話が終わった直後、俺は谷の方で影が動くのを見つけた。


「何だ?」


 望遠鏡でよく見ると、そいつの手にはロケットランチャーがあった。まさか、あれで攻撃するつもりか!


「タトミさん、敵がいる!」




ティーア:オハリの飛行船、部屋内


 部屋の中で休憩していると、サイレンと共にタトミさんの声が聞こえた。


「緊急、緊急! 外に敵兵あり! ロケットランチャーを所持しています、爆撃に注意してください!」


 休んでいる暇はなさそうだ。奴ら、谷底から奇襲するつもりだったな。私は立ち上がろうとしたが、ヴィルソルとルハラがそのままにしていると告げた。


「どうしたの、二人とも?」


「勇者とヴァリエーレは昨日の戦いで暴れたじゃろ、ここは我らに任せろ」


「少し動かないとねー」


 そうか、魔王は魔王なりに私たちのことを考えてくれているのか。


「じゃあ、後のことは頼むよ」


「任しておけ」


 そう返事をした魔王は、ルハラと共に外へ向かって行った。しばらくすると、遠くからは爆発音が聞こえた。戦闘が始まったようだ。こっちまでロケット弾は届いてないか、ケンジか魔王が打ち落としたのかな。


「見て、あそこに結構いる……」


 ナルセが窓を指さしてこう言った。外には結構な数の敵がいた。どれもこれもロケットランチャーを構えている。


「接近戦は不利だと思って、遠くから攻撃って考えだね」


「剣地が銃でどうにかしてくれるわ。やられなければね」


 これは私たちも出て行った方がよかったかな? 私はそう思いながら、ケンジたちの無事を願った。


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