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悪女との戦いへ


剣地:ステージ裏側


 レーフェンの猛攻で俺は死にかけたが、気合で何とか返すことができた。状況はどちらも瀕死だけど、俺が一歩リードしているようだ。


「さーてと、お仕置きタイムと行きますか」


 俺は素早く銃を持ち、奴の左肩に向けて発砲した。まだ銃を持つ手の痛みがあるけれど、このチャンスを逃すと二度とチャンスは巡ってこないだろう。そう思いながら、俺は奴に攻撃を続けた。


「グガッ! ギャァァァァァァァァァァ!」


 銃弾は左肩を抑えている手を貫通し、奴の左肩に命中した。


「あ……ああ……クソが……」


 傷が酷いのだろうか、奴はその場に倒れた。体も震えており、うまく動くこともできないだろう。


「さて、終わりの時間だぜ」


 俺は剣を持ち直し、何とか足を動かして奴の近くまで接近した。そして、その場で震えている奴に剣を振り下ろした。


「ガッ……」


 奴は白目をむいて、その場に倒れた。死なないように手は抜いておいた。だが、この傷だともう動くことはできないだろう。


「ふぃー……疲れた」


 何とか倒すことができた。ブレアよりは強くなかったけど、あの時は皆で戦っていたし、皆の力でブレアに勝てた。今は一人で戦っていた、それなりにキツイ。


 その場に座って休んでいると、まためまいが俺を襲った。剣を杖代わりにし、何とか倒れないように態勢を整えた。だが、さっきのめまいよりも強く、俺は気分が悪くなってきた。あまりにも悪いので、意識が飛びそうにもなった。あぁ……早く成瀬たちがこないかな。


 しばらくすると、遠くから足音が聞こえてきた。疲れで魔力を探知することができないから、誰がきたのか分からない。敵じゃなければいいけど。


「誰かそこにいるのですか?」


 声を聞いて、俺は驚いた。声の主はリリオさんだったのだ。


「ケンジさん……」


「ども」


「傷だらけになって……大丈夫ですか?」


「何とか動けますよ。安心してください」


 俺は笑顔でこう言ったのだが、リリオさんは俺がカラ元気だと言うことを察していた。


「少し待っていてください。ルハラさんかヴィルソルさんを連れてきますので」


「すみません。お願いします」


「あ! ケンジ君!」


 その時、クナブさんが俺に気付き、慌てて駆け寄ってきた。


「怪我だらけじゃない、大丈夫? 息はある?」


「していますのでご安心を……」


 俺は震える声でこう答えた。まぁ、とにかく二人が無事で安心した。俺はそう思っていた。だが、レーフェンが震えた声でこう言った。


「み……見つけたぞ……リリオ……」


 まずい! あの野郎目が覚めてやがったのか! 俺は銃で奴の手を打ち抜こうとしたが、クナブさんがそれを邪魔した。


「動かない方がいいわよ! 傷が広がる!」


「でも何とかしないとリリオさんがやられる!」


 俺はクナブさんをどかし、銃でレーフェンに狙いを付けた。しかし、その時派手な音が聞こえた。


「何だ……今の……」


「ぶっ飛べ!」


 どでかい火炎玉とともに、成瀬の怒声が響き渡った。成瀬が放った火炎玉は、レーフェンを飲み込んで壁に激突し、爆発した。


「やっと見つけたわ、剣地!」


「ああ……見つけてくれてありがと」


 その後、成瀬の後を追ってきたヴァリエーレさんたちがやってきた。ふぅ、皆がきたからもう安心だな……。


「リリオさん、こっちへ」


 ティーアがこう言うと、リリオさんを後ろへ避難させた。そして、成瀬たちは武器をクナブさんに向けた。へ……何がどうなっている? 何で成瀬たちがクナブさんを攻撃しようとしている?




成瀬:ステージ裏


 私たちは武器をクナブに向け、攻撃の準備を始めた。


「おいちょっと待ってよ、何がどうなっているか教えてくれよ」


 そうだ、剣地には何も伝えていなかった。この事件の黒幕が、クナブだと言うことを。


「聞いて剣地、この事件の黒幕はクナブさんなのよ」


 私がこう言うと、クナブは目を丸くしてこう言った。


「何で……何でそんなことを言うの? 私は命を狙われている立場なのよ!」


「じゃあそこで倒れている人に聞いてみる? この人なら何でも知っているかもよー」


 と、ルハラが黒焦げになっている男を指さしてこう言った。多分、あいつは血染めの太陽の一員だろう。


 クナブは何も言わない。その状態のまま、時間が過ぎた。


「クナブ、本当にお前が仕組んだことなのか?」


 沈黙の空気を破ったのはムバさんだった。自分の娘であるクナブに近付き、もう一度大きな声でこう言った。


「返事をしろ! お前のせいなのか?」


「うるさいわね、クソ親父!」


 クナブの怒声の後、彼女の手の甲から紋章が現れた。それと同時に、クナブの体の周りに黒い衝撃波が発した。それが止んだ後、エッチな服装になったクナブが姿を現した。よく見ると、肌の色が紫に近い色になっている。あの紋章のせいで、何かに変わったのだろう。


「まさか……あの紋章はサキュバスの紋章!」


 ヴィルソルがその紋章を見て、驚いてこう言った。


「何それ?」


「サキュバスであることを示す紋章だ。しかし、奴はただの人間だ。サキュバスではないはず」


「禁断スキルだよ。あの中にサキュバスと同じ力を持つサキュバスパワーってスキルがあったはず!」


 ティーアが武器を構えてこう言った。一体いつの間に禁断スキルを手に入れたの?


「クナブ! 何でそんな力を手にした!」


「自分のために手に入れたのよ! もう一つ、ターゲットキスってキスした相手を弱らせるスキルもあったけど、それより強いこの力さえあれば、私の思う通りになるからね!」


「俺の体調がおかしかったのは、お前のせいだったのか」


 剣地の言葉を聞きながら、サキュバスへと変貌したクナブは、目の前にいたムバさんの首を掴んだ。


「何をするつもりだ?」


「力試し」


 その直後、クナブから強い魔力を感じた。いや、正確に言えば魔力に似た力を感じた。何なのあの力、魔力に似ている波動をしているけど、どこか違う。


「な……あっ! ぐわァァァァァァァァァァ!」


 魔力に似たオーラに包まれたムバさんは、悲鳴を上げ始めた。すると、ムバさんの体が徐々にしわだらけになり、最後には干からびてミイラのようになってしまった。


「無残な最期ね。ザマーミロ」


 クナブは干からびたムバさんの体を地面に叩きつけ、自分の足でムバさんの体を粉々にした。


「ケンジ! そこから離れて!」


「サキュバスは異性のありとあらゆる力を吸収してしまう! 吸われてしまったら死んでしまうぞ!」


「死んでしまう? 私はケンジ君にそんなことしないわよ。ターゲットキスは相手を弱らせる効果もあるけど、魅了させる効果もあったの。ケンジ君に魅了の力は効かなかったけど、これならどうかしらね?」


 クナブはそう言うと、傷だらけの剣地に近付いた。


「剣地から離れろ!」


 私は剣を持って襲い掛かろうとした。他の皆も一斉に襲い掛かろうとしたのだが、私たちは動くことができなかった。


「何なのよもう」


 足元を見ると、そこにはツタが生えていて、私たちの足に絡まっていた。


「そんな……いつの間に……」


「フフフ。見てなさい、あなたたちの愛する夫が私の物になる瞬間を」


 クナブはそう言うと、剣地の首筋を舐め始めた。その時、剣地の首筋に紫色のハートの紋章が浮かんだ。


「何だ……これ……」


「これであなたは私の物。フフフ。サキュバスの力には対象を自分の物にしてしまうこうかもあるの。その効果は、ターゲットキスよりも倍」


「何だって……ふざける……」


 剣地は動こうとした瞬間、ぴたっと止まってしまった。


「さぁ……私の愛するケンジ、一生離さないわよ……だけどその前に」


 クナブはリリオさんの方を睨み、左手を前に出した。


「あんたを始末しないとね!」


 まずい、クナブはリリオさんを始末する気だ! 足元のツタのせいで体は自由に動けない。もう! どうすればいいの?


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