いざ、ココチーノ山へ
ルハラ:オハリの飛行船
翌日。今、飛行船は近くの店屋の前で止まっているらしい。入口の方で声がする。
「食料と燃料は買ったかー?」
「もちろんです。食料はキッチンに運び、燃料はすぐにしまっておきます」
「了解!」
どうやら、ここで買い物をしていたのだろう。周りを見ると、すごい寝相のティーアとヴィルソルが一緒のベッドで寝ていて、ヴァリエーレは苦しそうにうなっていた。そりゃそうか、だって私の手がヴァリエーレの胸を掴んでいるから。
「ルハラ……手を離して……」
「めんご」
私は手を離し、もう一度回りを見た。ケンジとナルセの姿が見えないなー。二人の行方が気になった私は部屋を出て、二人を探しに行こうとした。だけど、二人はすぐに見つかった。
「お、起きたかルハラ」
「おはよう。ぐっすり寝られたようね」
「二人は早いねー。一体何していたの?」
「俺は外で見張り。成瀬は情報収集していた」
「疲れているのに大丈夫?」
「ああ。何とか」
その時、二人の後ろにいたオノブさんとニッコーさんが私にこう言った。
「そろそろ出発するぞ」
「買い物がしたかったら、今のうちに店へ行ってくるのじゃ」
「今は大丈夫。私は部屋に戻って待機しているねー」
「うむ」
私は部屋に戻り、ヴァリエーレの胸を揉みまくろうと思ったけど、ヴァリエーレは目覚めて起きたようだ。
「ふぁぁ……」
「あらら、起きちゃったのね」
「このまま寝ていたら、あなたに何をされるか分からないわ」
「チッ、ばれていたか」
私がこう言うと、ヴィルソルの上に乗っかっていたティーアが動いたせいで、二人ともベッドから落ちてしまった。
「いたたたた……」
「勇者、お主なんて寝相をしとるのじゃ? おかげで我まで落ちてしまったではないか!」
「あはは、ごめん」
二人はこんな会話をしている。まぁ、昨日の疲れは皆ぶっ飛んだようでよかった。
数分後、プロペラが回りだす音が聞こえてきた。そろそろ動くね。
「離陸します! これからココチーノ山の近くの休憩場まで移動します。時間はおよそ三時間です」
結構距離があるなー。私はそう思いながらベッドの上で横になった。
しばらくすると、くつろいでいたティーアがこう言った。
「ねえ、ケンジとナルセは?」
「オノブさんの所よ。オノブさんが二人にいろいろと聞きたいことがあるらしいの」
「へー。一体何を聞くのかな、これまでの活躍だったら私たちにでも聞けばいいのに」
「大勢で話しても向こうに伝わるかどうか分からないじゃろう。二人が代表で話せば何とか伝わるだろう」
そう。二人はオノブさんに話を聞かせている。私はオノブさんが二人に話を聞かせてくれと頼んでいる光景を見ていた。あの時のオノブさんの目は、まるで子供のような目だったなー。この飛行船、テレビやラジオなどは置いてある。それでニュースとか情報は調べられるはずなのに、どうして使わないのだろう? それか、オノブさんが極度の機械音痴で操作が下手なだけだろうか。ま、どうでもいいか。
私は考えるのを止め、しばらくはエッチなことでも考えようかなと思いながら欠伸をしていると、突如アラーム音が響いた。
「後方に未確認物体が接近中! 数は五つ、飛行機型です!」
変な連中がいるらしい。窓から後ろを見ると、そこには黒い飛行機が五機飛んでいた。
「情報が入りました。あいつらはフォリーティック、傭兵でまとまった裏ギルドの連中です!」
どうやら、新しい裏ギルドの連中が襲ってきたようだ。奴らはフレッドデルタとデーモンノイズ以外にも、裏ギルドの連中を雇っていたみたいだ。
戦おうと思って準備をしていると、オノブさんとニッコーさん、そしてオノブさんの付き添いらしき人物、タトミさんが廊下を走っている姿を見かけた。
「おーい、私たちも戦うよー」
と、私がこう言うと、タトミさんが振り返ってこう言った。
「数が少ないので、我々で対処します。安心してください」
「いいの?」
「はい。あれくらい何とでもありません」
そう答えて行ってしまった。何とかなるとは言っていたけど、何かあった時のために準備はしておこう。
「はぁ、剣地と成瀬の話を聞いている途中で攻めてくるなんてのう」
「仕方ありませんよ、いつ襲ってくるか分からないものです」
ニッコーはやる気がないオノブにこう言っていた。オノブは仕方ないと言って、ニッコーに手を差し伸べた。
「あれは用意してあるか?」
「もちろんでございます」
「よし。タトミ、お前は万が一のために、刀を抜いておけ」
「はっ」
会話後、オノブはニッコーからライフルを受け取り、構えを取った。そして、ニッコーとタトミは刀を抜き、構えを取った。
「わしの楽しみの邪魔をしおって。少しばかりお仕置きするぞ」
そう言うと、オノブはライフルの引き金を引いた。発射された弾丸は一機の飛行機のプロペラに命中した。すると、そのプロペラの動きが段々と鈍くなり、ついには動かなくなってしまった。
「お見事」
「パイロットがへまをしなければ、命は助かるじゃろう」
「オノブ様、敵はまだいます」
タトミがこう言った直後、残りの四機が猛スピードで接近してきた。
「はっ、敵討ちのつもりか?」
オノブは笑いながらこう言った。ニッコーは腰にあるハンドガンを手にしようとしたのだが、オノブがそれを止めた。
「それは絶体絶命のピンチの時に使うものじゃ。今は使う時ではない」
「いいのですか?」
「ああ。少しはチャンバラを楽しみたい」
オノブがこう言うと、扉が開く音が聞こえた。
「オノブさん!」
「援護にきました!」
「何じゃ、きたのか剣地に成瀬」
「俺たちも戦います。任せてばかりじゃいられない」
剣地の言葉を聞き、オノブは少し間を取ってこう答えた。
「好きに暴れるがいい」
「はい」
その直後、飛行機から武装された男が飛行船内に侵入した。数は四人。皆、銃と剣を装備している。
「武装していて、さらに魔力を感じるわ」
目をつぶっていた成瀬がこう言った。その言葉を聞き、オノブは笑顔を見せた。
「ほう! 剣と銃を使い、魔力を使うのか。これは楽しめそうじゃ!」
「楽しめそうって……」
「こう見えてわしはかなりの武闘派じゃ! ああいう強そうな敵と戦うとなると、血が沸騰しそうじゃ!」
オノブは刀を抜き、男たちに向かって突き付けた。剣地も剣と銃を装備し、オノブの真似をして武器を突き付けた。
「貴様ら、わしに倒されたくなかったら大人しく出ていけ」
「俺たち、結構強いぜ」
二人がこう言うと、男たちはためらいもせずに二人に向かって走り出した。
「戦う道を選んだか!」
「さぁ、戦を始めよう!」
二人は武器を構え、男たちと戦いに入った。
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