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紫電の輝き


ヴィルソル:オハリの飛行船近辺の空中


 やれやれ。次々と雑魚共が現れておる。いくら倒しても、後から湧いて出てくる。中にはスカイウイングを使い、襲ってくる奴もいた。大した強さではなかったが。


 しばらく戦っていると、オハリの飛行船の方から感じていた魔力が一部消えた。その魔力は勇者でもヴァリエーレでもルハラのものではない。敵の魔力のようだ。とりあえず、三人がやられなくてよかった。とりあえず、向こうの心配はご無用のようだな。我は目の前に現れる雑魚共の掃除に専念しよう。




ヴァリエーレ:オハリの飛行船、外


 うう……まだ体が少し痺れている。ゼラと言う男は、体全体に紫色の雷を発している。それに、体術を使って攻撃してくるから、剣で防御してもそこから電撃が私の体に向かって流れてくる。


「喰らえ……雷突(らいとつ)()!」


 奴の声と共に、角のように尖った電撃が私に襲ってきた。剣ではじいたが、やはり雷が私の体の中に流れた。


「くぅっ……」


 多少の痺れは問題ない。しかし、今は無事でも、重なってくれば後に不利になるだろう。倒すとしたら、一気に倒すしかない。


「隙を見せたな……紫電砕脚斬(しでんさいきゃくざん)!」


 すると、奴の足から刃のような紫色の電撃が発生した。私は剣でそれを弾き飛ばしたのだが、相手の方の威力が勝っているせいで、私の剣は弾き飛ばされてしまった。


「今だ、無限(むげん)電撃(でんげき)(けん)!」


 奴の叫びの後、無数の拳が私を襲った。防御はしたのだが、無駄に終わった。


「キャァァァァァァァァァァ!」


 無数の攻撃を受けた私は、後ろに向かって吹き飛んだ。くぅ……こいつ……強い。力だけでなく、体術のスキルもある。どうやって戦おう……。


「ふん。やはり貴様では俺の紫電拳は破られないか」


 紫電拳……名前から察するに、紫色の電撃を使った格闘術なのだろう。たまに魔力と体術を合わせて使う格闘家のことは聞いたことがある。こんなに強いなんて、思ってもいなかった。


「仲間も一人倒されている……雑魚相手に本気を出したくないのだが……これ以上仲間の数が減るわけにはいかないのでな」


 まずい、奴の魔力が上がっている。さっきまで以上の技が襲ってくるだろう。私は急いで立ち上がり、剣を拾い、更に盾を発した。


「これで終わりだ。紫電拳奥義……電破滅雷突(でんはめつらいとつ)!」


 奴の指先から、巨大な電撃が私に目がけて飛んできた。これはまずいと察した私は横へ移動し、奴の攻撃をかわした。


「まだ動けるとは……」


「あんたみたいな相手と毎回戦っているの。まだ動けるわよ」


 私は一呼吸し、態勢を整えた。冷静になって考えろ。相手は強いけど、冷静に分析すればきっと勝てるヒントがあるはずだ。


 直感で考えよう。まず、相手はサンダーマジック・ゼロのスキルを持っている。強い雷の魔力を使っているにもかかわらず、奴の魔力は変わっていない。あのスキルを使っているとしか思えない。次に、体術。ルハラと同じくファイティングソウルのスキルを持っている可能性がある。


 スキル以外にも、私は奴の動きに関してある法則を見つけた。それは、技の名前らしきものを叫んでから攻撃すること。まるでバトルマンガの登場人物のように、奴は技の名前を叫んでから攻撃する。うるさいと思っていたけれど、これが意外と攻略のヒントになりそうだ。


「覚悟しろ! 紫電砕脚斬!」


 紫電砕脚斬。これは確か、足から電撃の刃を放つ技だ。一度見たから、どんな技なのか覚えている。そうだ、この攻撃の隙を奪い、奴の体を支えている足を攻撃しよう。私はそう考え、飛んでくる電撃の刃を飛んで回避した。


「何だと!」


 攻撃がかわされて、奴は驚いている様子を見せた。奴の片方の足は上に上がっている状態。狙うなら、今がチャンスだ。私はすぐに銃を装備し、奴の体を支えている足を撃った。


「グアッ!」


 銃弾を受け、奴はその場に転倒した。私は奴に急接近し、剣を装備して攻撃した。もちろん、傷を与えるために電撃を帯びた状態だ。


「貴様も……電撃を使うのか……」


「あなたみたいな紫電は使えないけどね」


 攻撃を受けたが、奴は急に立ち上がって後ろに下がった。それなりに体力はあるようだ。


「こうなれば……秘技、雷突(らいとつ)(れん)()!」


 奴の両手から、無数の電撃が私を襲ってきた。奴が使った雷突牙という技と同じようだが、今回はそれを連続して使うようだ。いくら連続して攻撃しても、同じ技。見切った今なら、こんな攻撃を避けることができる。


「雷突連牙までも破るとは……」


「あなたの技、大体見切っているわ」


「何故見切ることができた?」


「教えるわけがないでしょ。簡単だから、自分で考えなさい」


 私は奴にそう言って、接近して攻撃した。今度の攻撃は奴の急所を狙っての攻撃。これは効いたはずだ。


「ガハァッ……これで……終わったと思うなよ? 俺には最終奥義がある」


 奴がそう言った直後、奴の全身から紫色の電撃が走った。


「紫電拳最終奥義、紫電(しでん)滅却(めっきゃく)(けん)。己の命を懸けた、大技だ。この技を見せるのは貴様が初めてだ。光栄に思え」


 最終奥義と付いているから、多分これがさっきよりも大きな技なのだろう。奴は私に近付き、パンチを放ってきた。私はそのパンチをかわしたのだが、頬にかすって傷ができた。


「かすって助かったと思うなよ?」


「何ですって?」


 私がこう聞いた直後、頬から電撃が流れ始めた。これで察した、たとえどんな小さな傷でも、電撃が流れ込んでくると。


「これで貴様に勝ち目は……グゥッ!」


 急に奴の様子がおかしくなった。奴は苦しそうに片膝をつき、咳き込み始めたのだ。


「時間がない……さっさと貴様を倒さなければ……」


 この言葉を聞き、私は奴が技を使った時に言っていた言葉を思い出した。己の命を懸けた大技だ、と。まさか……電撃を全身に纏っている分、体に大きな負担をかけているのか。


「あなた……自分の体がどうなってもいいの?」


「ああ。俺は勝てればいい。俺が敵に勝ち続ければ、紫電拳は世界に広まるだろう」


「命よりも誇りを取るというのね……」


 なんてバカな人だろう。誇りなんて失っても、努力すれば取り戻せる。命は失ったら、取り戻すことはできないのに!


「さぁ……覚悟しろ! 次の技で貴様を葬る!」


「覚悟するのはあなたの方よ!」


 私は魔力を開放し、左手に闇を集め始めた。


「闇を使えると噂で聞いたが、本当だったか! 面白い! 俺の紫電と勝負だ!」


「いいえ……あなたの負けよ」


 私は闇の力を操作し、奴の体を飲み込んだ。今放った闇の力には、飲み込んだ相手の魔力を消去するように作ってある。奴の魔力を空っぽにすれば、奴はもう戦う術を失うだろう。


 しばらくし、闇の中から奴が姿を現した。奴の体は震えていて、立っているだけで精いっぱいの用だった。


「まさか……魔力を……消し去るとは……」


「命を大事にしなさい」


 私は奴に近付き、ビンタを喰らわせた。その後、奴の体は後ろにゆっくりと倒れた。


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