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リーナ姫救出へ


成瀬:セントラー城


 話を聞いた私たちはすぐに助けに行こうとしたのだが、兵士が一旦セントラー城へきてくださいと伝えてきた。その後、私たちはセントラー城へ向かい、何があったのかこの目で確認した。城は荒れ果てて、城壁も火の魔力か何かが当たったのか、真っ黒に焦げている。


「皆様……お久しぶりです」


 兵士団の団長が私たちに挨拶をしてきた。状況を聞くと、アオーラ国が何も知らせずに奇襲を仕掛けてきたらしい。それに、奴らの一部にデーモンノイズという裏ギルドの連中がいて、そいつらが姫を無理矢理連れて行ったらしい。


「ここからアオーラ国までは海を挟んで移動します。奴らは今、そんなに遠くへ入ってないでしょう」


 団長がここまで言うと、兵士の一人が慌てて駆け寄ってきた。


「報告です! 連中をキュアンタ渓谷の洞窟まで追いつめました! しかし、途中返り討ちに合い引き返しました」


「そうか。姫は無事か?」


「はい、連中は大事そうに抱えていました」


 その時、ルハラがその兵士の後ろを見て何かに気付いた。


「ねぇ、何か付いているよ」


「動くな」


 ヴィルソルが背中に付いているものを取ろうとする兵士に止まるように警告した。背中に付いているのは、黒い小さな物体だ。


「これは爆弾だ。魔力で作られている」


「なっ……」


「おかしいと思わないか? お前一人だけ無傷で返すなんて、非道な連中がやることではないな」


「まさか……自分を起爆剤にして……」


「全滅を企んだな。だが、我の闇で何とかする。服の一部が欠けるけどな」


 その後、ヴィルソルは闇で爆弾を処理した。危なかった、このまま爆弾に触っていたら皆爆死するところだった。


「恐ろしいことを考える奴らだな。うし、早くキュアンタって渓谷に行こうぜ」


 剣地が肩を回しながらこう言った。ルハラもヴァリエーレさんも、ティーアもヴィルソルも皆やる気満々だ。もちろん、私も今回の依頼はやる気であふれている。姫をさらって城で暴れた奴を許すわけにはいかない。アオーラ国って言ったよね、あんな国、私の魔力でひねりつぶしてくれるわ。シリヨク王国の時と同じようにね。


 数分後、私たちは車に乗ってキュアンタ渓谷へ向かった。兵士が運転してくれるから、キュアンタ渓谷へ着くまでの間は休むことができた。今思えば、リゾートから帰ってきた後は休んでいない。休むなら今しかないと思い、私は目をつぶって眠り始めた。




ルハラ:キュアンタ渓谷


「皆様、渓谷に着きました」


 私たちは兵士の声で目を覚ました。どうやら、皆眠っていたらしい。起きた後、私たちは外に出て周りを見回した。敵のアジトが近くにあるから、敵がどこかに潜んでいる可能性が高い。


「後は俺たちでやります。安全な所へ避難してください」


「分かりました。姫のことを頼みます」


 ケンジの言葉を聞いた兵士は、車に戻って戻り始めた。


「さて、行きましょう」


 ナルセがこう言うと、皆は一斉に頷いた。


 しばらく歩いていたが、気配は何もなかった。兵士たちと戦い、傷を負ったのか?そう考えていた。すると、遠くからバイクの音が聞こえた。


「誰かくる」


 私たちは岩場の陰に隠れ、バイクが接近してくるのを待った。こんな夜中に渓谷を走る奴はそんなにいない。峠を走るなら分かるけどさ。しばらくすると、黒いヘルメットをかぶった黒いライダージャケットを着た二人組がバイクに乗って走ってきた。怪しい。怪しすぎる。


「俺がやる。ちょっと待っていろよ」


 ケンジが銃を持ち、バイクのタイヤ部分に向けて発砲した。気配が悟られぬよう、サイレンサーを付けている。その結果、相手に気付かれずに攻撃することができた。


「クソッ! 一体何だ?」


「こんな所でしくじっていたら、アオーラ国に戻れなくなる!」


「急ごう!」


 会話を聞くと、奴らがアオーラ国関係者ということが分かった。私たちは一斉に襲い掛かり、奴らを縛り上げた。


「ぐっ……何だ、貴様ら!」


「あんたらの質問に答える気はない」


「質問をするのは私たちの方よ」


 ティーアが奴らの一人を倒し、股間を足で踏みつけながら質問を始めた。


「あんたらはアオーラ国の関係者?」


「そうだ!」


「何でセントラー王国を襲ったの?」


「そんなことは知らん!」


「ほんと?」


 ティーアは疑いの眼差しを浴びせると、男の股間を思いっきり蹴った。


「あふぅん!」


「分かった、本当のことを言う。新国王の命令で、セントラー王国を襲ってリーナ姫をさらえと言われた!」


「何で姫をさらったの?」


「人質にするつもりだろ。詳しい理由は分からない」


「じゃあ、姫は今どこにいるの?」


「この渓谷の洞窟の中にいる! 裏ギルドのデーモンノイズが捕らえた姫を見張っていると思う!」


「もう一つ質問。他にアオーラ国の関係者はいる?」


「一部兵士がデーモンノイズと共にいる!」


 質問を全て聞き終えたティーアは、答えた奴をその場に倒し、私たちに先に行こうと伝えた。


「あ、ちょっと待て! この縄をほどけ!」


「質問に答えたら縄をほどくなんて、一言も言ってないよー」


「この卑怯者!」


「何も言わず奇襲する奴に言われたくないね」


 私たちは男の罵倒を聞き流しながら、洞窟へ向かった。


 数分後、私たちは洞窟の前にいた。ヴァリエーレが入口の近くに立つと、嫌な顔をしてこう伝えた。


「下品な声が聞こえてくるわ」


「奇襲が成功したから、酒でも飲んでいるのかな」


「かもしれないな」


 仕事が成功したから、酒を飲んで宴会でも始めているようだ。お気楽な連中だ。これから襲われるなんてこと、思いもしないだろうな。


「俺が行く」


「じゃあ、私が後ろを見るわ。それでいい、剣地?」


「ああ。何かあった時頼むぜ」


「じゃあ二人とも、お願いね」


 会話を終え、私たちはケンジを先頭にして先へ進んだ。モンスターの気配は一切ない。多分、奴らが殺したのだろう。壁には緑色の液体が周囲に散らばっている。この辺に生息していたモンスターを腕試しで倒したようだ。ま、私たちがモンスターに襲われる心配がなくなったから、ありがたいけどね。


 しばらく進んでいると、小さな明かりが見えてきた。そして、奴らの騒ぐ声も大きくなってきた。


「そろそろ近くなってきたな」


「準備はできているわ」


「私もー」


「いつでも戦えるよ」


「先に進もう」


 私たちは武器を構えてこう言った。ナルセはすでに魔力を開放しており、やる気満々ということを見せつけていた。


「皆がやる気満々なのは分かる。だが……俺に任せてくれ。奇襲を仕掛けて、奴らを総崩れにしてくる」


「久しぶりにナチュラルエアを使うのね」


「ああ。さーて、奴らがどんな反応をするか楽しみだ。皆は奴らが慌てた頃を見計らって攻めにきてくれ」


 ケンジはそう言うと、ナチュラルエアを使って先に進み始めた。


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