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狙われる理由


ヴァリエーレ:デュークスーパースタービルの宿泊部屋


 翌日、ヒレラピの二人は今日の先延ばしになった仕事へ向かっている。ケンジとヴィルソルが護衛で行っているから大丈夫だろう。


「あー、私も行きたかったー」


「私たちは昨日戦ったから、今日は休みましょう」


 部屋の隅で横になっていたティーアがこう言った。それを慰めるかのように、ナルセがティーアの頭を撫でていた。そんな中、ルハラは立ち上がって私たちにこう言った。


「ねー、何であの二人狙われているのかな?」


「そうね……」


 確かにそうだ。大物の政治家や国王などの重要人物ならまだしも、何でアイドルを狙うのだろう? 昨日のヴィルソルとルハラの拷問でも口を割らなかったし……多分これ以上拷問をしても、昨日ナルセが倒した剣士はきっと何も言わないだろう。


 その後、私たちはスタッフの皆に話を聞きまわった。あの二人が過去に何か行ったか。多分、その中に証拠があるだろうと私は睨んでいるのだ。


 数時間後、私たちは手にした情報をまとめるために宿泊部屋へ戻った。


「えーっと、まずクナブさんは何度かSNSで大炎上をしたことがある」


「言動のせいで彼女のアンチが多いみたいだね。一部では彼女を引退させろという声が上がっているみたいだよ」


「きつい性格だから敵が多いかもね」


 ルハラとナルセがこう言った後、ティーアは何か思い出したかのように話を付け加えた。


「逆にリリオさんはSNSとかはやってないって」


「携帯にもそんなアプリは入れてないっていうし。興味ないのかもね」


「じゃあ、次に行きましょう」


「えーっと……次はテレビ番組での言動」


「テレビの方はクナブさんの方が目立っているのよね」


 ナルセは後ろにあった資料を私たちの前に見せた。これは過去にヒレラピの二人がテレビ番組での言動をまとめたものだ。


「こうやって見ると、主にクナブさんがたくさん喋っているわね」


「リリオさんは挨拶ぐらいしか言ってないよ」


「うわ、この言葉って放送禁止用語だよね……」


 ナルセが引きながらとある文面を指さした。このセリフはクナブさんが言ったものだ。あまりにもとんでもない文章だから、口に出したくない。それを見たティーアは、大きなため息を吐いた。


「それだけじゃないよ。ここもそう。あれも、これも。こんなことも口にしているよ」


「編集でカットされているみたいね」


「この世界のテレビ局も、似たようなことをするのね……」


 ナルセが何かを思いながらこう言った。だけど、放送禁止用語を連発したからって命を狙われる理由になるのかしら?


「他に何か言ったってセリフはない? 放送禁止用語以外で」


「えーっと……クナブさんの親についてのセリフがあるね」


 ティーアは少し間を開けて、クナブさんの親についてのことを話し始めた。


「クナブさんの母親は幼いころに事故で死亡。飲酒運転らしいよ。で、父親は有名な政治家。今も活躍中」


「クナブさんの父親……まさか!」


 私はある男のことをもいだした。急いで携帯電話を取り出し、ある男を調べ始めた。


「どうかしましたか? ヴァリエーレさん」


「この人、クナブさんの父親」


 私はとある男のプロフィールを皆に見せた。その男の名前はムバ。少し前に選挙に勝利し、政治家として活躍している。皆に説明する中、私はムバの選挙活動について思い出した。


「思い出したわ。この男、自分がヒレラピのクナブの父親って何度も言いながら選挙活動をしていたわ」


「もしかして……アイドルである自分の娘を餌にして票を稼いだ」


「かもね。アイドルの父親なんて強いステータスがある。皆、インパクトに負けて票に入れちゃうよ」


 父親が政治家だからか? だけど、狙われているのはヒレラピの二人。クナブだけ狙われているわけではない。だが、二人とも殺してしまえと言うこともあるかもしれない。それと、娘のクナブを殺して意味があるか? 逆にムバへの同情の声とかが集まりそうだけど。そう思っているけど、話は続いた。


「じゃあ次の話。二人のプライベートについて」


「これについてはたくさん資料があるわ」


 私は皆に見せるように、山積みにされた資料を前に出した。


「クナブさんのプライベートは結構荒いらしいわよ。夜遊びは毎日、裏では酒も煙草もやっている」


「で、偉い番組プロデューサーの人と何回もベッドインしている」


「それに、やっぱり整形もしているみたい。顔どころか、胸もお尻にもいろいろと加工しているみたい」


「探せば探すほど、クナブさんについてはいろいろと出てくるね」


 もしかして、裏で何かをしているうちにクナブさんが何か厄介なことに手を出したのだろう。それで、命を狙われる羽目になった。だけど、夜遊びで命を狙われるかどうか……うーん、もしかしたら関係者がいて、何か無礼なことをしたのかな?


「で、逆にリリオさんはプライベートでは何もない」


「出かける場所はトレーニングジム。いつも鍛えているみたい」


「それと、カラオケ店。ボイストレーニングで通っているようだよ」


「話を聞いていると、変わった二人ね」


 思わず私はこう言った。この言葉に対し、皆は頷いた。確かにそうだ。一人は仕事に熱心で真面目な子。もう一人は体を改造し、いろんな人とベッドインし、酒と煙草をたしなむどうしようもない問題児。こんな関係じゃあ、何か起きてもおかしくないわね。


「うーん……クナブさんの方だと命を狙われる理由はたくさんありそうだけど……」


「リリオさんは特に何も問題はないよね。何で狙われるのだろう……」


 そう。そこが分からない。クナブさんはまぁ理由がたくさんありそうだけど、何でリリオさんが狙われるのか? その部分はいくら考えても答えが導き出せなかった。




ヴィルソル:レッスンスタジオ


 テレビで出ているアイドルの生レッスンを見られるなんて、我は何て幸せ者だろう。と、最初は考えていた。真面目にレッスンを受けているのはリリオさんだけ。クナブさんはことあることに疲れたとか、だるいとか言っている。そのせいで、何度もレッスンが中断されているのだ。


「もう休憩しましょうよー」


「さっきしたばかりでしょ。あと一時間我慢!」


 うーむ、コーチの額に青筋が浮かんでいる。こりゃあまずいな。そんな時、ケンジがレッスンスタジオに入った。


「いやー、すみません。道に迷って……」


「コーチ、私頑張ります!」


 おいおい、ケンジにいい所を見せようとして頑張ろうって気か。どうやら、クナブさんはケンジに惚れたようだ。このまま二人が結婚すれば、また嫁が増えるな。それも、アイドルの。


「え……えーと……頑張ってね」


「はーい」


 ケンジから言葉を受け、クナブは笑顔でレッスンを受け始めた。ま、あの二人が結婚するってことはありえなさそうだな。あのケンジの様子じゃあ、クナブさんと結婚する気はなさそうだ。


 それから一時間後、休憩の時間となった。


「あーあ、私疲れたー」


 クナブさんはこう言いながら、ケンジにもたれかかった。だが、そんなクナブさんを見たリリオさんは、小さくため息を吐いてこう言った。


「クナブさん、ケンジさんが苦しそうだよ」


「チッ……分かったわよ」


 クナブさんは嫌そうな顔をして、ケンジから離れた。我はケンジに近付き、話しかけた。


「大丈夫か?」


「いきなり抱き着かれたからびっくりしたよ」


「ごめんなさい。あの子……気に入った人がいるとすぐ誘惑するの」


 リリオさんはこう言うと、すぐに後ろを向いて去って行ってしまった。何だか、ヒレラピの二人は何かありそうじゃのう……。


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