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アイドルの休日


剣地:車の中


 二人のレッスンが終わり、二人をマンションに送ることができた。あの後は大変だった。何度もクナブさんが俺に近付いてはなんだかんだ言って話してくる。いつ空いていますかとか、今度食事行きませんかとか、いいホテルを知っているとか。俺としては、これ以上嫁は増やしたくない。これ以上増えたら大変だ。


「ケンジ、今日は疲れたのう……」


 横に座っているヴィルソルが、眠たそうにあくびをしてこう言った。


「眠いのか?」


「うん。ケンジも眠たそうにしているのう……」


「そりゃ、あの人の相手をずっとしていたからな……もう頭がボーっとしてきたよ……」


 俺とヴィルソルの話を聞いていたのか、運転席のトリュスさんが俺たちにこう言った。


「ビルに着くまで寝ていていいですよ。到着した時に起こしますので」


「分かりました……ではおやすみなさい」


 俺の返事の直後、俺とヴィルソルは目をつぶって眠り始めた。あまりにも疲れているせいか、すぐに寝てしまった。


 あれから数時間が経過したのだろう、うっすらとトリュスさんの声が聞こえてきた。


「起きてください……ビルに到着しました……起きてください」


「んにゃ……ふあぁぁ……」


 俺とヴィルソルは同時に目を覚まし、窓から周囲を見回した。どうやら、ビルの中にある駐車場にいるようだ。その後、俺とヴィルソルは車から降り、何成瀬たちがいる宿泊部屋へ着くことができた。


「あ。剣地、ヴィルソル。おかえりー」


「ただいま……」


「そんでもってお休み……」


 まだ疲れが残っている俺たちは、部屋に到着したと同時に倒れてしまった。もう動く力さえ残っていない。


「ちょっと、二人とも大丈夫?」


 心配したヴァリエーレさんがこう言った。俺は何とか口を動かし、返事をしようとした。


「護衛に……疲れて……ただただ……眠い……」


「何もなかったが……何もないせいで……疲れ……た……」


 その後、俺とヴィルソルはその場で寝てしまった。


 翌朝、目を覚ますと俺とヴィルソルはソファの上で横になっていた。部屋に到着したと同時に寝てしまったことを思い出しながら、俺はあくびをしていた。そんな中、布団の中で何かが当たった。布団をめくると、そこには全裸のルハラが眠っていた。


「あ……おっは……」


「おはようルハラ。スッポンポンで何していた?」


「ご想像にお任せします」


 ルハラはすぐに立ち上がり、着替えて成瀬たちが寝ている部屋へ向かって行った。その直後、成瀬たちの悲鳴が聞こえた。あいつ、どんな時でも発情するよな。その声を聞いてヴィルソルが目を覚ました。


「ふぁーあ、朝から騒がしいのう」


「ルハラが朝から発情中」


「あいつらしいと言えば、あいつらしいが」


 その後、俺とヴィルソルは二人でシャワーを浴びた後、皆と一緒にトリュスさんの元へ向かった。


「トリュスさん、今日の二人の予定は」


 ティーアがこう聞くと、トリュスさんは手帳を見ながら答えた。


「えーっと……今日は二人とも休みだよ。でも、こんな時だからどこにいるか連絡するようには伝えてあります」


 トリュスさんは、俺たちにスマホに似た端末を渡した。端末を起動すると、そこには地図と白い丸が現れた。丸の数は二つある。一体何だ?


「この丸は二人がいる現在地です」


「これを辿って見つければいいのね」


「はい。たとえ休みの間でも、連中は襲ってくるかもしれないので」


 念を押すように、トリュスさんが話した。会話を終えた後、俺たちは二班に分かれて二人を一日護衛することにした。チーム分けは俺とティーアとヴィルソル、成瀬とヴァリエーレさんとルハラ。


「じゃ、何かあったらすぐに連絡してね」


「ああ。そっちも気を付けろよ」


 俺は成瀬たちと別れ、護衛の仕事へ向かって行った。




ティーア:ビルから近くのオフィス街


 私は移動中、昨日得た情報のことを二人に話していた。


「うーむ。やっぱりあの人は裏であんなことをしていたのか。抱き着かれた時やけに胸が硬かったし」


 仕事中に何かがあったのだろう、ケンジが思い出しながらこう言っていた。


「じゃが、リリオは努力家の人間じゃのう。真面目にトレーニングをしているから」


「だねー」


 そんな話をしていると、私たちはとあるトレーニングジムの前に到着した。ここに誰かがいるのだ。


「ここにいるのは……リリオさんかも」


 ケンジが考えながらこう言った。確かに彼女なら体づくりのためにここにいるかもしれない。私たちはトレーニングジムの人に理由を話し、中に入れてもらった。すると、丁度廊下を歩いているリリオさんを見つけた。


「リリオさん」


「あ……どうも」


 私たちに気付いたのか、リリオさんは軽く会釈をした。


「何か用でも」


「休日の時でも、血染めの太陽に狙われる可能性があるので、護衛しにきました」


「そう。私たちのために……体を張ってくれてありがとうございます」


「いやいや、これが仕事なので」


「気にしないでくれ」


 と、ケンジとヴィルソルは笑いながらこう返事した。会話をした後、私たちはリリオさんは一緒に行動することにした。


「じゃあ、私はここでトレーニングをしていますので」


 リリオさんはランニングマシンに乗り、走り出した。それからリリオさんは呼吸を乱すこともなく、一時間も走り続けた。この光景を見ていた私は、あまりのすごさに驚いていた。


「すごい……一時間も走っている……」


「これでもまだ半分」


「まだ走るのか……」


 私は驚いて、目を丸くしていた。そんな中、ヴィルソルは窓を覗いていた。何かくるの?


「ケンジ、トレーニングジムにいる人に急いでこう伝えろ、できるだけ遠くへ離れろと!」


「ああ。分かった!」


 私は急いで窓を覗いた。そこには、この前と同じような飛行物体がこちらへ向かって飛んできているのが見えた。血染めの太陽だな!


 数分後、ジム内は私たちを除いて誰もいなくなった。


「さーて、始めますか?」


 ケンジが剣を出そうとした直後、魔王がその手を止めた。


「奴の相手は我がする。少し運動したくなってきたところだ」


 魔王は笑いながら、鎌を装備した。


「ここは我が防ぐから、ケンジたちはリリオさんたちを守ってくれ!」


「ああ。ヴィルソル、無茶するなよ」


「魔王……あー、こう言うのもあれだけど、死なないでね!」


「フッ、魔王が死んでたまるか」


 魔王は笑ってこう返事をすると、武器を持って外へと向かって行った。


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