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ルハラを襲う双子の魔力


ルハラ:オハリの飛行船、外


「イア、ゼラとラッケがやられちゃったよ」


「どうしよう。残ったの、私たちだけになっちゃったね」


 私と戦っているアイとイアという双子の少女は、ティーアとヴァリエーレが他の相手に勝ったことを察していた。このまま二人が援護をするのかと私は思ったけど、二人は思った以上に苦戦しており、疲れ果てている。タトミさんが急いで二人を治療している。うーん、援護は難しそうだね。ヴィルソルも結構離れた所にいるし。


「せめて、傷ついた人は確実に倒そう」


「そうだね」


 まずい。双子の狙いはティーアとヴァリエーレに向けられた。私は風を発し、双子に攻撃を仕掛けた。


「このエルフさん……私たちの邪魔をするようだよ」


「仕方ないね、一気に片付けよう」


 向こうは本気を出すようだ。こっちも対抗して本気を出そうとしたけど、相手のことを理解しないまま本気を出すのは止めておこう。それに、こっちの手の内を知られたら不利になる。


 その後、二人の体の周りに魔力が発した。そして、二人は私を囲むように行動した。一対二だから挟み撃ちにして有利になるつもりか? 私はそう思っていたけど、周りの魔力が徐々に動き出し、二人の魔力が合わさった。


「私の魔力、伝わった?」


「アイの考えていることが分かる。成功したよ」


 うーん。どうやら双子はもう攻撃の準備を追えたようだ。しかし、一体何をしているのかな? まぁいい。考えても先へは進めないから、目の前の奴を攻撃しよう。そう思ったけど、私の拳は防御された。


「ほほー、やりますねぇ」


 私は目の前の相手にこう言ったが、何も返事はしなかった。その時、背後から気配を察した。どうやら、もう一人の相手が私の背後から襲ったのだ。私はジャンプして攻撃をかわし、風を発した。すると、双子は同時に魔力の防御壁を発し、私の風を打ち消した。


 ふーむ。何かあのオーラが発した時から、二人の息がぴったり動いているような気がするなぁ。私が考え始めた瞬間、双子が襲ってきた。片方が私の前に立ち、もう片方が私の右後ろに回った。何か仕掛けてくるなと思っていると、右後ろに回った方が、ボールみたいな魔力を作り、前にいる方にボールをパスした。あれを私に向けて投げてくるのだろう。しかし、さっきの動き通りこの攻撃はフェイントかもしれない。わざわざ相手に動きが分かるような攻撃を仕掛けるあんぽんたんは……まぁ、いるかもしれないけど。とにかく、前と後ろに注意しよう。


 私が防御の構えを取った直後、前からボールが飛んできた。あれは火と風で作られている。しかも、強い魔力を感じる。こんなもん喰らったら切り傷と火傷まみれになる。私は風で弾こうとしたが、後ろに同じようなボールがあることを察した。こうなったら、自分を中心に風を発し、ボールを弾き飛ばそう。そう思い、私は自分の周りに風を発した。ボールは弾き飛ばされたが、別の所にいたティーアとヴァリエーレに向かって飛んで行った。しまった、それが奴らの目的か!


「させないよ!」


 私は急いで風を発生させ、ボールを飛行船の外へと弾き飛ばした。その直後、私の脇腹に激痛が走った。くそっ! あの双子、私がボールに気を取られている隙を狙って、攻撃を仕掛けてきた!


「ふんぬぅっ!」


 気合で二人を吹き飛ばしたのはいいが、傷が大きい。何とか治癒をして傷を治したけど、応急手当レベルに過ぎないから、あまり傷は治っていない。しかも、吹き飛ばしたとはいえ、あの双子にダメージはなかった。うーん……まずいなこりゃ。だけど、弱気になっていたらダメだ。


 対処法だが、これが絶対というものはないけれど、試しておこうと思っている策がある。それは、あの双子から発する魔力のオーラ。あいつが発生してから、双子の動きが変わっている。あれが鍵なのかもしれない。


「やるしかないね……」


 私は勢いよくジャンプをし、双子の魔力が重なっている部分に移動した。お。あの双子が動揺している。やっぱりこいつになんかあるな。私の体が魔力に重なった時、頭の中で双子の声が響いていた。




 まずいよ、アイ。あのエルフ、私たちのシンクロハートを見切ったようだよ。


 どうしよう。何かしてくると思うよ。


 何か手はない?


 ない。私たちの作ったスキルが破られたことなんて、一度もないから。


 こういう時のために、策を練っておいた方がよかったね。




 攻撃の仕掛けが分かった。あの双子はシンクロハートとかいうオリジナルのスキルを使って、意思疎通をしていたのか。よーし。じゃあ……私が何を考えているかあの双子に思い知らせてやろう! 私はもう一度魔力のオーラの所へジャンプした。そして、私が何を考えているのか双子に伝えるかどうか試してみた。


「ギャァァァァァァァァァァ!」


「イヤァァァァァァァァァァ!」


 思った通り。私の脳内はお子様な双子にはちょいと刺激が強すぎたようだ。双子は悲鳴を上げた後、白目をむいてその場に倒れた。


「まさか私のスケベな性格が役に立つとは思いもしなかったよ」


「あなた、一体何をしたの?」


 と、ヴァリエーレは双子をお持ち帰りしようとする私を見て、こう聞いてきた。


「大人のあれこれ」


 私の返事を聞いたヴァリエーレは、呆れた表情になった。




ヴィルソル:オハリの飛行船、近辺


 轟くような悲鳴が聞こえたぞ。ルハラの奴、またセクハラをしたのか? まぁ、あれで敵を倒したなら別にいいか。


 向こうの方の問題はなくなったか。これで心配してあの連中を叩くことができる! 我は敵を一気に蹴散らすため、巨大な闇を現した。おーおー、望遠鏡で見ていたのか、相手が慌て始めている。ただの砲弾や弾丸を撃っても、我の闇には敵わないのにのぉ。


「とくと見よ! 魔王ヴィルソルの強大な一撃を!」


 我はそう言うと、巨大な闇を奴らの飛行船に向けて放った。


「あの変な闇がこっちに近付いてきます!」


「逃げろ! なんかやばいぞ、あれは!」


「相手の所に殴り込みに行ったゼラさんたちはどうします?」


「見捨てろ! 今は俺たちが生き残ることを優先しろ!」


 仲間を捨てて逃げる奴を、我が逃すと思うか。我は指を鳴らし、巨大な闇の速度を上げた。闇は奴らの飛行船に徐々に追いついて行った。そして、奴らを飲み込んだ。殺しはしないが、少し恐ろしい目に合わせてやろう。我はそう思い、もう一度指を鳴らして闇を爆発させた。


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