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二刀流の剣士、レーフェン


剣地:ステージ裏側


 リリオさんとクナブさんは一体どこに隠れた? これだけ探し回っても、見つからない。優れない体調で走り回ったせいか、少しめまいがしてきた。


「ううっ」


 めまいがきつくなったため、俺はその場でしゃがんだ。こんな状態で敵と遭遇したくないなと思っていた。その時、俺は後ろから迫ってくる魔力を感じた。こんな時でもお構いなしかよこの野郎! 俺は心の中で愚痴を叫びながら、銃を構えた。


 しばらくすると、風を切るような音が聞こえた。魔力の気配がする。相手は風を使って俺に攻撃をしている。俺はバリアを張り、飛んでくる風の刃を防御した。もう終わったかと思い、バリアを解いた直後、猛スピードで二刀流の剣士が飛んできた。


「死ねぇ!」


 剣士は叫びながら俺に斬りかかったが、俺は盾を装備して相手の攻撃を防御した。


「おらっ!」


 防御をしたのは左手の剣。動く余裕がある右手の剣は、俺の胸に狙いを付けて突きの構えを撮っていた。


「甘いな!」


「お前もだ!」


 俺は奴の足に向かって剣を振り下ろし、傷を与えた。奴は痛そうな顔をして、後ろに下がった。


「いきなり人を襲うなんて、常識がないのかお前」


「敵に奇襲をかけて何が悪い」


 俺と奴がこう言った後、少し間が開いた。


「どけ坊主、俺は仕事中だ。ある人を殺さなければならない。死にたくなければどけ」


「悪いな。俺はその人を守る仕事をしている。ぶっ飛ばされたくなかったら帰ってミルクでも飲め」


「ふざけた言葉を言うなよ、坊主。これ以上変なことを言うと貴様の首を斬り落とす」


「やってみろよ、クソ野郎」


 この直後、相手は猛スピードで俺に接近し、俺に斬りかかろうとした。そんなことをするのは目に見えていた。俺は奴の行動を察していたので、次にどんな行動をすればいいのか考えをまとめていた。


「痺れろ!」


 俺は全身に電撃を発し、奴を痺れさせようとした。奴の剣先が俺に届こうとした瞬間、俺の周りの電撃は奴を襲った。


「ぐァァァァァァァァァァ!」


 おし、感電した……が、体調が悪いせいか、電撃の威力は弱かった。奴はすぐに立ち上がった。


「ふざけたことを……血染めの太陽のリーダーとしてのプライドを……汚しやがって」


「へー、あんたが血染めの太陽のリーダーか」


「そうだ……俺の名はレーフェン。あの世へ逝っても覚えておけ!」


 レーフェンは俺の両腕に狙いを定めて両手の剣を振り上げた。俺はこの行動を読めなかった。多少なりとも感電していて、まともに動けないと思っていたからだ。だが、奴は動いた。俺はその攻撃を喰らってしまった。


「ぐっ!」


 傷は深い。動かすだけで痛みが走る。


「どうだ。これで武器は使えないぜ」


「本当にそうか?」


 俺は電気を操って剣を取ろうとしたが、それに感づいたレーフェンが俺に連撃を仕掛けてきた。防御ができない俺は、その攻撃を受け続けてしまった。


「ガァァァァァ!」


 奴の攻撃を受けた俺は強く吹き飛ばされ、壁に激突してしまった。


「く……ちぃ……」


 体は何とか動ける。だけど、全身から流れる血が止まらない。あー、ちゃんとした魔力を使う治癒方法でも習っておけばよかったかなー。


「その傷じゃあ動けないだろ」


 奴は勝利を確信したのか、笑みを浮かべながら俺に近付いてきた。


「苦しみながらあの世へ逝け」


 何とか反抗しようとしたが、めまいが発生して体が動かなくなった。やべぇ。レーフェンの奴が近い。剣ももう振り上げている。このままじゃあ……死ぬ。そう思った時、俺の脳裏に成瀬の顔が浮かんだ。そして、ルハラとヴァリエーレさん、ティーアとヴィルソルの顔や皆と過ごした時間が俺の脳裏に浮かんだ。そうだよな。成瀬たちを置いて死ぬわけにはいかねーよな。


「悪いな。俺が死ぬと泣く人がたくさんいるから、まだ死ぬわけにはいかねーんだよ!」


 俺は気合を振り絞り、手の傷の痛みを我慢して剣を握り、大きく振り上げた。


「何だと!」


 この行動は奴にとって予想外のことだったようだ。俺の攻撃はレーフェンに命中。レーフェンは流れる血を抑えながら後ろに下がった。


「まだ……動ける体力が……あったのか」


「そうみたいだ」


 さっき斬った場所が急所だったようだ。えーっと、当たった場所は奴の左肩。奥深く斬ったせいか、奴が手で押さえていても血は流れている。


「チッ……」


「形勢逆転だな」


 俺は震える手で剣を構え、奴に剣先を向けた。




 リリオとクナブは避難のため、ステージから離れた物置部屋で隠れていた。


「まだ……音が響く」


 リリオはまだ剣地たちが戦っていることを確信した。だが、クナブはこう思っていた。いつになったらリリオを始末しにくるのよと。その後、クナブは暇つぶしに回りを見回すと、そこに小さなナイフを見つけた。それを見て、クナブはにやりと笑みを浮かべた。


そうだ。ここで私がリリオを殺そう。そして、血染めの太陽の連中に罪を擦り付けよーっと。


 下種なことを考えたクナブは、そのナイフを素早く取って後ろに隠し、リリオに近付いた。


「ねぇ、リリオ。こんな所にいたら危ないからさ、もっと奥の方に行こうよ」


「え……いいよ。私はここで大丈夫だから」


「そんな遠慮せずにさーさー」


 そう言いながら、クナブは無理矢理リリオを奥へ誘った。


「この辺に隠れていれば大丈夫。さ、入った」


 丁度人一人入れるくらいのマットの隙間を見つけ、そこにリリオを入れようとした。だが、リリオは遠慮した口調でこう言った。


「私はいいよ。私じゃあここに入れないし」


「やってみないと分からないわよ」


 クナブは遠慮するリリオの意見を無視し、無理矢理マットの隙間に入れようとした。その時だった。


「おーい! リリオさん!」


「クナブさん、どこですかー?」


「ケンジィィィィィ!」


 成瀬たちの声が聞こえたのだ。クナブは小さく舌打ちをし、リリオにこう言った。


「このままだと、ナルセさんたちの戦いに巻き込まれて大変なことになっちゃうよ。このまま隠れてよ」


「ううん。私はナルセさんたちと合流した方がいいと思う。何かがあっても、いつも守ってくれた」


 リリオはそう言って部屋に出ようとした。クナブは止めようとしたのだが、リリオはその言葉を聞かず外に出て行ってしまった。


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