表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/594

悪夢のような惨事


成瀬:着ぐるみキャラオンパレードイベント会場


 バスは無事にイベント会場へ着くことができた。私はこの前のような大惨事が発生しなくてホッとしていた。空を飛んで警備していた剣地とヴィルソルが地面に降り、私たちは急いでルハラたちと合流しに関係者用の部屋へ向かった。


「皆、無事でよかったわ」


 ヴァリエーレさんが私たちを見てこう言った。


「じゃが、まだ奴らの襲撃がないとは限らない。まだ警戒心を解くなよ」


 ヴィルソルはこう言うと、軽くストレッチを始めた。ヴィルソルの言葉を聞いたヴァリエーレさんは、ヴィルソルに軽く返事をした。


 その後、私たちはイベント会場の周辺の警護を始めた。観客席にはたくさんの親子連れが座っていた。きっと着ぐるみたちを見にきたのだろう。そう思っていると、剣地が話しかけてきた。


「なー、客の身元は全員調べたのか?」


「ええ。会場へ入る前にスタッフが念入りに検査をしていたわ」


 会場へ入る前には、スタッフによる身元の検査を行わなければならない。大人は身元を証明する物を絶対に見せないと、会場へ入れない。さらに、武器や危険物、インフィニティポーチなどのスキルでしまっている道具も見せなければならない。これほど厳重な検査は見たことがない。これさえやっておけば、さすがの連中もこの会場へは入れないと思う。


 しばらく会場を回っていると、耳元に愉快な音楽が流れてきた。きっと、イベントが始まったのだろう。このまま無事にこのイベントが終わればいいけど。




 会場裏の控室。ここでは着ぐるみの中の人が準備を行っていた。


「急げ、早くしないと出番がくるぞ」


「うわ、これチャック閉めづらいな……どうしてこんな風にしたのかな?」


「こんなクソ熱い中、着ぐるみなんて着てられるか!」


「じゃあどうしてこんな仕事を選んだ」


「給料がいいからだよ」


 中の人たちはこんな会話をしていた。そんな時、突如裏にいるスタッフの悲鳴が聞こえた。


「どうかしましたか?」


 中の人たちの一人が、扉を開けてこう聞いた。その時、彼の腹部に刃が刺さった。


「え……」


「お邪魔します。突然ですが、全員死ね」


 その後、外にいた武装した連中が一斉に中の人たちを襲い始めた。


「おい! 着ぐるみを汚すなよ」


「分かっていますって!」


「殺したらロッカーの中にぶち込んでおけ」


 連中が殴りこんで数分後、あっという間に中の人たちは全員死んでしまった。


「よし、準備はいいな?」


 連中のリーダー格が、体中に武器を仕込んで着ぐるみを装備した。その部下たちも、同じように武器を仕込んで着ぐるみを着た。すると、別のスタッフが慌てて部屋に入ってきた。


「今何か大きな音が……」


 その時、近くにいた男がスタッフの首を掴み、へし折ってしまった。


「こいつはどうします?」


「部屋に置いておけ」


「さぁ、行くぞ」


 着ぐるみに変装した連中は、急いでステージへ向かった。途中、警備をしていたティーアとヴィルソルに遭遇した。


「あれ? もう着ぐるみの出番?」


「イベントが始まっているし、もう動いていても怪しくはないだろう」


 二人は彼らを不審者とは思っていない。会話を聞いて、そう確信したリーダーは中でにやりと笑っていた。続いてルハラとヴァリエーレ、剣地と成瀬にも遭遇したが、彼らを不審者とは思ってもいなかった。


 しばらく走っていると、彼らはステージの裏に到着した。


「あれ? 皆様の出番はまだですが……」


 異変を察したスタッフが、彼らに近付いてこう言った。だが、リーダーはスタッフの言葉を無視し、ヒレラピの二人を探し始めた。


「あの、何か言ってください。急な用ができたのですか?」


「うるさい」


 リーダーはスタッフを押し倒し、ステージ裏を探し始めた。彼らの様子がおかしいと察したスタッフは、急いで廊下にいる剣地たちの所へ向かった。だが、後ろにいた部下によって動きを止められ、ナイフで首元を斬られてしまった。


「死体を増やすな」


「すみません、口を封じるにはこれしかなかったと思いまして」


「仕方ないな」


 短い会話の後、彼らは再び行動を始めた。しかし、いくら探してもヒレラピの二人は見つからなかった。


「どうします?」


「こうなったら仕方ない、緊急用の作戦に切り替える。外にいる連中に突入しろと合図しろ」


「へへっ。やっぱりこうでなくちゃ!」


 会話後、部下の一人がトランシーバーで外にいる仲間に連絡をした。


「こちら侵入班。ヒレラピの二人が見つからない。確実に始末するため、この会場にいる全員を始末することにした。今からこの会場へ突入し、暴れろ!」


「了解! 腕が鳴るぜ!」


 その後、外で待機していた連中の仲間は、武器を持って会場へ突入した。


「何だ、お前たちは?」


「武器を捨てろ!」


 警備員にこう止められたが、彼らは言葉に従わず、銃を乱射し始めた。


「ヒャッハー! 血祭りに上げろ!」


「目に入った奴は何でもいいからハチの巣にしてやれ!」


 銃弾の雨を浴び、血まみれになった警備員を踏みつけながら、連中の仲間は会場内へ入って行った。




剣地:会場廊下


 様子がおかしい。外で銃声が聞こえた。


「成瀬、外に行くぞ!」


「だけどその前に、ヒレラピの二人とお客さんを保護しないと!」


「そうだな」


 俺と成瀬は急いでステージ裏に入った。イベントはすでに大混乱で、着ぐるみの人たちや司会者の姉ちゃんはもちろんのこと、大人や子供たちの悲鳴が聞こえていた。その時、俺の足に何かがぶつかった。それを見てみると、スタッフの死体だった。


「マジかよ」


 その直後、近くで爆発音が聞こえた。


「もうこの中に侵入していたの?」


「考えるのは後だ、連中を倒さないと!」


 俺は爆発音がした方へ向かい、そこで暴れていた着ぐるみの連中に蹴りを喰らわせた。


「敵だ! 敵がいるぞ!」


「関係ない、ついでにぶっ殺せ!」


 クソッ! 奴らは俺に向かって集中的に銃で攻撃してくる! だが、一部の奴は観客に向けて銃を乱射していやがる! 子供も巻き添えにする気か、こいつらは!


「剣地、こいつらは私に任せて。ブチ切れそう」


「ああ。お前の怒りをあいつらにぶつけてやれ! 今回ばかりは、俺もブチ切れそうだ!」


 俺は何とか奴らから離れ、観客たちを狙っている連中に攻撃を仕掛けた。俺が放った雷が奴らに命中していき、奴らは痺れながらその場に倒れていた。


「ハッ! たかが小僧一匹、すぐに血祭りにしてくれるわ!」


「小僧だけじゃないよー、エルフもいますよー」


 ルハラの声が聞こえた。その直後、奴らは宙へ舞い上がって行った。ルハラが回転蹴りで奴らを蹴り飛ばしたからだ。それに、ヴァリエーレさんも加わり、奴らに攻撃を仕掛けて行った。


「まさか、着ぐるみを奪って中に入っていたなんて……考えてもいなかったわ」


「考えられないですよ。もう!」


 俺は近くにいた敵を斬り倒し、周囲を見回した。その直後、会場の扉が開き、そこから銃を持った連中が観客を撃ち始めた。外にも仲間がいたのか!


「やばい! このままじゃあ被害が広がる!」


「観客の保護は私たちに任せて!」


「我たちで止める!」


 上空を飛んでいたティーアとヴィルソルが、俺たちにこう言った。あの二人が食い止めてくれるなら心強い! その時、成瀬が俺に近付いた。


「こっちは終わったわ」


「ケンジ、ナルセ。この着ぐるみ軍団は私とルハラで相手にするわ」


「二人はヒレラピを探して守って!」


「了解!」


「死なないでね、二人とも!」


 その後、俺と成瀬は急いでヒレラピの二人を探し始めた。ステージ裏のどこかにいると思う。無事でいてくれ。


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ