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狂気の刃


ティーア:マカロニの船


 カゲロウの奴が倒れてしばらく経過した。私はあいつをまだ倒していないと確信していた。今、奴から魔力を感じているのだ。あいつ、剣以外にも技はあったのか。


「へ……へへへへへ……」


 奴の口から不気味な笑い声が聞こえた。その後、奴はゆっくり立ち上がると、口を大きく開けて笑い始めた。


「ケーッヒャッヒャッヒャ! ヒャーヒャッハ! お前たちが初めてだよ……この俺をここまでこけにしたクソ野郎は!」


「気を付けてティーア。あいつ、何かしてくるわ!」


 ヴァリエーレの忠告を聞き、私は奴から離れた。その直後、奴の周りからいくつもの空気の刃が放たれた。あいつが暴走し始めたせいで、船が傷つけられていく! まずい、このまま奴を無視しておくと船が沈没する恐れがある! 何とか止めないと!


「こいつで試してみるわ!」


 と、ヴァリエーレが銃で奴に向けて発砲した。しかし、放たれる刃が弾丸を細かく斬り刻んだ。次に私が魔力の刃を放ったのだが、奴の刃と相殺して消えてしまった。


「弾丸も魔力の刃も無理か……」


「でも、このままだと危険よ。何かないかしら……」


 私とヴァリエーレは奴の様子を見ながら対策を練り始めた。その時、私は気付いた。奴の体の周囲には風が発生している。竜巻のような形だ。そこから刃が発している。


「ヴァリエーレ、少し持ち上げるけどいい?」


「どうしたの?」


「奴の頭上まで飛ぶ。そしたら、銃であいつを撃って」


「でも、弾丸は刃で細かく斬り刻まれたわ」


「風が発生しているのは奴の周りだけ。頭上は風が発生してないよ。多分」


「竜巻と同じね」


「うん」


 その後、私はヴァリエーレを担ぎ、光と闇の翼を発した。だが、予想以上にヴァリエーレが重いのだ。


「重! ヴァリエーレ、体重いくつあるの?」


「皆と変わらないわよ……多分ね」


「おっぱいでかい分重いと思うけど? そのおっぱい少し分けてよ!」


「こんな時におっぱいの話なんかしないの! ほら、行くわよ!」


 私はヴァリエーレを担ぎ、空を飛んだ。奴の頭上まで飛んで行くのに奴の刃が襲ってきたが、ヴァリエーレが銃で応戦して何とかなった。そして、奴の頭上に到着した。


「狙える?」


「ええ。任せて」


 ヴァリエーレが片手で銃を構え、奴に狙いを定め始めた。私はヴァリエーレの邪魔にならないように、その場で動きを止めた。


「今だ!」


 ヴァリエーレの声と共に、銃弾が放たれた。


「あん? あんな所に居やがったか!」


 奴は頭を上げて、空を飛んでいる私たちの方を見上げた。


「そんなところで俺様を見下すつもりか?」


 奴がここまで言ったその時、ヴァリエーレが発砲した弾丸は奴の左肩を貫いた。


「ガアッ!」


 攻撃を受けたせいか、奴の周りにあった竜巻が消滅した。私たちは奴の近くに降り、武器を構えた。


「ヘッ……戦いを終わらすつもりか?」


「ええ。そのつもりよ」


「歯を食いしばりなさい!」


 私とヴァリエーレは剣を装備し、魔力を溜めた。奴も剣を持って立ち上がろうとしたが、左肩や他の部位の傷が大きいせいか、立ち上がることはできなかった。そんな中、私とヴァリエーレの攻撃準備が完了した。奴は観念したのか、小さく舌打ちをしていた。


「クソッたれが」


「ぶっ飛びなさい!」


 同時に剣を振り下ろし、刃の衝撃波を発生させた。その衝撃波は一つに交じり合い、大きな唸るような音共にカゲロウに向かって飛んで行った。刃の衝撃波は奴に命中し、海に向かって吹き飛ばした。


「グァァァァァァァァァァ!」


 奴は悲鳴を発しながら、海へ吹き飛んだ。しばらくし、水しぶきの音が聞こえた。ふぅ、奴は倒したけど……船が傷だらけになってしまった。




剣地:マカロニの船


 俺は攻撃を受けた後、傷を回復するために戦いから少し離れていた。立ち上がることができない。這うような動きで移動していると、ルハラが俺に近付いてきた。


「ケンジ! 傷が……」


「これでも無事な方だぜ」


「だね。でも、ちょっとやばいよ」


 ルハラは俺を背負い、船の中を移動し始めた。


「今、操縦室にバリアを張ったからそこで休んでいて。移動したらそこで治療するから」


「ああ、ありがたい」


 そんな会話をし、ルハラは操縦室へ向かった。俺たちは操縦室へ入り、その場でうずくまっているマカロニさんを見つけた。


「よぉ坊主……傷だらけじゃねーか……」


「あんたも……だけど一体何で……」


「ボインの姉ちゃんと勇者の嬢ちゃんと戦っていた奴のせいだ。奴が放った刃が俺に当たった」


 操縦機具の周りを見ると、刃のような傷跡がある。そこから刃が飛んできて、マカロニさんに命中したのか。マカロニさんが負傷した今、この船を操る者はいない。


「ルハラ、マカロニさんの手当てを優先してくれ」


 俺はある決心をし、船のハンドルを握った。それを見たルハラとマカロニさんは驚いてこう言っていた。


「え? ケンジは手当てしなくていいの?」


「坊主! お前じゃあこの船は操縦できねぇ!」


「大丈夫だ! 怪我は何とか我慢できる。俺はライダーセンスのスキルを持っているから、船の操縦も把握している!」


 俺の返事を聞いたルハラとマカロニさんは、少し安堵した表情で俺を見た。


「もし、痛みが我慢できなくなったら言ってね。すぐ治療するから」


「そんなに言うならしょうがねぇ。お前に船を託すぜ」


 俺は二人の言葉を聞き、短く返事をした。俺が船の運転した時、大きく揺れていた船の動きがゆっくりとなった。これでナルセたちは戦いやすくなっただろう。俺がそう思っていると、奴らの仲間がこっちに向かって突っ込んでくるのが見えた。片手で銃を持って攻撃したいところだけど、片手でハンドルを運転したら傷がさらに酷くなりそうだ。ルハラは今マカロニさんの治療をしている。まずいなと思っていると、奴の動きは止まり、酷い顔になった。しばらくし、その場に倒れた。どうやら、ヴァリエーレさんがあいつを銃で攻撃してくれたようだ。


「ただいま到着!」


 扉の方からティーアの声が聞こえた。よかった。ティーアとヴァリエーレさんが援護に回ってくれるなら安心だ。


「そっちは終わったの?」


「強そうな奴は海にぶっ飛ばした。でも、まだケンジに攻撃した奴が残っているけど……」


 そうか、強そうな奴のうちの二人はぶっ飛ばしたけど、俺を痛めつけた奴が残っていた。


「あいつは今何をしているか分かるか?」


「えーっと……」


 ティーアが窓を覗き、ため息を吐いてこう言った。


「ナルセと魔王が相手している。優勢だから安心して」


「ああ。分かった」


 ま、そんなことだろうと思った。成瀬とヴィルソルを倒せるなわけがない。なんせ、チート能力を持った最凶の幼なじみと、魔王様だからな。


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