成瀬の猛攻
成瀬:血染めの太陽アジト下部
私が攻撃を仕掛けてしばらく時間が経過した。氷に潰されたと思っていたのだが、微かに奴の魔力を感じる。奴はまだ戦えるようだ。
「ぐ……ぐうう……」
奴は痛々しい悲鳴を上げながら、氷をどかして姿を現した。見た感じ、結構ダメージを与えたようだ。
「こ……ここまでやるとは……」
「まだ続ける? 私、まだ本気出してないから」
私のこの言葉を聞いたヴォーデは、驚いた表情を見せた。
「嘘だろ……これでまだ序の口かよ……」
「お喋りはこれまでよ」
私はお喋りの間に作っておいた魔力の矢をヴォーデに向けて一斉に放った。いきなり攻撃を受けたせいか、ヴォーデは悲鳴を上げながら攻撃をかわしていたが、避けきれず攻撃に命中していた。
「不意打ちか!」
「自分の仲間を爆弾にする奴が不意打ちとか言う?」
呆れた。自分も不意打ちに近い行動をやったくせに、やられたら不意打ちを批判するように叫ぶ。この男はどこまで根性が腐っているのかしら。
「こうなったら……一か八かだ!」
奴は自分の周囲に落ちている落ち葉を拾い、私に向けて放った。一体何をするつもりだ?
「避けられるものなら避けてみな」
一体何をしたのか? とりあえず、私は近くの落ち葉を魔力の矢で打ち抜いた。すると、矢が命中したと同時に落ち葉は大爆発を起こした。
「必殺、木の葉爆弾。少しでも触ったらドカンだぜ。しかも、一部には国を爆滅させるほどの火力の落ち葉があるぜ」
へぇ。国を爆滅する火力の落ち葉か。すごい威力ね。
「さぁ、お前の最期だ!」
「避けはしないわよ。そんでもって、私は死なないわよ」
私は闇を発し、奴が放った落ち葉爆弾を消滅した。
「あなたが国を爆滅する爆弾を出すなら、私は国を一瞬で消滅させる闇を出すわ」
「そんな……闇の魔力だと」
「光も出せるわよ」
私は光の刃をヴォーデに向けて投げた。刃はかわされたが、奴の足を傷つけることができた。
「ガアァッ!」
足から血を流しながら、奴はその場に倒れた。
「さぁ、このまま決着をつけるわよ」
私は光と闇を合わせ、奴に攻撃の矛先を向けた。私の行動を見たヴォーデは、悲鳴を上げながら逃げようとした。
「止めてくれ……何でも言うから殺さないでくれ……」
「さーて、どうかしら」
私が奴に攻撃を仕掛けようとした時、後ろからヴァリエーレさんとティーアの声が聞こえた。
「おーい、ナルセー!」
「待ってティーア、まだ戦っているみたい」
二人は私がまだ戦っていることを察し、その場に止まった。だけど、もうそろそろ終わるけどね。
「大丈夫よ。もうそろそろ終わりそうだから」
「仲間か……じゃあ……ピスクの奴は……」
「やっつけたわよ」
「それより大変だよ、この騒動の黒幕がクナブだったよ」
「やっぱり」
私の予想通り、この事件の黒幕はクナブさんだった。シュージィーの奴の言葉を聞き、そうかもしれないと思っていたけど。
「じゃあさっさと始末するわね」
私の言葉を聞いたヴォーデは、悲鳴を上げて逃げようとした。だが、足の怪我のせいで足は動けなかった。
「止めて……止めてくれ……止めて!」
「さーて、ぶっ飛ばしますか」
私は奴に向けて、光と闇をぶつけた。その攻撃を受けたヴォーデは、そのまま遠くへ吹き飛んだ。
しばらくし、私はぶっ飛ばしたヴォーデの所へ向かった。ヴォーデは丸焦げになっていたが、何とか息をしていた。
「あらら……ちょっとやりすぎた」
「ちょっとってレベルじゃないような……まぁいいか」
後ろにいたヴァリエーレさんが、小さく笑ってこう言った。その後、私たちは集合してこの後のことを話しあった。
「急いで戻りましょう!」
「だね、残りの奴らがライブの方へ向かっているし、クナブさんがケンジたちに何かするかもしれないよ!」
「だけど……車で移動していたら時間がかかるわよ」
「だったら、飛んで行きましょう!」
私がこう言うと、二人は私の顔を見てこう言った。
「大丈夫なの?」
「私も手伝うよ。それなら負担も減るよ」
「お願い。じゃあ乗って!」
私はスカイウイングを発動し、空を飛んで移動し始めた。急いで剣地たちの元へ戻らないと、何かが起きてからじゃあ遅い!
クナブは大きなあくびをしながら廊下を歩いていた。その時、彼女の持つスマホが鳴り始めた。スマホを見ると、電話の相手はレーフェンになっていた。クナブはため息を吐きながら、屋上へ移動した。
「出るのが遅いぞ」
「うるさいわね、それが依頼人に対する態度? 報酬金減らすわよ」
「すまない。遅くなったのは、人目に付かない場所に移動していたのか」
「そうよ。で、何の用? アジトに向かった奴らはぶっ倒したの?」
「その話ではない。今後のことについてだ。俺たちは明日のヒレラピライブの会場に忍び込む予定だ。その時にリリオをやる」
「へー。仕事が早いじゃない」
「確実に成功するためだ」
「仕事熱心ねぇ。私と違うわ」
「お褒めの言葉か。まぁいい。だが、うまくいくと思わないでくれ。アジトに残した二人の幹部から連絡が途絶えている」
この言葉を聞き、クナブの表情が険しくなった。
「負けたの? あんたの部下」
「可能性はある。だが、いい足止めにはなったと思う。では、失礼する」
レーフェンはそう言うと、スマホの電話を切った。成瀬たちがアジトでの戦いに勝利したことを知り、クナブは舌打ちをした。
「チッ、本当に使えるのかしら、あの裏ギルドの連中は? 信じられなくなってきた」
クナブは呟くと、スマホをいじってあるサイトを見た。それを見たクナブはにやりと笑い、屋上から出て行った。その途中、クナブはスマホで連絡を取っていた。その時、クナブはレッスンのコーチと出会った。
「ちょっとクナブ! あなた、レッスンをさぼる気? ライブは明日なのよ!」
「私はぶっつけ本番に強いんで! だから大丈夫!」
そう言って、クナブはビルの外へ向かった。
クナブはサングラスをかけ、ビルから少し離れた所で立っていた。しばらくし、彼女の元に一台の白い車が近付いてきた。
「あんたがあのサイトの管理人?」
「そうです」
白い車に乗っていた男がにやりと笑い、クナブに返事をした。
「ではお乗りください、禁断スキルを取得するための場所へ向かいます。その前に、お金の方を」
「分かったわ」
クナブは財布から札束を取り出し、運転手の男に渡した。
「毎度」
男はにやりと笑った後、車を動かした。
この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!