フォリーティックの襲撃
剣地:オハリの飛行船、外
フォリーティックと言う連中は意外と強い。剣と銃を使いこなしているし、魔力も隙を狙って使ってくる。それ以上に、四人での連携を奴らは行っている。
「ちょいと面倒じゃのう」
オノブさんは剣の攻撃をかわされた時、悔しそうにこう言った。
「オノブ様、奴らは意外とやるようですよ」
「分かっているわい。しっかし、どうやって対策を練ればいいんじゃ?」
オノブさんはニッコーさんへ返事を返しながら、攻撃を行っていた。
「隙を見せたな」
おっと。俺に目がけて銃弾が飛んできた。俺はバリアを張り、弾丸を防御した。その時、銃を撃った男の後ろにいた別の男が、猛スピードで俺に襲い掛かった。
「剣地!」
成瀬が魔力で攻撃をし、俺を襲った男を撃退した。
「グゥッ!」
「カイッド! 援護する!」
叫んだ奴が成瀬の前に立ち、攻撃を仕掛けようとした。奴の手には銃が握られている。あれで成瀬を狙い撃ちにするつもりだろう。
「ハチの巣にしてやる!」
「お前がな!」
俺はガトリング砲を装備し、奴に向かって発砲した。ガトリング弾は命中しなかったが、奴は驚いて握っていた銃を外へ落してしまった。
「チッ……」
「やるのう剣地! じゃが、あまりガトリングを使うなよ、飛行船がハチの巣になる」
「あ……すいません」
そうだ。今戦っている場所は飛行船だ。流れ弾が当たったら大変なことになる。
「オノブ様、ここは私が前に出ましょう」
と、ニッコーさんがこう言った。オノブさんは分かったと返事をし、援護攻撃をしていたタトミさんを呼んだ。
「タトミ、今度はお前がわしと共に戦うのじゃ」
「はっ」
そう言って、タトミさんは俺たちの元へ接近した。
「よーよー! そこの不細工な兵士共! わしはこっちじゃー!」
ニッコーさんは辺りを飛び回りながら、フォリーティックの連中を挑発していた。あの人、こんな時にどうして挑発を?
「あのサル男」
「俺たちをバカにしたこと、後悔させてやる」
「狙い撃ちにしろ!」
連中はニッコーさんに銃で狙いを付けようとしたのだが、ニッコーさんはにやりと笑って雷のような魔力を使った。
「そんなもんでわしを狙ったつもりか?」
「ぐぐっ……」
「手が……痺れ……」
「今のうちです、奴らを攻撃してください!」
俺たちはニッコーさんの言葉を聞き、一斉に奴らに攻撃を仕掛けた。
「ぶっ飛べ!」
俺は大剣を装備し、奴らの一人に攻撃した。攻撃を受けた敵は、そのまま空高く吹き飛んだ。
「私は敵に対して優しくないわよ」
成瀬は魔力を開放し、風の刃で敵を斬り刻んでいた。そのうち、成瀬が発した風は男を空へ吹き飛ばした。
「少しは楽しめそうと思ったのじゃが、今は楽しむ余裕はないのー」
オノブさんはまだチャンバラをやりたがっていたようだ。しかし、状況を把握しているのか、かなり強い魔力を発している。オノブさんの目の前にいる男は武器を構えているが、オノブさんは空高く飛び上がった。
「一撃で終わらせる」
その直後、甲高い金属音が響き渡った。オノブさんが刀を鞘に納めると、オノブさんと対峙していた男は短い悲鳴を上げ、その場に倒れた。
「流石ですね、オノブ様」
「まーのー」
タトミさんがよそ見をした瞬間、タトミさんを狙っている男が銃を発砲した。危ないと思ったが、タトミさんは発砲音と同時に刀を握って払い、飛んでくる弾丸を弾き飛ばした。
「なっ……」
男は弾丸が飛んでくることを想定していなかったのか、驚いた表情をしていた。まぁ、弾丸が跳ね返ってくるなんて誰も予想しない。跳ね返った弾丸は、男の腹に命中した。
「そんな……」
弾丸を受け、倒れる男に向かってタトミさんはこう言った。
「急所は外しましたので、ご安心を」
戦いは終わった。結構あっけなく終わったけど、何か次がありそうな予感がする。
「オノブ様、私はこの場に倒れた二人を飛行船内に連れていきます」
「話をするつもりじゃな。武器は壊しておけよ」
「了解しました」
「うむ。後はわしらに任せろ」
タトミさんは倒れた男たちを連れ、飛行船内に戻って行った。
「ふー、剣地たちも察知しておるの」
「はい。今さっきの奴らは手下ってことですね」
そう。俺たちはさっきの奴らより、強い魔力を感じている。多分、これからくる奴がフォリーティックの主要メンバーだろう。
ヴィルソル:オハリの飛行船
戦いはまだ続いているようだ。爆発音や発砲音はない。ということは、今の奴らを倒したようだ。だが、まだでかい魔力が残っている。まぁ、それはケンジたちが片を付けるであろう。
「すいません、少し通ります」
我の後ろから、タトミさんが倒した敵を連れてきていた。
「どうしたのじゃ?」
「奴らから情報を聞きます」
「そう簡単に口を割らないかもよー」
と、我の後ろにいたルハラがこう言った。確かにな、簡単な方法じゃあ情報を聞き出すのは難しい。
「お主が情報を引き出すのか?」
「はい。その手の方法に関しては得意なので」
そうか。優男に見えたが、意外とドSなのかもしれん。仲良くなれるかも。
しばらくし、タトミさんは男たちの衣服を脱がし、怪我の治療を行った。拷問の途中で死なれては困るからな。
「我も手伝おうか?」
「頼みます」
「うむ。ルハラ、意外とキツイことが起こるかもしれんから、お前はヴァリエーレと勇者の所にいろ」
「ほーい。ケンジ以外の野郎の裸を見るの、面白くないからねー」
ルハラが部屋から出て行ったのを見計らい、我とタトミさんは男たちの手を縛り、天井に吊り下げた。
「う……ん……」
「体が……痛くない」
どうやら、我らが手を出さずとも奴らは起きたようだ。
「お目覚めですか、お客様?」
タトミさんがこう聞くと、男の一人が大きく体を揺らし始めた。
「この野郎、よくも俺をこけにしやがったな!」
「返り討ちにされたいのですか? やれるものならやってみなさい」
タトミさんは冷ややかな目でこう言った。今の男たちはパンツ一丁で、武器も何もない。手は縛られているから、魔力も上手くは使えない……いや、使えたとしても、我が鎌を持っているから使えまい。変なことをしたら確実に殺されることを奴らは察しているはずだ。
「クソ……俺たちをどうするつもりだ?」
「安心してください、いろいろと話を聞くだけです」
「拷問する気か。やれるものならやってみろ」
「そうですか。なら」
タトミさんは小さく笑い、持っていた刀で男の腹を一閃した。拷問をするのかと思ったが、まさか本気で斬るとは予測していなかった。
「ガハッ……」
「おい……ただの拷問じゃないのかよ!」
「いいえ、これは拷問です」
こう言った後、タトミさんは腹を切った男の傷を魔力で治療し始めた。
「なはっ! 傷が……」
「痛い目にあいたくなかったら、私の質問に聞いてください」
「ふざけんなよ、こんな拷問耐えてやるわ!」
「そうですか。ではもう一回斬ります。さっきは運よく生きていたようですが……今度斬る時はどうでしょうかねぇ?」
どうやら、タトミさんは変わった拷問をするようだ。斬って回復をする行為を繰り返し行うが、生きるか死ぬかは相手次第というわけか。男たちもこの拷問の意味を理解したらしい。おーおー、顔色が変わったぞ。これはどうなるか楽しみだ。
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