表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/594

シュージィーのリベンジ!


成瀬:イベント会場裏側、二階


 以前やっつけた肥満体……シュージィーって言っていたな。まさかもう一回戦うことになるとは思ってもいなかった。あの時に私との力の差を感じていなかったのだろうか? とにかく、今は戦いに集中しよう。


「今回は必ずリリオを殺す! 失敗したら、俺が始末されるからな!」


「あなたのことなんてどうでもいいわよ。もう一回ぶっ飛ばしてあげるわよ」


「もう一回ぶっ飛ばすか……それは無理だな!」


 その直後、奴の体が急に光出した。あまりにもまぶしい光を目にし、私たちは目をふさいでしまった。もしかして、その隙にヒレラピの二人を殺すつもりなのだろうか?


「剣地、しっかり二人を守って!」


「大丈夫! 俺が二人の前に立っている!」


 二人の方は剣地がいる限り、無事だろう。剣地のことだ、きっと前に盾を出しているだろう。しかし、シュージィーは攻撃を仕掛けてこなかった。一体何をしている? 私はそう思いながら、目を開けて奴の姿を見た。そして、さっきと大違いの奴の姿を見て驚いた。少し前までは百キロを超えていそうな体だったのに、今の奴の姿はかなり痩せている。


「スキル、スピーディーダイエット。魔力を使って現在の体系と真逆の体系にすることができる。さぁ、本気を出させてもらうよ!」


 奴はそう言うと、猛スピードで私に接近してきた。あまりの速さに油断した私は、奴の隠しナイフによる一撃を腕に喰らってしまった。


「くぅっ!」


「どうだ、驚いたか!」


 どうやら、奴が本気なのは本当らしい。確実に私を倒すつもりだ。しかし、奴は私の方を無視してヒレラピの二人に目がけて移動している。


「死んでもらうよ!」


「俺のことを忘れるなよ、元デブ野郎!」


 剣地が銃を取り出し、奴に向けて銃を放った。が、奴は剣地が放った銃弾をかわしつつ、背後に回り込んだ。


「チッ!」


 後ろに回れたことを察した剣地は、両手にナイフを装備して振り返りながら奴に斬りかかった。


「おっと、いい反応だね」


「元デブに褒められてもうれしくねーな」


「そりゃ、どーも」


 その後、二人は猛スピードでナイフでの攻撃を始めた。周囲には金属音が当たる音が響いていた。リリオさんは敵が近くにいることに驚いているのか、少しひきつった顔でその場にしゃがんでいた。だが、クナブさんは猛スピードで後ろに隠れていた。


「リリオさん! 待っててください」


 私が近付こうとすると、奴は剣地を蹴り飛ばし、私に接近した。


「行かせないよ」


 こう言うと、奴は肥満体に戻り、強烈な一撃を私に喰らわせようとした。


「この一撃で死ぬがよい!」


 奴の太い腕が私に向かって降り下ろされてきた。何とか魔力で防御したが、奴の攻撃力が以前より増しているせいか、魔力から伝わる振動が強い。


「一撃目は持ちこたえたか。だが……二撃目はどうかな?」


 続けて奴の攻撃が私を襲った。この攻撃で、魔力の防御壁が壊れてしまった。


「さぁ、今度こそお前を始末して……」


「残念でした」


 奴の攻撃で防御壁が壊れるのは計算に入れている。私を攻撃できるという奴の油断を誘い、接近戦に挑もうとしていた。


「グガッ!」


 私の隠し持っていた剣が、太った奴の腹に命中した。痩せている時には攻撃が当たらなかっただろうが、元の体系に戻った今ならこの攻撃が当たる。


「クソ……スピーディーダイエット!」


 奴はもう一度痩せ、猛スピードで私から下がった。だが、この体系になってもダメージは残っているようだ。奴の腹から血が流れているのが見える。


「仕方ない……俺の美学に反するが、これしか方法はない……」


 あんたの美学なんて知らないわよ。それより……あいつは何をするつもりなの? 私がそう思っていると、奴は隠し持っていたナイフを剣地に向けて投げた。


「そんなの効かねーって」


 剣地は飛んできたナイフを盾で防御したが、その瞬間に激しい電撃が発した。


「がァァァァァァァァァァ!」


「剣地!」


 心配する私を見て、シュージィーの奴は笑い出した。


「そのナイフは俺の魔力が込めた一級品だ! その坊主が感電死する様子を見たくなければ、リリオを差し出せ!」


「剣地を人質にするつもり?」


「そうだ! 人質をとるのはあまりしたくないが……今度ばかりは俺の命がかかっているからねぇ」


「そんなこと知らないわよ」


 あー……何だか……奴の話を聞いていたら腹が立ってきた。たくさんの人の命を奪った奴の命? そんなのそこらへんで落ちているポイ捨てされたごみと一緒よ。あれと同等よ!


「人の命をたくさん奪った下種デブ野郎が……テメーの命のことなんて知らないわよ……」


 怒りが原因なのだろう、私の中の魔力が物凄く激しく動くのを感じている。奴もそのことに気付いているだろう、かなり怯えだした。


「さ……さっきと雰囲気と口調が違う……」


「へ……バーカ、成瀬を怒らせたら……どうなるか……その身で思い知れ!」


 奴の電撃が弱くなったのだろう、剣地がにやりと笑ってこう言った。


「成瀬、思いっきりやっちまえ」


「ええ。そのつもりよ」


 私は火と水と風と雷と光と闇が混じったかなりでかい球体を発した。そして、それをできるだけ凝縮させ、奴の方へ向けた。


「一回……地獄を見なさい」


 私は凝縮した球体を奴に向けて放った。まだ痩せ型のシュージィーは悲鳴を上げながら猛スピードで逃げ出したが、逃げている途中で元の体系に戻ってしまった。


「クソ!」


 元の体系に戻ったせいで、奴のスピードが下がった。そんな時、私が放った球体が奴に触れた。


「あ……」


 その直後、球体が破裂した。破裂した中から凝縮された各属性の魔力が奴の周りを暴れ回り、奴にダメージを与え始めた。ヒレラピの二人に被害が及ばないよう、事前にコントロールをしている。そのおかげで、集中して奴を叩くことができる。


 花火のスターマインのような轟音の中、奴の悲鳴が轟いていた。しばらくし、攻撃が止んだ後、黒焦げになった奴の姿が見えた。その姿を見て、私は笑いながらこう呟いた。


「プッ、豚の丸焼きみたい」




剣地:イベント会場裏側、二階


 奴が倒れたせいか、俺を縛っていた電撃が解除された。


「あー、やっと解放された」


「ケンジ君!」


 後ろで見ていたクナブさんが、俺に突進するかのように抱き着いてきた。


「アダーッ!」


 電撃が体全体に流れたせいか、ダメージを負ったようだ。服の中から見てみると、体の一部分が電撃で焼けていた。


「成瀬……回復頼めるか? 火傷負ったみたい」


「うん。ていうか、大丈夫なの?」


「ああ。ブレアの攻撃の方がきつかった」


 話をしながら治療を受けていた時だった。突如、別の魔力を察した。俺を治療していた成瀬も、治療を止めて魔力を放つ構えをとった。


「援護いるか?」


 銃を構えた俺がこう言ったが、成瀬は大丈夫と返事をした。しばらくし、一人の男が部屋に入った。


「おーおー、盛んですねぇ」


「あなた……何者よ?」


 成瀬が男にこう聞いたが、男は小さく笑ってこう言った。


「答える義務はないね」


 その後、男は倒れているシュージィーという奴に向け、小さな魔力を放った。魔力を受けたシュージィーは目を覚まし、男に向けて叫び始めた。


「何をしたヴォーデ?」


「あんたを爆弾にしたのさ。シュージィー、同じ相手に二度負けた後、どうなるか分かっているよな?」


「あれは油断していただけだ! 今度は確実に殺す! まだ戦いは終わってない!」


「悪いね。俺も他の幹部もレーフェンさんも、二度負けた奴の言うことは信用できない性格でね」


 その後、ヴォーデという男はバイビーと言った後、ここから去って行った。というか……あいつを爆弾にした……オイオイオイオイオイオイ! なんかやばい状況になってねーか?


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ