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リゾート地に潜む主


 ワイハーンでのリゾート地を企画した会社ビルにて、役員の一人が慌てながら廊下を走っていた。


「か……係長! 大変です!」


「何が大変なのかね?」


「ワイハーンいるルハラ様たちは無事ですか?」


「ああ。今のところ無事のようだが……何かあったのか?」


「実は、この時期になるとワイハーン近くで巨大魚型モンスターが動くと情報が入りました!」


「何! モンスターだと!」


 係長は話を聞いて驚いていたが、別の役員が声をかけた。


「なぁ、あのリゾート地へ向かった人のことを知らないのか?」


「え? 俺はあまりテレビを見ないから……」


 慌てた役員がこう答えた。それを聞いたその役員が、小さく笑いながらこう言った。


「あの子、結構有名なギルドの戦士だぜ。連れにいた他の人もかなり有名だ。セントラー王国での騒動、セブンワーオン本社の騒動、そんでもってヒレラピの騒動を解決したんだぜ。主の一匹や二匹を倒すのに苦じゃないだろ」


 そのことを聞いた係長は、安堵した顔になった。


「なら……もしかして何とかなるかもしれないな」




剣地:ワイハーンの森の中


「ケンジー、いくよー」


 遠くからティーアの声が聞こえた。


「ああ、頼む!」


 俺は木刀を構え、ティーアに返事をした。しばらくし、遠くからティーアが猛スピードで俺に向かって走ってきた。両手には木刀が握られているが、殺傷能力をゼロにするために先は丸まっているし、危険な要素は省いてある。俺はティーアと模擬戦闘訓練を行っている。この森の中は木や草などであまりうまく動けない。その悪い状況を利用して、戦闘スキルを上げようとしているのだ。


 木刀で戦闘訓練を始めて一時間は経過しただろう。俺とティーアは疲れ果ててその場に倒れていた。


「意外と足腰が痛いな……」


「そりゃあ足元が泥だもん。滑ってうまく動けないよ」


「いつつ……とりあえず一旦戻って休むか」


「だねー」


 俺とティーアが浜辺を戻ると、激しい波の音が聞こえた。


「あ、戻ってきた」


 魔力の訓練をしていたルハラが、俺とティーアの方を振り返った。その直後、激しい落雷の音が鳴り響いた。


「二人とも……おかえり……」


 雷の魔力を何度も使っているのか、ヴァリエーレさんが疲れた顔をしてこう言った。


「大丈夫ですか?」


「ええ……ちょっと力を使いすぎたみたい」


「それでも結構魔力が上がったと思うよ、以前より感じる魔力の力が全然違う」


 どうやら、ヴァリエーレさんの魔力がかなり上がっているようだ。俺もヴァリエーレさんの魔力を感じようとすると、以前より強い魔力が俺の肌に伝わってくる。その時、上空から成瀬とヴィルソルが降りてきた。二人とも、傷だらけだ。


「戻ってきたのね」


「こっちは空中戦闘訓練をしていたぞ」


 二人は空での戦いをイメージして特訓していたようだ。傷だらけだし、かなり激しくやったのだろう。


「じゃ、お昼にしましょう」


 皆が集まったところで、俺たちは昼食の準備をしようとした。しかし、食糧庫には何もなかった。


「そうだった……修行で空腹が続いたから……」


「あー」


 激しい修行のせいか、俺たちはかなり激しい空腹が続いていた。そのため、食糧庫の食べ物をむさぼるように食べていた。その結果、一週間分ほどあった食料は空になってしまったのだ。ちなみに……今修行開始して三日目である。


「しょうがない、狩ってくるか」


「うむ。獣系モンスターなら奥にいるだろう」


「獣肉のステーキっておいしいよねー」


 ティーアたちは狩りの準備をし、森の中へ出かけようとしていた。だが、俺は海から何かの気配を感じ取っていた。


「剣地、感じる?」


「ああ」


 成瀬も何かの気配を感じ取っていたようだ。俺は銃を持ち、海に向けて発砲した。弾丸が海に入った直後、海から巨大な魚が現れた。


「ふははは! 永い眠りから覚めた直後に人間と会えるとは、わしは運がいい!」


「何だ、あの魚喋るのか」


 喋る魚を目にし、俺は小さく呟いた。


「ふむふむ。ただの人が四人と、エルフと魔族のガキが一人ずつ。朝食にしては豪華なメニューだな」


「あいつ、私たちを食べるみたいだね」


「魚が偉そうに。逆に食ってやろうか」


 ルハラとヴィルソルの言葉を聞いた巨大魚は、角を立てて俺たちに襲ってきた。


「わしを甘く見るな! わしはこの近辺の主、グルメーギだ!」


 グルメーギの攻撃をかわした後、俺は銃を持って反撃した。


「無駄だ! そんな豆鉄砲がわしに通用するか!」


 俺が撃った弾丸は、奴の鱗に当たって海に落ちた。どうやら、あの鱗はかなり固いようだ。


「わしの餌になれ!」


 奴がこういう中、俺たちは一旦集まって話を始めた。


「なぁ、あいつを倒した後どう料理する?」


「私は刺身で食べたいな」


「調味料があまりないから、シンプルに丸焼きにしようよ」


「でも、あの魚食べられるの?」


「私は何でも食べられるけど」


「あの魚は食べても大丈夫な種類じゃ。モンスターであることは変わりないが、食べても害はない」


「よし、じゃあやるか」


 俺たちが変な目をしているのか、奴はギョッとして後ろに下がった。


「な……何じゃお前ら? 捕食者のような目をしてわしを睨みおって!」


「逃げるなよ、焼き魚!」


「誰が焼き魚じゃ! わしはグルメーギって言っているだろうが!」


 もう……腹が減って限界だ! 俺たちは一斉に焼き魚に襲い掛かった。


 数分後、食糧庫にはさっきの焼き魚がぎっしりと入っていた。


「うわー、意外とデカかったね」


「ああ。この中に入らないのは予想外だったな」


 俺は収まり切れない焼き魚を食べながら、ルハラと話をしていた。そんな中、部屋の中にある電話が鳴り響いた。


「はいもしもし」


 成瀬が電話に対応してくれた。誰かと聞くと、成瀬はリゾートの会社の人と答えた。


「何かありましたか? え? 主ですか? 最近動きが活発になっているから気を付けろ? あの魚なら今、倒しましたけど……はい。焼き魚にして食べました。はい……分かりました。では失礼します」


 と言って、成瀬は電話を切った。


「一体何の話だったのじゃ?」


 ヴィルソルがこう聞くと、成瀬は背伸びをしながらこう答えた。


「あの魚のこと。最近動きが活発になっているから気を付けてって」


「気を付けてって言われても……倒しちゃったしね……」


 ヴァリエーレさんが浜辺に置いてある巨大な魚の骨を見て、呟いた。


 だけど、あの焼き魚と戦って分かったことがある。俺たちは以前よりも強くなっている。この調子で、どんどん強くなっていこう。


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