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深夜の襲撃者


 成瀬たちがホテルにチェックインする数時間前。デュークスーパースタービルの屋上、何者かが人目が付かないところで会話をしていた。


「あのパーティーの三人があんたらを倒しに向かったわ。ここからあんたらの所までは一日かかると思うわ。だけど、今日であんたらの所にこられないと思うわ。どこかで一晩過ごすと思うから、奴らが泊まると思うホテルを徹底的に調べてやっつけなさい」


 謎の人物はこう言うと、携帯の電話を切った。そして、ポケットから煙草を取り出して火を付けた。煙を吐きながら、謎の人物は小さく呟いた。


「見てなさいよ……私はあいつのお飾りじゃないわ……」




成瀬:峠道のホテル


「えーっと……女性三人で一泊ですね……」


 不安そうな目で店員さんがこっちを見ている。女性だけでこんな所のホテルに泊まるのが不安なのだろうか?


「はい一泊です。何があっても大丈夫なのでご安心を」


 念を押すようにヴァリエーレさんが店員にこう言った。周りの男性陣も、変な目で私たちを見つめている。やっぱり、ここに女性だけでホテルの泊まるのが珍しいのかな? もしかして、野蛮なモンスターが出るとか。


「では、11号室をお使いください」


「分かりました」


 ティーアがカギを受け取り、私たちは急いで11号室へ向かった。


 部屋へ着き、私はベッドの上に横になって暴れ始めた。


「こんな所にホテルがあったなんてねー」


「意外だったわね。まぁ、旅人用のホテルとしてあったかもしれないし」


 ヴァリエーレさんは髪を直しながら、その場に座り込んだ。ティーアは周りを見回し、小さくこう言った。


「ケンジときたかったなー」


「仕方ないでしょ。剣地はマスカレードファイトでかなり戦ったし、まだ疲れが残っていると思うわ」


 私の言葉を聞いて、ティーアは納得した。


「そうか、だから今回はナルセが前に立って戦っているのね」


「そうだ。この依頼を受けてからケンジってあまり戦ってないわ」


「それは……まぁ、あいつはマスカレードファイトでたくさん戦ったし、まだブレアと戦った時の傷が完全に治ってないかなって思って……」


 私は話していると、にやにやしながら見ている二人の顔を見て真っ赤になった。


「赤くならなくていいわよ」


「皆ケンジを愛しているって分かっているから」


「それでも……やっぱり恥ずかしい!」


 その後、私は急いでシャワー室へ向かって閉じこもった。


 数分後、シャワーを浴びてさっぱりした私は二人と話を始めた。


「さて、この事件のことを振り返りましょう」


 最初に、ヴァリエーレさんが話を切り出した。


「私たちは最初から、ヒレラピが命を狙われていると思っていた」


「確かに最初から二人を狙ったかのように奴らが攻撃を仕掛けてきたからね」


「だけど、この前のイベントの時、私と戦ったシュージィーという奴がリリオを殺すと言っていた」


「休みの時も、クナブさんの方は無事で、リリオさんの方で事件があった」


「これで、奴らの狙いは確定したね」


 ティーアはにやりと笑ってこう言った。そう。この事件はヒレラピの二人を狙ったわけではない。リリオさんを狙って事件が多発しているのだ。


「だけど……リリオさんが狙われる理由が分からない……」


 ヴァリエーレさんの言うとおり、リリオさんが何で奴らに狙われているのかが分からない。過去を調べてみたが、リリオさんには特に事件を起こしたとか、問題を起こしたとかそういう物は一切なかった。逆にクナブさんはいろいろとあったけど。


「誰かが嫉妬してリリオさんを狙っているとか」


「嫉妬心か……」


 ティーアの言葉を聞き、私もそうかもしれないと思った。リリオさんはスタイルもダンスも歌唱力も並大抵のアイドルより上だ。もしかしたら、転生する前に日本で見ていたアイドルよりも売れているだろう。


「でも、彼女を嫉妬する人なんてあのビルにはいないよね。契約しているアイドルに話をしたことがあるけど、皆リリオさんのことを尊敬していたよ」


「うーん……後輩がこんな事件を起こすわけがないか……」


「もしかしたら、相方の……」


 ヴァリエーレさんの言葉を聞き、私とティーアははっと思いついた。もしかしたら、犯人はかなり身近な人物の可能性もあるのだ。ただ、怪しいとはいえ、証拠が何一つない。彼女が犯人だとするならば、何か証拠がなければダメだろう。


「まぁ、とにかく今は休もうよ。明日は奴らのアジトで暴れるからさ」


「ええ。そろそろいい時間だし」


「それじゃあ寝ましょうか」


 話を終え、私たちはベッドへ向かって眠り始めた。




ティーア:深夜のホテル


 深夜、私は何かの気配を察して目が覚めた。耳を澄ますと、虫の声や隣の部屋で騒ぐ声が聞こえていた。こんな夜中にゲームして遊ぶなよ。だが、その中に交じって怪しい魔力の気配が動いていた。


「ティーア」


「気が付いている?」


 ナルセとヴァリエーレもこの気配に察したようだ。


「うん。誰かがきたね」


「ただのお客……だといいけど」


「少し様子を見ましょう」


 その後、私たちは横になったまま、気配の動向を探った。数分後、下から店員の悲鳴が聞こえた。それと同時に、発砲音も響いた。


「やばい奴らがきたね」


「ティーア、準備はできている?」


 ナルセは戦う気満々だ。だが、気配は私たちがいる部屋に近付いてきている。


「少し待とう。もしかしたら、奴らの狙いは私たちかもしれない」


「もしかして、血染めの太陽かしら」


「可能性はあるね。デュークスーパースターにいる黒幕が、私たちがアジトを潰しに向かったって連絡を入れたと思うよ」


 私がこう言うと、奴らの気配が扉の向こうから感じた。


「殺気を感じ」


 この直後、扉から弾丸が放たれた。私とナルセはバリアを張り、弾丸を防御した。


「こんなことをするのは誰?」


 ヴァリエーレがレイピアを構え、電撃を放った。放たれた電撃は穴が開いたドアを通り、廊下にいるだろう敵に命中した。


「グァァァァァァァァァァ!」


「ギャァァァァァァァァァァ!」


「命中!」


「私が前に行く、二人は魔力を出せるように構えをとっていて!」


 私は武器を持ち、扉を開けた。そこには感電している銃を持った男が二人倒れていた。


「ぐ……ちっくしょぉ……」


「あががが……がらだが……じびれりゅぅ……」


「二人は倒したわね……」


「けど待って、まだ気配がする!」


 ナルセが大声でこう言った。その直後、私に向かって風が襲ってきた。私はそれをかわし、ナルセとヴァリエーレの元へ戻った。


「あーらら、俺の攻撃がかわされるなんて、思ってもいなかったな」


「あんた……血染めの太陽ね」


 私がこう言うと、ヨーヨーを持った男は、舌を出してこう言った。


「ケヘヘヘへへ! 教えるわけねーだろバーカ!」


「そう……だったら、無理矢理でもその口を割らせてもらうわ」


 ナルセがこう言うと、武器を構えた。私たちもナルセの後で、武器を構えた。


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