力を一つに
剣地:VIPルーム
何とか立つことはできる。体は痛いけど、我慢できる。しかし、これ以上奴の攻撃を受けると意識がぶっ飛んじまう。
「剣地、ちょっといい?」
どう戦おうと考えていると、俺の隣にいた成瀬が話しかけた。
「どうした?」
「何度もあいつに攻撃しても、あまりダメージがないってことが分かった以上、何か手を考えないといけないじゃない?」
「確かにそうだけどさ、今考えてるんだけど」
「行くぞ!」
おわっ! 俺と成瀬が話している時に、ブレアの奴が襲ってきた。
「皆、下がれ!」
俺は盾を出し、ブレアの攻撃から皆を守った。
「ほう。剣以外にも装備はあるのだな」
「あって悪いかよ!」
俺はブレアを蹴り飛ばし、奴に向けて雷を放った。だが、俺が放った雷は奴の気合でかき消されてしまった。
「無駄なことを」
俺は舌打ちをし、奴を睨んだ。その時、ルハラが俺の肩を叩いた。
「リボルバーある?」
「あるけど……どうした?」
「一か八かの大作戦。皆のありったけの魔力をリボルバーに入れる。そいつを使って、ブレアに攻撃するの」
「何をするか分かった。俺が時間を稼ぐから、そのうちに魔力を入れてくれ」
「うん。気を付けてね」
俺はリボルバーをルハラに渡し、俺はブレアの方に向かって走って行った。
「どんな手段を使っても、この私を倒せると思うのか?」
「勝手に決めつけるな、筋肉ダルマッ!」
俺は高く飛び上がり、奴に向けて剣を振り下ろした。
「甘い!」
俺の読み通り、ブレアは片手で剣の刃を掴み、攻撃を妨害した。
「剣が効かぬということを、忘れたのか?」
「忘れちゃーいねーさ」
俺は剣先に電撃を発し、奴を感電させようとした。
「何!」
「痺れろ!」
俺は勢いよく電撃を発した。剣から放たれる電撃はブレアの体中を駆け巡るだろう。しかし、ブレアは余裕のある表情で俺を見た。
「少し効いた。だが、これしきのことで倒れる私ではない!」
ブレアは腕を大きく広げ、体内に走っている電撃をかき消した。その隙に俺は皆の様子を見た。まだ魔力を入れているようだ。
「今度こそ、貴様を地獄へ送ってやろう!」
あいつの強烈な一撃がくる! 盾では、あの一撃は防ぎようがない。仕方ない、あれを使うか。俺は大剣を構え、ブレアがくるのを待った。
「そんな剣で私の攻撃を防ぐつもりか?」
「さーて、どうだか」
奴の言葉に、俺はこう返した。俺は奴が迫ってくるのを目で確認し、大きく大剣を振り回した。この位の勢いなら、奴にカウンターの一撃を喰らわせることができる。しかし、その分俺もダメージを負うリスクがある。一か八かの賭けだ。
「な……何!」
俺の賭けは勝ったようだ。奴は俺がカウンターを仕掛けてくることが頭になかったらしい。よし! このまま大剣の一撃を当ててやる!
「ガッハァッ!」
俺の一撃は、ブレアの右腕に大きな傷を与えた。奴の右腕から、すごい量の血が流れた。
「ク……私の右腕が……」
「自慢の右腕が使えなくなったが、どんな気分だ?」
俺は大剣を地面に突き刺し、こう聞いた。それに対し、奴は何も言わなかった。だが、あいつの顔は笑っていた。
「これだけのことで余裕ぶるなよ、小僧! 貴様らのようにスキルや魔力に頼らない真の戦い方を見せてやるわ!」
ブレアはこう言うと、歯を食いしばって俺に飛び蹴りを浴びせた。凄い速さだった。俺はあいつの攻撃を受けきれず、直撃してしまった。何とかぶっ飛ばされないように耐えたのだが、意識が飛びそうになった。
「剣地!」
成瀬の声を聞き、俺は気を取り直した。
「邪魔だ、ぶっ飛べ!」
俺は再び大剣を振り回し、ブレアを追い払った。しかし、この攻撃はあいつに当たらなかった。
「やっぱダメか……」
「ダメじゃないわよ」
と、成瀬はこう言いながら俺にリボルバーを手渡した。
「ケンジ、後は頼んだわよ……」
「ありったけの魔力を入れておいたから」
「頼んだぞ、ケンジ」
ヴァリエーレさんたちは息を切らせながら、俺にこう言った。ルハラは俺の肩を叩き、笑顔を見せた。
「じゃあ……頑張ってね」
「ああ。ありがと、皆」
俺はブレアの方を向き、奴にリボルバーを向けた。
「銃で攻撃するつもりか。動き回ればそんなもの通用しないというのに……愚かな……」
「じゃあ、これならどう?」
成瀬がブレアにこう言った。その直後、ブレアは悲鳴を上げた。奴の足元を見ると、そこには無数の雷が発生していた。
「痺れていたら、動けないわよね」
「が……がぁぁ……」
「成瀬、サンキューな」
「決めてきて」
その後、俺はブレアの懐へ移動し、リボルバーを構えた。
「や……止めろ……」
俺が持つリボルバーが白く光っているのに気付いたのか、ブレアの顔面は青くなっていた。この一撃がやばいだろうと察したのだろう。
「終わりにしようぜ、マスカレードファイトを! お前の悪事を!」
俺は奴の腹に向けてリボルバーの引き金を引いた。物凄い破裂音と共に、弾丸は奴の腹に命中した。俺は残った弾丸を、奴の腹に向けて放った。攻撃を受けるたび、奴は悲鳴を上げていた。
「こ……こんなことが……私の全てが……こんな子供に……奪われるとは……」
奴はそう言うと、血を吐いて倒れた。
ヴァリエーレ:VIPルーム
ケンジの攻撃が終わった。攻撃を受けたブレアは白目をむいてその場に倒れた。ケンジは倒れたブレアに近付き、生死を確認した。
「生きているみたいだ。ただ、こんな傷じゃあもう戦えないだろ」
「はぁ……終わったわね」
私がこう言うと、皆は気が緩んだのか、その場に倒れた。
「あー……もう動きたくない。体中が痛い」
と、ルハラが小さな悲鳴を上げながらこう言った。ティーアとヴィルソルもその場に倒れ、だるそうな声を出している。しかし、ナルセだけはまだ闘志を燃やしていた。
「まだよ! あの男を倒していないわ!」
「あ……ゴベのこと……」
まずい。あの男のことをすっかり忘れていた。ゴベの奴が今どこにいるのか分からない。もし、私たちが倒れている隙に襲ってきたら……まずい。ナルセ以外あいつと戦える元気がない! 私がそう思っていると、廊下から笑い声が聞こえた。
「いやー、あの筋肉ダルマを倒してしまうなんて。恐ろしいパーティーだよ、あんたら」
最悪だ……ゴベの奴がここにきてしまった……。
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