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宙を舞うスナイパー


成瀬:オハリの飛行船、治療室


 先の戦いでの傷は大分癒えた。大きく動いても、傷の痛みはない。剣地の方も治ったようだ。


「どうだ、様子は?」


 治療室にオノブさんが姿を見せた。私たちの傷の具合を見にきたのだろう。私と剣地は立ち上がってオノブさんに傷の具合を見せた。


「治ったようだが、二人はまだここにいろ。戦いの方はあと少しで終わると思うからな」


「え? もう敵の方は逃げて行ったのですか?」


「あの褐色少女が敵の飛行船を爆発させた。剣地、お前すごい少女を嫁にしたの」


「あはは……まぁ」


 剣地は笑いながらこう答えた。魔力を察知してみたけど、ここに乗り込んで来た奴らは皆に返り討ちされたようだし、今回の戦いの出番はなさそうだな。


 だけど、外の方から強い魔力を感じる。まだ強い奴が一人残っているようだ。ヴィルソルが外に出ているから、そいつと戦うかもしれない。私はヴィルソルの身を案じ、窓を覗いた。




ヴィルソル:オハリの飛行船、近辺


 連中の飛行船を爆破した後、そこから連中が外へ飛び降り、パラシュートを広げていた。どこに落ちるか分からないのに、ようやるのう。助かりたいという気持ちは分かるのだが……これが原因で死んだとなると後味が悪いから、後で回収しておこう。


 さて、その前に……我を狙う奴が一人いるな。


「ようやるねぇ、お嬢さん」


「ふん。敵に褒められてもうれしくないのう」


 一人だけ、我に挑む奴がいた。そいつはスカイウイングを使い、空を飛んで爆発から逃れていた。奴の両手には、大きなスナイパーライフルが装備されていた。


「この俺、ストラスがお嬢さん開けてやるよ」


「ふん。やれるものならやってみろ」


 我は奴の銃口からそれるように飛び始めた。我の予想通り、奴は我を狙って移動し始めた。


「おいおい、そんなに飛び回ったら当たらないだろうが!」


「バカ者、スナイパーに当ててくださいと言って止まるバカがいるか」


「そりゃそうだ。仕方ない……奥の手を出しますか」


 そう言って、奴は何かのボタンを押した。すると、機械音と共に、大きなスナイパーライフルは二つに分かれた。あの銃、特殊な構造でできているのか!


「さーてと、これならどうだ?」


 奴は銃口を我に向けて、乱射し始めた。あてずっぽうで我に狙って撃っていると思ったが、奴の狙いは正確だった。クッ、いくつか我の体をかすった!


「避けられないようだな」


「やるようじゃのう!」


 我は槍を持ち、奴に向かって飛び始めた。


「自分でくたばりにきたか」


 狙い通り、奴は再び我に銃口を向けて乱射し始めた。あの程度の弾丸なら、我の槍でも弾き返せる。それに、奴が撃った後の弾丸を操る技を持っていても、我の周りのバリアが跳ね返してくれる。


「防御しつつ、俺に突っ込んで攻撃するつもりか……甘い考えだぜ、お嬢さん」


 まだ策があるのか? 奴は二つのスナイパーライフルを合体させ、我に向けて弾丸を放った。放たれた弾丸の大きさ、早さは個別で撃った時よりもけた違いだ!


「グァッ!」


 槍で弾き返せず、我はダメージを負った。致命傷は避けたが、弾丸が左肩をかすった。かすっただけでも、ダメージがでかい。グゥッ……左肩が動かない……。


「かすったとしても、それなりに破壊力があるから、骨が折れるかもね」


「そのようじゃ……」


 大きな傷を負ったが、我にはまだ魔力がある。しかし、我が闇を使うところを奴も見たはずだ。何か対策を練っているに違いない。


「お嬢ちゃんみたいな子を殺すことはしたくないけど……これも仕事だからね、すぐに終わらせるよ」


 おっと、奴は我に向けて発砲してきた。我は飛んでくる弾丸をかわし、何とか奴に近付こうと思っていた。


「そうはさせるか」


 奴はまた銃を分離させ、我に向けて攻撃を仕掛けてきた。その時、奴の顔の色を我ははっきりと見た。何だかつらそうな顔をしている。


 そうか、分かった。奴は短期戦を仕掛けたつもりだ。だからスカイウイングを使って、魔力で作った弾丸を使用している。魔力の消費は半端ないはずだ。それに、魔力を使いすぎて疲れても休むための場所はない。我が破壊したからな。


「は……ははは……不気味な笑みを浮かべちゃって、怖いよ」


「そりゃどうも」


 余裕があるように言っているが、奴はもう疲れているようだ。


「おい。大人しく言うことを聞けばこれ以上痛い目を見させない。どうじゃ、こっちにくるか?」


「勘弁してくれよ、捕まったら仲間の皆に恨まれる」


「貴様の仲間も数名捕まえているぞ」


「それで、後で拷問するだろ? 勘弁してくれよ。俺、痛いのは嫌だよ」


「そうかそうか」


 我は返事をした後、右手に闇で作った槍を握り、奴に襲い掛かった。奴は悲鳴を上げながら攻撃を回避した。


「おいおい、急に襲うなよ!」


「避けられる元気はあるようじゃな」


 我は右手の闇の槍を変形させ、球体にした。そして、それを奴に向けて放った。


「おわっ!」


 奴は何とか攻撃を回避したが、その時にスカイウイングが薄くなった。魔力がなくなっている証拠だろう。


「くっ……」


「魔力切れか? アホだな、お前は。魔力配分を考えずに突っ込んだのか」


「あんまりアホアホ言わないでよね。心折れちゃうよ」


「知るかそんなこと。さて……長話をして時間稼ぎをし、それで魔力を回復するなんて考えがあるだろうが……そんなことさせるか!」


 我がこう言った直後、奴の顔は驚きの表情を見せた。やけに話してくるなと思っていたら、やはり魔力回復を狙っていたのだろう。それか、援軍が来るのを待っていたか。


「さて、貴様には少し眠っていてもらおう。大丈夫だ、殺しはしないよ」


 我はそう言うと、鎌を持って奴に斬りかかった。


「おいおい……こんな終わり方でいいのか? あっけないねぇ……」


「敵を倒せば問題ない」


 奴の後ろのスカイウイングが消えた。我は落ちていく奴の手を取り、落下を止め、オハリの飛行船へ戻って行った。飛行船から魔力は感じていない。勇者たちの方の戦いも終わったのだろう。奴らの飛行船は爆破したし、これ以上の追撃はないはずだ。


 とにかく戻ろう。我はそう思いながら、奴に撃たれた方の痛みを我慢しながら飛行船へ戻って行った。


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