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サキュバスの呪い


ヴィルソル:ギルドの部屋


 ヒレラピの仕事の後、ケンジは目を覚まさない。きっと何かされたのだろうと我は考えている。


「どうしたの、魔王? じっとケンジのことを見つめちゃってさ」


「何か異変がないか調べている」


 我はケンジをパンツ一丁にして、体中を調べている。ナルセがその様子を後ろから見ていた。


「何か変なことをされたのかしら?」


「その可能性が高い。だが、何をされたのか分からないが」


「何これ?」


 ルハラが何かを見つけ、我に近付いた。


「何かあったのか?」


「首筋の部分。ここ」


 ルハラの言う通り首筋を見てみると、そこには紫色のハートマークが怪しく輝いていた。まさかこれは。


「少しエイトシターたちと会話してくる」


「え……ええ」


 ナルセは我に向かって返事をした。我はベッドルームへ行き、通信機具を使ってエイトシターたちに連絡を始めた。


「エイトシター、今連絡しても大丈夫か?」


「はい。大丈夫です。何かご用件ですか?」


「呪いに詳しい奴がいたはずだ。そいつに聞きたいことがある」


「少しお待ちください」


 しばらく待つと、映像にメガネをかけたゴブリンが映った。


「お久しぶりですヴィルソル様。何かご用件ですか?」


「ケンジの首筋に紫色のハートマークが浮かんでいる。何か知っているか?」


「紫色のハートマーク……もしかしたら、サキュバスの呪印だと思います」


「サキュバスの呪印? じゃあケンジは呪われているってことか?」


「はい。あの事件のことは知っています。サキュバスと化したクナブとの戦いで、ケンジさんは呪われたのだと思います」


 あの女……ケンジに呪いをかけていたのか。ケンジを自分の物にするために!


「どうすれば解呪できる?」


「それが……方法はないのです」


「は?」


「サキュバスの呪印を解く方法はないのです。解く方法はまだ解明されていません」


「だが、クナブは死んだぞ。呪いは解けてもいいはずじゃないのか?」


「それが、サキュバスの呪いは死んだ後も効果があります。呪った想い人を亡き者にし、あの世でも一緒にいられるようにと」


「そうか……分かった。失礼する」


「お力になれなくて申し訳ありません」


「大丈夫だ。気にするな」


 私はそう言って、通信機具の電源を切った。その後、私は皆にこの話のことを伝えた。


「じゃあ……剣地はもう死ぬしかないってこと?」


「解呪方法が見つからなければ」


 ナルセは我の言葉を聞いた後、涙を浮かべて泣き始めた。


「そんなの……あんまりだわ」


 ヴァリエーレは、ケンジの頬を触ってこう言った。


「キスすれば目覚めるかな?」


「余計寿命が縮むと思うから、止めておけ」


 我は変なことを言ったルハラにこう言った。その時、勇者はため息を吐いた。


「仕方ない。あの人に相談してみよう」


「あの人って?」


 ナルセは涙を止め、勇者にこう聞いた。


「フォレ。私の師匠」


「と言うことは……」


「皆、私の故郷に行こう。あそこなら、何か解呪方法が見つかるかもしれない」


 勇者の故郷か。うーむ。魔族である我が、勇者の生まれ故郷へ行っても大丈夫なのだろうか? だが、方法はそれしかない。魔族とか勇者とかそんなことを考えるよりも、ケンジの命のことを考えよう。




ヴァリエーレ:車の中


 翌日。私たちはティーアが手配した車に乗り、ティーアの故郷へ向かっていた。


「ティーアの故郷ってどんな場所なの?」


 私の横に座るナルセが、ティーアにこう聞いた。確かに私も気になる。


「私が生まれた場所は小さな里だよ。エクラードって言って、森の中に囲まれた里なの」


「まるでエルスの里と同じだね。私も森の中で育ったの」


 ルハラが故郷のことを思い出しているのだろうか、上を見ながら話した。その時、ヴィルソルが不安げにティーアにこう聞いた。


「なぁ勇者よ、魔王である我が勇者の里へ行って大丈夫なのか?」


「多分。向こうも私たちの活躍のことは察していると思うから、皆知っていると思う」


「だといいが……」


 一体何が不安なのだろう、私は少しに気になったので、ヴィルソルに聞いてみた。


「何か不安なの?」


「魔王である我が勇者とあれこれしたとなると、あの里で変人扱いされると思っての」


「まぁ、確かに」


 よくよく考えてみると、私たちはエルフ、勇者、魔族の紋章を手にしている。なんていうか、こんな滅茶苦茶な人がきたら、エクラードの人たちは驚く。話をしているせいか、時間の流れを早く感じた。私たちが乗る車はあっという間にエクラードの入口の森の前に到着していた。


「うわー、でかい森」


 ルハラは森を見て、びっくりしたかのようにこう言った。


「この中に里があるの?」


「うん。まぁ、入口から里までは一本道だからすぐわかると思うけど」


 ナルセとティーアの会話を聞き、私は少しほっとした。あんな森の中で迷ったら、多分一生外には出られないであろう。


 その後、車は森の中を走っていた。今は確か昼なのに、森の中は夜のように暗い。車もハイランプを付けて走っていた。


「何か出そうじゃのう」


「何も出ないから安心して。この辺りにモンスターはいないはずだから。まぁ、道を外れたらかなり強いモンスターがうじゃうじゃいるけど」


 ティーアはヴィルソルにこう説明していた。少しだが、周りから魔力を感じている。多分、この魔力でモンスターの行動を抑えているのであろう。ティーアの故郷、一体どんな感じなのだろう。


 数分後、私たちの目の前に、大きな門が現れた。


「やっと着いたねー」


「ここが入口だよ」


 ティーアはドアを開き、外に出て背伸びをした。私たちは外に出て、周りを見渡した。


「ここから歩けば、エクラードに到着します」


 と、運転手さんがこう説明してくれた。ナルセがお礼を言った後、眠っているケンジを魔力で浮かした。


「では行きましょう」


 私たちは門をくぐり、エクラードの里へ向かった。しばらく歩くと、私たちの目の前に門番らしき人物が目に入った。


「やっほー、久しぶりー」


「て……ティーア様!」


「どうしてここに?」


「旦那が呪われてね。師匠に助言をいただこうかと思って」


「旦那……ケンジ殿のことですね」


 門番は私たちの方を見て、すぐにマイクでこう言った。


「ティーア様たちハーレムパーティーがきました。フォレ様に用があるようです」


 しばらくし、門番は目の前のゲートを開けてくれた。


「ではどうぞ」


 私たちはその門をくぐったのだが、ヴィルソルだけは何故かその場に立ち止まっていた。


「おい。魔王である我がこの里へ入ってもいいのか?」


 と、ヴィルソルは門番にこう聞いた。門番はヴィルソルの手の甲を取り、そこに映っている紋章を見た。


「お前は魔王だが、勇者の紋章も入っている。何も問題はない」


「そうか」


 ヴィルソルは少しほっとした表情をし、私たちの元へ歩いて行った。


「私の師匠はこの里の一番高い所に住んでいるの。ちょっと離れているけど、急ごう」


 ティーアがこう言った後、私たちは急いでティーアの師匠の下へ向かって行った。


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