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技と力


ヴァリエーレ:エクラードの森


 私は魔力を開放し、周りに電撃を発生させた。私の電撃を受けたプラルパスィは軽く腕を回しながら、こう呟いていた。


「魔力耐性がない体だな……」


 私はこの隙を奪い、電撃を放った。しかし、奴は私の攻撃を難なくかわしていった。


「同じ攻撃が二度も通じるか!」


 奴は飛び上がって私の攻撃を回避し、私の近くに着地した。


「今度はこっちの番だ!」


 奴が手にしている爪が、私に襲い掛かった。私は後ろに下がって攻撃を回避したが、爪が服をかすり、少し破けてしまった。


「テアッ!」


 二撃目がくる! 私は剣を盾にし、奴の攻撃を防御した。二撃目は足技だった。


「足を封じたとでも思ったつもりか!」


 この言葉の直後、奴は私の剣を蹴り、体を回しながら飛び上がった。蹴られた際の反動で、私はバランスを崩した。


「隙あり!」


 上空から奴の爪が私に目がけて襲ってくる。だが、このスピードなら奴もそう簡単に方向を変えられない。こうなることは予想していなかったが、チャンスが生まれれば必ずものにしよう!


「あなた、運が悪いわね」


 私は溜まっていた電撃を剣先にため、奴に向けて発した。


「同じ攻撃は効かないと言ったはずだ!」


 私が発した電撃は、回転し始めた奴の体によって弾かれた! そんな、私の電撃が弾かれるなんて!


「死ね!」


 私は奴の攻撃を回避することができず、攻撃を受けてしまった。攻撃で服がズタズタになり、肌も爪が食い込んだせいかあちらこちらで血が流れている。ぶっ飛ばされた私は、近くの木に激突した。枝が体に突き刺さらなくてよかったけど、奴の攻撃の傷が大きい。何とか立てられるが、何度もあの攻撃を受けたらおしまいだ。


「ほう。女の割にすごい根性を持っているな。俺の攻撃を受けて、立ち上がるなんて」


「危険な仕事をしているからね」


 私は呼吸を整え、冷静に落ち着こうとした。奴の爪はすごい。力もあるし、格闘のセンスもある。しかし、奴には弱点がある。それは、魔力の攻撃に弱いこと。奴は魔力耐性のない体だなと自分で呟いていた。魔力を奴に当てれば傷は与えられるが、あの爪のせいで電撃は弾かれてしまう。さて、どうしようか。


「今度こそお前を殺してやる!」


 奴は再び体を回転させながら、私に襲い掛かってきた。私の方も奴の攻撃を見切っている。体を回転させ、相手に向かって突っ込んでくる技だ。爪のある部分に電撃を向けて発したら、電撃は跳ね返される。なら、そこ以外に電撃を狙えばいい。


 私は電撃を溜めながら、奴の攻撃をかわしていった。


「何度も言わせるな、同じ手は通じぬと言っているだろうが!」


「さーて、どうかしら」


 私は剣先に電撃を溜め、奴の隙を伺った。しばらくし、奴は方向転換して私に向かって来た。その時、私は閃いた。ジャンプして攻撃をかわし、後ろに回って電撃を当てようと。


「くたばれ!」


 奴は私に向かって飛んできた。よし、動こう! 私はジャンプして奴の攻撃をかわし、背後に回って電撃を発した。


「何!」


 私が攻撃をかわしたこと、そして電撃を発したことを察した奴は驚いているようだ。方向転換してもう一度私の方に突っ込もうとしているが、方向を変える前に私が放った電撃が奴に命中した。


「ギィィィィィヤァァァァァァァァァァ!」


 電撃が弾け舞う中、奴の悲鳴は轟いた。しばらくし、体の一部が黒焦げになった奴がその場に倒れた。だが、完全に倒したわけじゃない。かすかに奴から魔力を感じる。


「は……ははは……ははははは! この程度で……このプラルパスィを倒したとでも?」


「死にかけているじゃない」


「お前がいくらこの体を傷つけようと、俺は死なない! また誰かに憑依して生き延びてやるわ!」


 一体何を言っているのだろうか? 誰かに憑依して生き延びてやるって……まるで奴が装備している爪自身に命があるような言葉だな。


「もう容赦はしない! お前の体をズタズタに裂いて、貴様の肉片で辺りを赤く染めてやる!」


 叫び声の直後、奴は爪を振り回しながら私に襲い掛かってきた。さっきよりも攻撃スピードが速い。そして、見えない衝撃波を出しているのか、目の前にある木々を斬り倒している。


「逃げるな! 巨乳女!」


「そんなこと言わないでよ!」


 私は電撃を発し、奴に攻撃をした。電撃は奴の体に命中したのだが、奴は両腕を力強く振り払い、体中に纏っている電撃を払った。


「もうこんな魔力は効かない……大人しく俺に殺されろ!」


 そう言うと、奴は飛び上がって体を回し始めた。あの技をやるつもりだ!


「血祭だ!」


 この攻撃も、さっきと比べ速さを増している! この攻撃を喰らったら、確実にやられる! 反撃をする余裕がない、まずい……やられる!


 私はギリギリで攻撃をかわす中、奴は私から遠く飛んで行った。


「避けたか……」


 奴の呟きが聞こえた。すると、何かに激突したのか、激しい音が聞こえた。


「な……なぁ!」


 どうやら、奴は大きな木に命中したようだ。


「クソ! 何でこんなことに!」


 木に食い込んだ爪を外そうとしているのだが、深くはまっているせいか、爪は抜けなかった。


「クソッたれ!」


 まぁ、こうなることは予想していた。戦いの場は木々が生い茂っている森の中。奴の必殺の攻撃は回転しての突進。いつか木に突っ込んで動けなくなるだろうと思っていた。


「いい加減外れろ! グッ! このクソッたれが!」


 爪を外すことで精一杯なのか、奴は私のことに気付いていない。チャンスだ。


「こうなることは予想していたわ」


「な……」


 私は剣を高く振り上げ、刃全体に雷を発した。この位なら、斬って感電しても半殺しで済むだろう。


「さぁ、お仕置きの時間よ」


 私は高く振り上げた剣を、奴に向けて振り下ろした。剣は奴に命中。奴の体には大きな傷跡が生まれ、そこから強い電撃が奴を襲った。


 奴は悲鳴を上げた後、その場に倒れた。魔力はもう感じていない。ふぅ、これで終わったようだ。座って休んでいると、遠くからナルセの魔力を感じた。こっちにくればいいけど。




ヴィルソル:エクラードの森


 我は鎌を持ち、目の前の男に斬りかかっていた。それに対し、男は槍を使って我の攻撃を防いでいた。


「さっきから何を企んでいる?」


「別に何も!」


 奴はそう言うと、槍を大きく振り下ろした。反撃のつもりだろうが、我には通じなかった。しばらくすると、奴は小さな声で笑い始めた。


「何がおかしい?」


「あんたの無様な最期が目に浮かんでねぇ」


「何を言っている?」


「さぁ、出てこいよ!」


 その時、我の背後から別の気配を感じた。後ろには、大きなワニの軍団が近付いてきたのだ。


「ここはブラークロコダイルの住処だ!」


「貴様……」


「俺はこの男と相性がいいようだ。ケケケケケ! 同じ卑怯者同士、うまくやれそうだ!」


 ブラークロコダイル。ワニ型のモンスターで、目に入った物を何でも食べてしまう恐ろしいモンスターだ。クソ! いつの間にか、我はこいつらの住処に入ってしまったのか!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ヴィルソルは今までの武器は槍だったような気がしますが、彼女は槍も鎌もこなせるって奴ですか?
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