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防御は最大の攻撃なり?


成瀬:高速道路上空


 シュージィーという男は、剣地と同じように銃器で戦う男のようだ。それと、あいつはかなり分厚い鎧のような物を装備している。多分、その中に多数の武器があるのだろう。注意しなくちゃ。


「さーて、ハチの巣になっちまいな!」


 シュージィーはそう言うと、私に銃口を向けて銃を放ってきた。ここは高速道路、他の人に銃が当たるとやばいことになる! 私はその場で立ち止まり、バリアを張って奴が放つ銃を受け止めた。


「バリアを張ったか。だが、そんなもん使っても意味はないぜ!」


 クッ、銃を改造しているのだろう、奴が放ってくる銃弾の一発一発がかなり重い!仕方ない、あまり本気を出したくないけど、周りに被害を出さないためには本気でやるしかない!


「ハァァァァァ!」


 魔力を開放し、私は自分の周りに炎や水、雷を発した。


「魔力使いか……嫌な相手と当たっちまったな……」


 この言葉を聞く限り、奴は魔法が苦手のようだ。私はそう思ったけど、何故か奴は笑みを浮かべていた。


「仕方ないな! あれを使うか!」


 奴も魔力を発し、何かを仕掛けてきた。


「アンチマジックミスト!」


 なっ! スキルを使ってきた! 奴の叫びの後、周囲に紫色のような霧が発生した。なんなの……あれ?


「ついでにマジックアーマー!」


 さらに奴はスキルを使ってきた。マジックアーマー……ヴィルソルから聞いた話だと、魔力攻撃のダメージを抑えるスキルがいくつかあるという。そのうちの一つがそれだろう。名前からしてそうだもの。


「かかってきなお嬢さん。俺に勝つことが無駄だと教えてやるよ」


「じゃあ……半殺しにされても恨まないでね!」


 私は周りの火や水、雷を一斉に奴に向けて放った。だが、紫の霧のせいか、私が放った攻撃は小さくなり、奴に当たる前に消えてしまった。


「そんな……」


「無駄だと言っただろ」


 奴はそう言って、そこから一歩も動こうとはしない。くっ……挑発のつもり?


「じゃあこれならどう?」


 やけになった私は、巨大な光と闇を光線のように奴に向けて放った。やっぱりそうだ。あの霧のせいで光と闇が小さくなり、奴の所に着くまでに消えてなくなってしまう。


「はっ! 光と闇も同じことよ!」


 どうやら、アンチマジックミストというのは、魔力を弱くする効果があるようだ。まずい……相性が最悪な奴と当たってしまった。早く倒して皆の所に戻らないといけないのに!


「どうしたお嬢さん? 俺に敵わないからって逃げるつもりかい?」


 ここで逃げたら奴が追ってくる。こんな状態で戻ったらヒレラピの二人に被害が及ぶ! こいつはここで倒さないと駄目だ! じゃあどうする? あの霧をどうにかしないと。


 深く考えていると、ある考えが浮かんだ。確かに奴は魔力に対しては防御力がある。ただし、魔力に対してだけだ。一か八か、これでやってみよう!


「なっ! 剣を持っただと!」


 私は剣を装備し、奴に向かって突っ込んで行った。


「やけくそになって接近戦を挑むか! 俺のリボルバーでハチの巣になっちまいな!」


 奴はリボルバーを構え、私に向かって何発も撃った。たが、奴の銃の腕はあまり上手ではない。簡単に避けることができる。剣地やヴァリエーレさんの方がもっと上だ。


「クソ! 何故だ、何故なんだ! 何で当たらない!」


 悔しがる奴を無視し、私はあの霧の中に入って行った。確かにこの中に入ると魔力が吸い取られてしまう。だが、その前に奴の元にたどり着けばいい!私は猛スピードで飛び、奴の近くに接近した。


「こんにちは」


「なっ……」


 私は剣を振り上げ、奴に一閃をお見舞いした。


「グァァァァァ!」


 私の剣は、奴の腹に命中した。この攻撃で集中が切れたのか、奴の周囲に発生していた霧が消えた。


「しまった、スキルが!」


「スキルがないとどうしようもないのね」


 私は笑いながらこう言ったが、奴は遠くのバスを見てにやりと笑った。


「何で笑っているの?」


「知らなくていいよ。俺の役目は終わった」


「どういうこと?」


 その直後、バスの方から大きな音がした。まずい! もしかして奴は、わざと戦いを長引かせるような戦い方をした。奴の仲間がヒレラピの二人への攻撃を集中させるために! しまった……敵の手にまんまと引っかかってしまった……。


「さて、どうするお嬢さん?」


「うっさい!」


 私は膨大な魔力を開放し、奴に向かって光を放った。高い攻撃力だったのか、奴は遠くまで吹き飛んでしまった。あんな奴の心配はどうでもいい、早く皆の所に行かないと!




ティーア:高速道路上


「くっそー! 敵の数が多すぎる!」


「これじゃあ対処できない!」


「踏ん張るしかないね、これは!」


「ナルセがくるまで我らで応戦するのじゃ!」


 ケンジたちの声が聞こえる。周りには飛翔物体に乗っている連中がハエのように飛び回っている。ナルセがあいつとの戦いを終えるまで、皆で耐えるしかない。そして……私は目の前の剣士をぶっ倒すことに集中しないと!


「さて、僕の相手をする以上……あることを聞かないといけないね」


「何?」


 私から何を聞きだすつもりだ? 私はこう思っていると、奴は花の図鑑を開き、私にこう言った。


「君の墓に添える花は何がいい?」


「勝手に人を殺すな!」


 私は光を発し、奴に攻撃を仕掛けた。だが、奴は私の攻撃をジャンプで回避した。


「では、もう一つの質問を聞こう。美しく血に染まって死ぬか、無様に斬り刻まれて死ぬか、どっちがいい?」


「そのセリフ、そのまま返すわ」


 こいつの頭の中は花畑が広がっているのだろうか。カッコつければいいってもんじゃないのに。私の言葉を聞いた剣士は、軽く笑ってこう言った。


「では、僕が決めよう。君は世界一美しい剣士、グナンテによって無残に殺される!」


 あのキザなナルシスト剣士、グナンテは剣を抜いて私に襲い掛かってきた。真っ向勝負をするつもり? 勇者を相手にしたことを後悔させてあげるわ! 私も剣を抜き、奴の剣に向かって降り下ろした。刃と刃がぶつかり合い、周囲に金属音が響き渡った。


「やるね。可愛いレディかと思ったけど。殺すのが惜しくなったよ」


「簡単に人を殺すとか言ったりしないの!」


 私は奴の腹に向け、強い蹴りを放った。奴は悲鳴を上げ、後ろに倒れた。


「何だ、あんた弱いわね」


 倒れた奴に対し、私は剣先を向けた。奴は立ち上がり、私が蹴った部分を見ていた。


「僕の服が……僕に似合っている世界で最高の服が……こんな汚い靴跡……あぁっ! 後ろには汚い砂利が! こんなんじゃあ美しくない!」


「戦いに美しさも何もないわよ」


 私は奴にこう言ったが、この言葉は届かなかったようだ。奴は怒りで身が震えていた。


「貴様……貴様貴様貴様ァァァァァ! よくも僕の服を汚したな! 絶対に……絶対にぶっ殺してやる!」


 おーおー、さっきの攻撃で怒りが爆発したか、奴の顔がずいぶんと醜くなっている。これで世界一美しいとかよく言えるな。そんなこと思っている場合じゃない。そろそろ奴を仕留めないと。


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