成瀬を狙う二つの頭
成瀬:エクラードの森
私の相手は銃使いのようだ。気配はするが、姿は見えない。まぁ、銃使いは姿を消して遠くから相手を撃つ。それが戦法だから、姿を消すのは当たり前だと思うけど。
さて、どうやって姿をあぶりだそうか。
私はこう考えながら、飛んでくる銃をバリアで対処していた。広範囲に広がる炎を使おうと考えたけど、ティーアの故郷を燃やすのはあまりにもやりすぎだろうと思い、私はそれをやろうとは思わなかった。
そう考えていると、また発砲音が聞こえた。どうせバリアで防がれるのに、何でこんなことをするのだろうと思いつつ、私はその銃弾をバリアで対処しようとした。しかし、飛んできた銃弾の数は一つではなく、二つだった。一つ目は対処できたが、続けて飛んできた二つ目の銃弾で、私のバリアは割られてしまった。
「なっ!」
私はバリアが割られた瞬間、風を使って俊敏に動き、草の中に隠れた。相手は何かのトリックでも使ったのか? 私はそう考えながら、魔力を消して周囲に溶け込んだ。あー、こういう時にナチュラルエアが使えたら便利なのに。そう思った時、私はふと思った。魔力で似たようなことができるのではないかと。少しやってみようかな。
「気配を消したか」
成瀬を攻撃していたのはルムツだった。しかし、今のルムツには意識がなく、彼の体を操っているのは呪われた武具の一つの銃、ツインヘッドである。ツインヘッドは他の銃とは違い、銃口が二つある。タイミングさえ操れば、一発目の発砲からすぐに二発目を撃てる構造になっている。もちろん、タイミングをずらすことも可能だ。
「面倒な相手だな」
ツインヘッドは目をつぶり、何かの気配がないか探り始めた。だが、突如吹いた風のせいで、草木が揺れる。その音で聞き取れなかった。
こんな時に風が吹くかよ。
心の中でぼやきながら、ツインヘッドは別の場所へ移動を始めた。別の木の上に登り、周囲を見回すが、何も変わったものはなかった。
おかしい。急に姿を消すなんて。
彼は気配を消し、高い木の上から成瀬の姿を確認し、発砲して攻撃していたのだ。だが、今は成瀬の姿は見えない。消えてしまったのだ。何かトリックでも使ったのかと思いつつ、ツインヘッドは移動を始めた。その時だった。彼の耳に、耳鳴りのような音が響いたのだ。何だと思い、耳をほじろうとしたのだが、その瞬間に何かが飛んできたのだ。
「グアッ!」
飛んできたのは針だった。左手に突き刺さった針を抜き取り、ツインヘッドは周囲を見回した。
この周辺のどこかに奴はいる!
攻撃を受けたため、こう確信したツインヘッドは銃を構えた。だが、姿は見えなかった。
「どこだ、どこにいる!」
こう叫んだ次の瞬間、また音が響き渡った。そして、今度は二本の針が右の二の腕に命中した。
「クソッたれが!」
左手で右の二の腕に突き刺さった針を抜こうとした瞬間、左足のすねに針が突き刺さった。
「グゥッ!」
左足に激痛が走り、痛みに耐えきれなかったツインヘッドは片膝をついた。すねに刺さった針を抜き、痛みを和らげようとした。
「あのメス豚が!」
ツインヘッドは銃を持ち、周囲に弾丸をばらまいた。適当に弾を撃っていれば、当たると彼は思ったからだ。しかし、銃は命中しなかった。
「どこだ! 姿を見せろ!」
この言葉の直後、再び謎の針が彼を襲った。今度は一本や二本ではない。雨のように降り注いだのだ。
「グァァァァァァァァァァ!」
顔を除いた全身に針が刺さったせいで、ツインヘッドは大きなダメージを受けた。結果、彼はその場に倒れてしまった。
「な……何故だ……姿が見えないのに……」
「じゃあ、答えを教えてあげるわね」
その時、近くで少女の声が聞こえた。しばらくし、成瀬が何もない空間から現れた。それを見て、ツインヘッドは目を丸くして驚いた。
「な……何で何もない場所から……」
「光のマントよ」
成瀬は羽織っているマントを見せびらかすように広げた。だが、そこには何もないように見えた。
「マント……何もないようだが……」
「光が反射するようにいろいろと細工をしているのよ。こいつを使って姿を消したわけ。魔力のおかげで、かなり高度な透明マントを作れたわ」
その後、成瀬はマントを消し、剣を持ってツインヘッドに近付いた。
「さぁ、覚悟しなさい」
この言葉を聞き、ツインヘッドは小さく笑い始めた。
「バカだな……この体に攻撃しても、俺には意味がない」
「どういうこと?」
「足りない頭で考えな、尻軽嬢ちゃん」
この言葉を聞き、腹が立った成瀬は強烈な火炎球をツインヘッドにぶつけた。この一撃を受けたツインヘッドの意識は、遠のいてしまった。
成瀬:エクラードの森
少し加減はしておいた。まぁ、これくらいの火炎球を受ければ一発で気を失うだろう。しかし、この体に攻撃しても意味がないってどういう意味? 考えていると、空から人が飛んできた。この人はエクラードに住んでいる人だ。一体どうしたんだろう。
「大きな音がしたもので、飛んできたのですが……愚か者の一人を倒したのですね」
「はい。まだ息はあると思いますが、半殺しにはしました」
「恐ろしいことを言いますね……」
その後、その人は魔力で奴が握っていた銃を外し、宙に浮かした。
「面倒なことをしますね」
「呪われた武具に触れてしまうと、体を乗っ取られてしまいますので」
「え……じゃあ私が戦っていたこの男も……」
「はい。この銃に体を乗っ取られ、操られていました」
なんか物騒な武器ね。封印されていた理由が分かったわ。
「で、こいつを破壊する方法ってないの?」
「今は……」
「方法がないから封印したのね」
この時、私はあることを思いついた。
「ねぇ、もしかして魔力でこいつらを壊そうとした?」
「はい。ですが、無駄でした。我々の光でもこの武器は壊れませんでした」
「闇以外は効かなかったってわけね」
その後、私はその銃を地面に置くように伝えた後、強烈な闇を発した。
「闇を使ってどうするのですか?」
「闇でこの銃を跡形もなく消し去るのよ! 他の魔力で壊すのがダメなら、闇の魔力で消すしかない!」
私は闇で作った球体を銃にぶつけた。すると、大きな音を立てながら闇は銃を飲み始めた。その時、銃からオーラが現れた。
「ギャァァァァァァァァァァ! 闇で俺を消すつもりか! そんな……そんなことって……」
「どうやら、これが弱点みたいね」
私は力を入れ、闇の威力をさらに上げた。闇の動きは活発となり、すぐに銃を飲み込んでしまった。その銃から発したオーラも悲鳴を上げようとしたのだが、その前に消えてしまった。
「すごい……今まで壊せなかった呪われた武具の一つが……いとも簡単に……」
「さ、戻りましょうか」
私はエクラードの人にウインクをして、里に戻ろうと伝えた。
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