リゾート気分が終わる時
剣地:ワイハーン
時は流れて最終日、俺たちは水着に着替えて浜辺にいた。
「さぁ、最後の日だし思いっきり遊ぶぞ!」
俺はゴーグルを装着し、海の中へ飛び込んだ。俺の後に続き、ルハラとティーア、ヴィルソルも飛び込んでいった。
「怪我しないでねー」
後ろから成瀬の声が聞こえた。それと、ヴァリエーレさんの微笑む声も。
「ぷっはー!」
海に潜った後、俺は海面へ浮上した。ふぃー、久しぶりに泳ぐとやっぱ気持ちいいなー。
「ケンジ、一緒に泳ごうよー」
「ここら辺、深いから泳ぐのにうってつけだぞ!」
と、ティーアとヴィルソルがこう言った。ほう。面白そうだな、行ってみよう! 俺は二人の近くへ行き、その場で潜った。俺の目に映ったのは、色とりどりのサンゴや泳ぎまわる魚。他にも、日本では絶対にないであろうと思う変な色のワカメがあった。やっぱり日本とペルセラゴンって違うよなー。そんな時、急に背中が重くなった。犯人は分かった、ルハラだ。俺は海面に浮上し、ルハラにこう言った。
「急に抱き着くなよ、ビビった」
「ごめん。ケンジの背中見たら発情してさ」
「お前、ほんとどこでもムラムラできるな」
「それが私だからね。海の中でイチャイチャする?」
「ははは、溺れるからしないよ」
「残念」
その時、俺の顔に水が飛んできた。その方向を見ると、成瀬が水鉄砲を持っていた。
「面白い物を見つけたわよー」
「水鉄砲か、懐かしいな」
「へー、ケンジの世界にも水鉄砲ってあったのね」
ティーアは成瀬が持つ水鉄砲を見てこう言った。その時、ヴァリエーレさんが何かを持って俺たちに近付いた。
「皆の分もあるわよ」
その手には、俺たち人数分の水鉄砲があった。
「撃ち合いして遊ばない?」
「いいね! やろう!」
と言うわけで、水鉄砲で遊ぶことになった。子供の頃よく遊んだけど、今になって遊ぶと懐かしい。
「こら待て、勇者! 魔王から逃げられると思うな!」
「へーん! 逃げるだけじゃないよー!」
「うわっぷ! 逃げながら撃つな!」
ティーアとヴィルソルはなんだかんだ楽しんでいるようだ。で、ルハラの方は……
「ちょっとルハラ! 水着に向かって撃たないでよ、外れちゃうじゃない!」
「いいじゃないか、水着が外れて胸がポローン! それに、私たち以外誰もいないから乳を出しても問題ない! 大丈夫!」
「大丈夫じゃないわよ!」
ルハラは水鉄砲を使って変なことを考えている。まぁ、いつも通りと言えばいつも通りだな。そんな時、また成瀬が俺に向かって水を撃った。
「またやったな!」
俺は水鉄砲に水を入れ、成瀬に向けて放った。
「きゃー、やられたらやり返すわよー!」
そう言って、成瀬は再び水を俺に撃った。あれ? 何か水の量が増えてねーか?
「あ! お前ずるいぞ、二丁ってありか!」
成瀬は水鉄砲をもう一丁持っていた。こうなったら、やれるだけやってやる!
「やり返してやるぜ!」
俺はガンマスターのスキルを利用し、成瀬に向かって水鉄砲を放った。成瀬の方は俺が放つ水を避けつつ、俺に反撃をしていた。修行の成果が出ているせいか、以前の成瀬の動きとはまた違う。というか、動きが早すぎる。
「チッ……こうなったら……」
俺はやけになり、水を撃ちまくった。すると、成瀬の悲鳴が聞こえた。よっしゃ! 命中したぜ!
「ちょっと……何するのよ……」
あり? 何か様子が変だ。俺は成瀬の方を見ると、成瀬はずれかかった水着を手で押さえていた。あ……この展開は……。
「この変態野郎!」
成瀬の叫び声の直後、俺の頭上に巨大な隕石が落下した。
ヴァリエーレ:帰りの船
「あの……どうかしましたかお客様?」
船員が心配そうな表情で。爆発アフロになったケンジにこう聞いた。
「何も聞かないでください」
と、ケンジは答えていた。ナルセは少しやりすぎたとちょっと反省していた。まぁ……ケンジが無事ならいいかな。
その後、私たちは帰りのバスの中で情報収集をしていた。ほぼ一週間私たちはテレビや新聞を見ていない。この期間の間に何かがあったのか分からないのだ。
「アオーラ国で革命があったらしいね」
と、ティーアが新聞を見てこう言った。
「いつあったの?」
「五日前。大臣のイウチって人が起こしたって」
革命か……何でそんなことを起こしたのだろう。アオーラは特に問題も起こしてはいない、平和な国のはずだ。王様も特に変な政治思想は持っていないのに。
「前国王のムタネは公開処刑され、ムタネに味方する大臣も皆処刑されたらしいね」
「うわー、結構えぐいことする大臣だね」
「ほんと、革命なんて起こして何をする気なのかしら?」
ルハラとナルセが呆れてこう言った。
数時間後、私たちは船から降り、バスを経由してロイボの町に戻ってきた。
「いやー、何か帰ってきたって気分だなー」
ケンジは背伸びをしてこう言った。その後、皆に挨拶をしようと思い、私たちはギルドへ向かった。すると、受付嬢が慌てて扉を開いた。
「ケンジさんたち、丁度良かった!」
「何かあったのですか?」
「緊急の依頼です! 依頼人は、セントラー王国です!」
セントラー王国? リーナ姫の身に何かあったのかしら? 私たちは話を聞くために、ギルド内へ入った。ギルドの中は騒然としていた。それもそのはず、長椅子の上には傷だらけの兵士が横になっていたからだ。
「大丈夫ですか?」
「今治療したから何とかなった。とりあえず、話はできるようだ」
ギルドの人が私たちにこう言った。すると、傷だらけの兵士がゆっくりと私たちの方を振り返った。
「お……お久しぶり……です」
「何が起きたのですか?」
ケンジが慌てて兵士に元へ駆けつけた。その後、ナルセとティーアが兵士を治療しながら、話ができやすい状況を作り始めた。
「実は、先日革命が起きたアオーラ国が、セントラー王国へ侵略しにきたのです」
「侵略! あの国が?」
なんて話だ、アオーラ国がそんなことをするなんて……。
「奴らは不意を突き、攻めてきました。我々も対処しましたが……不意を突かれたせいか兵士たちは皆戦える状況ではなく……殺されてしまった……」
「そんな……」
「それで、姫は無事か?」
ヴィルソルがこう聞くと、兵士は苦しそうにこう答えた。
「リーナ姫は……奴らに連れてかれてしまい……行方は分かりません」
「そうか……話は分かった。アオーラ国からリーナ姫を助けろということだろ?」
ケンジは全てを理解したのか、こう口を開いた。
「はい。情報は……これだけです」
と、兵士は軽鎧から布の切れ端をケンジに渡した。それには、紋章のような物が付いていた。
「これは?」
「裏ギルド、デーモンノイズの紋章です。奴らはアオーラ国の近くで活動しています。もしかしたら、裏でつながっていると思います」
「分かった。すぐにリーナ姫を助けに行くから、そこで待っていてくれ!」
会話後、私たちは立ち上がり、リーナ姫を助けに向かった。
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