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真夜中のタッグバトル


成瀬:キュアンタ渓谷


 私と剣地が戦う二人組の男、ドネとバリ。ドネと言う男は刀を持っているのだが、他の攻撃方法が分からない。刀一本で車を爆発させるなんて、考えられない。最初に見たあの脚力、多分……魔力で体を強化したのだろう。それと、バリと言う大柄な男は見た目からして力で押すような性格だと思う。


「さーて、すぐに片付けて姫様を連れ戻しに行くぞ」


「おうよ!」


 返事をしたバリはドネを掴み、私と剣地の方を睨んだ。捕まれているドネは、刀を握っていた。


「くるわ!」


「成瀬、バリアを頼む!」


 私は急いでバリアを張り、奴らの攻撃を対処しようとした。


「ふんぬァァァァァァァァァァ!」


 バリはドネを思いっきり私たちの方に向けて投げつけた。その時、私の目にはドネが刀を抜こうとしている姿が見えた。


「よっと!」


 奴の声が聞こえた。それと同時に、バリアが壊れる音が響いた。まさか、私の頑丈なバリアを壊したというの!


「おらァァァァァ!」


 剣地が私の前に立ち、ドネの攻撃を受け止めた。その後、二人の剣がぶつかり合う音が聞こえた。


「子供のくせに意外とやるなぁ」


 と、バリが下種な笑みを浮かべながら私に近付いた。


「少し本気を出そうかな」


 どうやら向こうはやる気のようだ。奴は腕を鳴らし、私にこう言った。


「勢い余って命を奪っても……恨むなよ!」


「その言葉、そのまま返すわ!」


 こうなったら、私も本気を出してやろう! 私は水の魔力を発し、奴の体を濡らした。


「水? 何をする気だ?」


 私は奴を濡らした水の温度を一気に下げ、凍らせた。そのせいで、奴の体は凍り付いた。だが、この程度で奴は倒れないだろう。現に、奴の体は凍っていてもかなり震えている。周りに付いた氷を弾き飛ばすつもりなのだろう。


「うォォォォォォォォォォ!」


 奴の気合が入った声と共に、氷が周囲に弾け飛んだ。そんな中、剣地と斬りあいをしていたドネが呆れてこう言った。


「おいおい、周りのことを考えろよ。下手したらその氷で傷ついていたかもしれないぜ」


「おーっと、悪い」


 私は奴がよそ見をした隙を伺い、剣を持って襲い掛かった。


「ん? 何だ、剣を使えるのか。じゃあ、俺はこの拳で応えよう!」


 その直後、奴は私の振りかざした剣に狙いを定め、拳を振るった。拳と刃がぶつかり、周囲に風が舞った。こいつの拳……かなり固い! まるで、こいつの皮膚が石でできているかのようだ!


「何だ、お前スキルを使ったのか」


「ああ。ストーンボディ。意外と使えるスキルだぜ。アーマー系よりなぁ」


 奴らの会話で分かった。バリはストーンボディと言うスキルを使い、防御力を高めている。攻撃力が高いのは、あいつの筋肉ボディを見ていろいろと察した。じゃあ、ドネも何らかのスキルを使っているのだろう。


「おらよ!」


 剣地がドネを蹴り飛ばし、バリの近くへ追いやった。


「二人まとめてぶっ倒そうぜ!」


 剣地はこう言うと、剣の刃に雷を発した。そうだ、あれこれ考えている暇はない。さっさとこいつらを倒して皆と合流しないと!


「おいバリ、危ないから離れていな」


「分かったぜ。スパッと頼むぜ。スパッと」


「あいよ」


 ドネは立ち上がり、剣を振り回し始めた。一体何をするつもりだ? 私がそう思った直後、剣地が持つ剣の刃に溜まっていた雷が金属音と共に消え去った。


「何!」


「俺の剣用トリガースキル。アイズスラッシャー。魔力も使うし、装備している剣の切れ味もかなり落ちる。だけど、俺の視界にある物は一部斬れる」


 目に入った物は何でも斬れる? そんな物騒なスキルがあったなんて! あのスキルは、雷を斬ることができるのか!


「さて反撃だ。バリ。あの娘ちゃんから潰すぞ」


「あいつの悲鳴を聞くの、楽しみだなぁ!」


 奴らは私に向かって突っ込んだ。


「さぁ、いい声で泣いてくれよ!」


 バリの太い腕が私を襲った。私はジャンプで攻撃を回避し、着地する際にバリの太い腕を剣で突き刺そうとした。だが、ストーンボディを使っている奴の体はかなり固い!


「効かねーよ、そんな攻撃!」


「成瀬から離れろ! 石ゴリラ野郎!」


 剣地が大剣を振り回し、バリに攻撃をした。しかし、ドネが間に入り、持っていた剣で剣地を攻撃した。


「グッ!」


「お楽しみの邪魔をしちゃ悪いじゃないか」


「何が……お楽しみだ!」


 剣地は大剣をドネに向けて振り下ろしたが、ドネはその攻撃をかわした。私はドネに炎を浴びせながら、剣地の元へ移動した。


「あちっちあち! 火の魔力なんか使いやがって……」


「おいおい、しっかりしてくれよ。剣が使えない以上、頼りになるのはお前だけだから」


 奴らは余裕があるのか、話をしていた。その時、剣地が小声でこう言った。


「なぁ、ここら辺に罠を仕掛けることってできないか?」


「例えば?」


「落とし穴とか痺れる罠とか」


「やってみる」


 その後、剣地が前に出て戦い始め、私は罠を作り始めた。


「おっと、一人で戦うつもりかい?」


「死に行くようなものだぜ、坊主!」


 剣地は何も言わず、奴らに攻撃を仕掛けた。しばらくし、私の元にバリの攻撃を受けた剣地が吹き飛んできた。


「グハッ!」


「大丈夫?」


「何とか。それより、罠はできたか?」


「ええ」


 私はにやりと笑い、返事をした。この時の笑みを見たのか、奴らの表情から余裕は消えた。


「何かしたみたいだねぇ」


「関係ないさ、ぶん殴ってやる!」


 バリがそう言うと、私たちに向かって走ってきた。すると、奴は私が魔力で穴を開けた落とし穴に落下した。


「んなぁっ!」


「バリ! クソッ、罠を作っていたのか!」


 バリを助けようとしたドネだったが、バリはストーンボディを発動しているせいでかなり重いだろう。助けるのに一苦労するだろうな。


「グッ……おいおい、ストーンボディを解除しろよ!」


「ちょっと待って……こんな状況じゃあうまくスキル解除できないって」


「何とかしろよ!」


 奴らは隙だらけ。私と剣地は光と闇の魔力を開放し、奴らに近付いていた。奴らは私たちが魔力を開放していることに気が付かず、救助作業をしていた。


「さーて、これで……」


「勝負ありだな」


 私たちの言葉を聞いたのか、奴らは同時に私と剣地の方を振り返った。だが、その時に私と剣地は魔力を放った。




ヴァリエーレ:キュアンタ渓谷の入口


 何とか姫を入口まで護衛することができた。今、セントラー王国に連絡をして迎えの頑丈な車を用意してもらっている。車が付く前に、ケンジとナルセが戻ってくればいいんだけど。そう思っていると、ルハラが声を上げていた。


「勝負あったみたいだねー」


 ルハラの視線を見ると、光と闇が混じった柱のような物が、空高く上がっていた。もしかしたら、ケンジとナルセが魔力を使ったのだろう。


「無事みたいじゃ」


「さて、後は二人の戻りを待つとしますか」


 ティーアとヴィルソルも勝負が終わったことを察したみたい。無事なのはいいけど、あれはやりすぎじゃないかしら。


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