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卑劣なコンビプレイ


ヴァリエーレ:ココチーノ山道


 あーあ、またナルセが怒りで我を忘れている。こうなったら止めることはできないし、怒らせた相手は痛い目を見る。


「くたばれ!」


 ナルセの両手から、強烈な光と闇の波が発生した。


「ドリュ、俺に掴まれ!」


「頼むブレッダ!」


 奴らは遠くにある岩に向かって鎖を飛ばし、飛んで逃げようとしていた。しかし、逃げることを予測していたナルセは、強烈な風を飛ばして奴らを吹き飛ばしていた。


「おい……手を貸せ」


「ああ。こりゃー二人でやらないと勝てないな……」


 一体何を話しているのだろう。奴らは急に小声で話を始めたが、二人で同時にナルセに攻撃を仕掛けるだろう。私は恐る恐るブチ切れているナルセに近付き、声をかけた。


「ナルセ、あの二人は同時にあなたに攻撃を仕掛けると思うわ」


「関係ありません。どんな状況だろうと、あのクソ野郎共を半殺し以上にしてみます」


「気持ちは分かるけど、少しは落ち着いて」


 私はこの時に察した。私とナルセの足元が急に泥のように柔らかくなったのだ。敵の攻撃だと察した私はその場から遠ざかったが、ナルセはその場から動かなかった。あのままだと、身動きを封じられてしまうのに!


「ナルセ! 敵が罠を仕掛けたわ、今すぐ離れて!」


「大丈夫ですヴァリエーレさん。どうにかしますので」


 ナルセが私に向かって返事を返した瞬間、ブレッダの持つ鎖がナルセの体を縛り上げた。


「そらよ! 頼むぜ、ドリュ!」


「あいよ!」


 次の瞬間、ナルセの土が大きく変化し、巨大な口のような形になった。そして、ナルセを飲み込んでしまった。


「まず一人!」


 奴らはナルセを倒したのかと思っているのだろうか、笑顔を見せていた。しかし、ナルセを飲み込んだ土から、魔力を感じる。やはりあいつらの実力でナルセを倒すことは、まず不可能だろう。


「かぁっ!」


 ナルセの気合の入った声と共に、周りの土は吹き飛んだ。それと同時に、ナルセを拘束していた鎖も吹き飛んだ。


「嘘だろ……これでもきつくやった方だけど……」


「おいおい、まだ戦いは終わってねーぞ。おい、それで勝ったつもりか? 忘れたのか、こっちには人質がいることを忘れたか? それとボインのねーちゃん、俺たちの隙を見て坊主たちを助けようと思っても無駄だぜ!」


 クッ! 奴らがナルセと戦っている隙にケンジたちを助けようとしているのがばれた、こっそりやっていたつもりなのに!


「まずいぞ、ヴァリエーレ! 奴ら、何かをしてくる!」


 奴らの様子を見ていたヴィルソルが、私にこう言った。すると、急にヴィルソルとルハラの体が地面に潜り始めた。


「奴ら、一気に我らを埋めるつもりだ……」


「もう動けない……どうにもできないかもね……」


「もう少し待って、すぐに終わらせるから!」


 私はそう言って、急いでナルセの元へ向かった。その時、ティーアの魔力が私たちの方に近付いてくるのを察した。早くティーアがここにきて、ケンジたちを助ける方法を見つければいいけど。




成瀬:ココチーノ山道


「なァァァァァァァァァァ!」


 剣地の悲鳴が聞こえる。奴ら……きっと剣地に何かしたに違いない! 様子が気になるけど、こいつらを倒さないと剣地たちは助からない! さっさと倒したい。けれど、奴らは私の攻撃を察しているのか、なかなか私の攻撃は当たらない。放つ魔力に細工をして攻撃しているが、それでも対策される。このまま長期戦に持ち込まれたら、剣地たちが地面に潜ってしまう!


 怒りと焦りで、私は我を忘れそうになった。とにかく、奴らを倒さないといけないとしか考えられなかった。


「ナルセ!」


 後ろからヴァリエーレさんが近付き、私を抱きしめた。その様子を見たのか、奴らは笑い始めた。


「何だ? ハグなんかして意味あんのか?」


「ほっとけ、こんな状況だから頭がおかしくなったのだろ」


 奴らはそう言っているが、ヴァリエーレさんがハグしてくれたおかげで、私の頭は徐々に冷静になっている。そうか、マザーズボディを使っているんだ。


「聞いてナルセ、このまま一人で暴れても奴らは倒せないわ」


「どうします? 二人で一気に決めます?」


「一気に決めるのは難しいわ。何か策を練らないと……ティーアが合流してくれれば、どうにかなるかもしれないけど」


「時間がかかるかもしれません。二人で決めましょう」


 作戦を練らないとあいつらは倒せない。じっくり考えている暇はないし、どうしよう。


 あ、思いついた。確かブレッダと言う敵は鎖を使い、ドリュは魔力を使って地面を変えることができる。戦闘能力的には私とヴァリエーレさんの方が奴らより勝っているけど、奴らは変な動きをしていて、そのせいでうまく戦えていない。なら、奴らの戦法を利用すればいい。私はこのアイデアをヴァリエーレさんに話し、実行に移した。


 ヴァリエーレさんが前に出て、剣を構えてこう言った。


「卑怯者、今度は私が相手になるわ」


「卑怯者ねぇ……」


「なめられたもんだぜ」


 予想通り、奴らはヴァリエーレさんの挑発にあっさり引っかかった。あとは、私の予想通り動けばいいんだけど。




ティーア:ココチーノ山道


 まだナルセたちの方の魔力から魔力は感じる。戦いは終わってないようだ。だとしたら、まだケンジたちは地面に埋まったまま。戦いが始まった数分は経過している。早く行かないと、ケンジたちが地面に埋もれてしまう!


「早く行かないと!」


「そうはさせないぜ……」


 目を覚ましたシブルが、笑いながらこう言った。なんと、奴は足を使って私が動くのを邪魔しようとしていたのだ。腹が立った私は、強烈な光を奴に放った後、黒焦げになって気絶したシブルを背負い、急いで皆の元へ向かって走って行った。


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