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ベロラーダを追い詰めろ!


剣地:宿屋


 俺たちが手にした証拠は、裏ギルドの殺し屋。こいつからベロラーダが裏ギルド、スカルナイフに敵対会社の要人暗殺とベロラーダの会社を裏切ろうとする役員の暗殺を頼まれたと話を聞くことができた。それだけで、ベロラーダを追い詰めることができる。その後の話は警察の仕事だ。俺らの任務は、あいつの悪事を暴くだけだから。


 翌日、宿屋の前で俺たちはヴァリエーレさんとヨキルさんと合流した。事前にヨキルさんがベロラーダに会って話をしたいと連絡を入れてくれた。


「では、待ち合わせ場所に行きましょう」


「どこで会うの?」


「父の会社の近くにある、ツゥートの丘です」


 その後、俺たちはツゥートという丘へ向かった。頂上へ到着したが、俺たち以外に誰もいなかった。いや、誰かがいる気配はするのだが、姿は見えなかった。多分、スカルナイフの連中だろう。一部の連中が、ベロラーダの護衛のためにいるのだろう。しばらくし、ベロラーダが高級な車に乗ってやってきた。


「やぁやぁ。ヨキルとその嫁、ヴァリエーレ。おまけにギルドの諸君。何の用だ?」


「父さん、単刀直入にいいます。これ以上悪事を重ねるなら、僕は父さんの悪事を世間にばらします」


 ヨキルさんはベロラーダに向かって、こう言い放った。ベロラーダは驚いた表情をし、周囲を見回した。こんなことを言われるなんて、ましてや息子に言われるなんて思ってもいなかったのだろう。


「な……何の話だ? ヨキル、こんな冗談を言うためにわしと話がしたいと言ったのか?」


 ベロラーダは冗談と言っているが、顔は焦りの色を見せていた。ヨキルさんは俺の方を見て、捕まえたスカルナイフの殺し屋を出すように合図した。捕まえたスカルナイフの殺し屋が暴れないよう、俺はインフィニティポーチであいつを入れていたのだ。


「おいおっさん、こいつに見覚えあるだろ?」


 俺はインフィニティポーチを出し、そこからスカルナイフのアサシンを取り出した。身動きができないよう、紐で体を縛っていて、口はテープで塞いでいる。


「くがっ……くぅ……」


「この人から話を聞きました。あなたが敵対会社の要人暗殺と、裏切り者を暗殺するように頼まれたと」


「は……ははははは……おかしな子だな。私には裏ギルドの知り合いはいないぞ」


「じゃあ周りにいる連中はなんだ?」


 俺は銃を取り出し、後ろで潜んでいる奴に向けて、銃を撃った。その直後、後ろから悲鳴が聞こえた。それからしばらくして、草の裏に隠れていた男が倒れるように姿を現した。


「こいつらは誰だ? 腹黒野郎。それにさっき、裏ギルドの知り合いはいないって言ったな? 俺はこいつが裏ギルドの人間だって一言も言ってねーぞ!」


 俺は睨みながら、ベロラーダに言い放った。その時、ベロラーダの表情が変わった。


「出てこい裏ギルドよ! こいつらを始末しろ! 全員殺したら、報酬は三倍にしてやる!」


 この声を聞いた周りに潜んでいた連中が、一斉に出てきた。俺たちが周りの連中に視線が向いている隙に、ベロラーダの野郎が逃げるために走り出した。


「私はベロラーダを追います」


「ヴァリエーレさん。お願いします」


「僕も行きます!」


 ヴァリエーレさんとヨキルさんは、逃げたベロラーダを追い始めた。で、残った俺と成瀬とルハラは、こいつらの相手だ。


「ガキと思うなよ。こいつら、うちの仲間を倒したからな」


「ああ」


 俺の目の前に、剣を持った大男と、槍を構えた男が二人現れた。距離は離れている。こいつら、俺が銃を使えるってこと忘れているだろ。


「学習しねー奴らだな」


 俺は銃を二丁取り出し、両手に装備して発砲した。最初に弾が当たったのは、槍を持った二人組。あっさりやられた二人を見て、大男は後ろを振り返った。


「何!」


「隙だらけだぜ」


 俺は大男の足に向けて、弾丸を二発発砲した。弾丸は男の足に当たり、男はその場に倒れた。


「隙だらけなのはお前だぜ、あんちゃん!」


 俺の背後から、剣を持った奴が五人ほど襲い掛かった。だが、俺に剣を振る前に、成瀬が魔力を使い、地面から氷柱を伸ばして奴らに攻撃した。


「うちの旦那に手を出さないでくれる?」


「ありがと、成瀬」


 成瀬に礼を言った後、周囲を見回した。目の前に、ライフルを構えた奴らがいた。数は十人。ハンドガンで対処できるか不安だったが、ルハラの風が奴らを吹き飛ばした。


「いえーい。あいつらの処理は任せてー」


「ああ」


 その後、成瀬とルハラの魔力が、スカルナイフの団員を襲った。あっという間に団員は倒され、気を失っていた。


「く……くそ……」


 後ろで団員に指示を送っていた男が後ずさりをしていた。指示を送っていたのを見たから、こいつがリーダーだろう。俺はスカイウィングで飛び出し、リーダーらしき人物を捕まえた。


「おい、あんたがリーダーか?」


「そうだ! 貴様、何をするつもりだ?」


「何も考えてねーけど……そうだ。あんた、散歩は好きか?」


「あぁ? そうでもねーけど」


「じゃあ、空の散歩をしましょうか!」


 俺はリーダーを抱えたまま。空高く飛び上がった。俺は翼が生えているからいいけど、リーダーはそうはいかない。俺が手を離したら、リーダーは真っ逆さまに下に落ち、激突。多分ぽっくりと逝くだろう。


「戻してくれ! まだ死にたくない」


「じゃあベロラーダに仕事を頼まれたこと、話してくれるよな? 詳しく、細かく、丁寧に」


「はい! 分かりました!」


 どんな悪党でも、命は大切なのか。俺はそう思いながら、リーダーを地面に卸した。降りた瞬間、リーダーは涙と鼻水を流しながら、気を失った。




ヴァリエーレ:ツゥートの丘、下り坂


 ベロラーダは馬車に乗らず、そのまま丘を下る道を走って逃げていた。車に乗って逃げた方がいいのに、相当慌てているのだろう。しばらくベロラーダを追っていると、道は下り道になった。


「あっ! うわっ、ぎゃっ!」


 慣れない坂道で走ったせいか、ベロラーダは何回か転倒しそうになっていた。そして、転倒して坂道を転がって行った。追い込むのは今がチャンスだ。


 しばらく転がっていたベロラーダは木にぶつかり、目を回していた。私はベロラーダを捕まえ、ヨキルさんの元へ戻って行った。ヨキルさんは目を回している自分の父を見て、溜息を吐いてこう言った。


「父さん……あなたは哀れな方です。自分の欲望のために悪事を重ねた。そして、権力と金を使い、悪事を揉み消した。そのつけを払う時です」


 その後、私とヨキルさんは気を失ったベロラーダを連れ、ケンジたちの元へ戻った。どうやら、向こうも裏ギルドとの戦いが終わったようだ。周りには気絶している裏ギルドの団員が倒れており、ケンジは気を失っているリーダーらしき人物を確保していた。


 やっと終わった。私の中で、もやもやしていた部分が晴れた気がした。




成瀬:ギルドの受付


 私たちがベロラーダを捕まえたことと、裏ギルドのスカルナイフを壊滅させたニュースはあっという間に世間に知れ渡った。


 ベロラーダはあの後、裏ギルドとの取引容疑で逮捕された。今回の事件のほかにも起こした悪事がばれて、そのせいで無期懲役になるようだ。ま、当然の結果だと思う。裏ギルドとの取引以外にいろいろやっていたらしい。


 で、私たちはスカルナイフを壊滅させた報酬で、とんでもない大金を手にしていた。


「いやー。まさか裏でこんなことが行われていたなんて。私知りませんでした」


 と、ギルドの受付嬢の人がこう言っていた。ギルドの人も、私たちを見てよくやったと褒めていた。


 ヨキルさんだが、あの後冒険の旅を始めたようだ。実はあの人、会社経営よりも、世界を見て回りたいと言っていたようで、事件の後、すぐに旅を始めたとのこと。そのためにいろんなスキルをこっそり習得していたらしい。


 そして私たちは、事件の翌日にロイボの町に戻っていた。いろいろあってか、部屋に戻った直後、私はベッドの上で横になった。


「はぁ、疲れた……」


「ナルセと同じく疲れた……」


 ルハラが私の隣で横になった。だが、剣地は真っ先にシャワーを浴びに行った。しばらくして、シャワーを浴び終えた剣地がパジャマに着替えていた。


「もう寝るの?」


「ああ。明日はヴァリエーレさんの親父さんと会うからな」


 そうだった。この事件が終わったら、ヴァリエーレさんは剣地の妻になる。とても重要なことを忙しすぎて忘れていた。


「じゃあ明日はヴァリエーレさんの所に行くの?」


「ああ。というわけで、俺は早めに寝るよ」


「分かった。おやすみ」


「おやすみー」


 剣地はベッドの上で横になると、すぐに眠ってしまった。


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