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リバースカプセルの恐ろしい効果


ルハラ:Bフロア近くの廊下


 死んだはずの奴隷が、うめき声をあげて動いている光景を見て、体が固まってしまった。傷口からは、血のような少し固まった液体が、動くたびに流れ落ちている。


 この時、私はリバースカプセルの効果を思い出した。死んだ人を蘇らすということを。


「殺した後も奴隷をこき使うのかよ、ここの連中は!」


 私が叫んだ瞬間、ゾンビとなった奴隷が一斉に私に襲い掛かってきた。これはまずいと思い、私は飛び上がって蹴りを喰らわせた。この一撃で、ゾンビとなった奴隷の体は吹き飛び、肉片が周囲に散らばった。


「うえ、気持ち悪い」


 奴隷の肉片が付いた足を払いながら、私は周囲を見回した。まだゾンビがきている。私の声を聞いたからかな? そんな時、Bフロアから一部の観客が姿を現した。


「一体何の騒ぎだ?」


「うわっ、くっさ!」


「おいちょっと待て。何だ、あれ……さっきくたばった奴隷じゃないか!」


 観客の一人が、奴隷ゾンビに指を向けてこう言った。その時、奴隷ゾンビはその観客に向かって一斉に襲い掛かった。後ろにいた二人も、この攻撃に巻き込まれてしまった。


「うわ! 助けてくれ……ギャァァァァァ!」


「力が強くて振り切れな……うわァァァァァ!」


「嫌だ! アッ、アァッ! 死にたくな……死にたく……」


 遅かったか……。三人の観客はゾンビに襲われ、死んでしまった。私は槍を装備し、魔力を解放して風を出しながらゾンビたちに攻撃をした。


「この野郎!」


 私が放った風は、ゾンビの体を粉砕しながら壁に激突した。ふぅ、これでここら辺にいるゾンビは片付いただろう。騒動を聞きつけた他の観客が、廊下の近くにやってきた。そして、この光景を見て腰を抜かしていた。


「ヒィッ!」


「何だ、これは……」


「おい、人が死んでいるぞ! 歯形がある!」


「何でゾンビが?」


 と、次々と声を上げて行った。まだゾンビがいるかもしれないから出てきてほしくなかったのに。


 私がそう思っている時だった。死んだはずの三人の体が少し動いたのだ。


「あれ、動いたぞ」


「なーんだ。生きているじゃないか。驚かすなよ」


「大丈夫か?」


 おかしい。確かにあの三人はゾンビに襲われて死んだはずだ。それに、うっすらと魔力を感じる。もしかして、あいつらは!


「危ない! そいつらから離れろ!」


 私は観客に向かって叫んだ。私の声を聞いた観客は、一斉に三人の死体から離れた。それからすぐ、三人はゾンビとなって立ち上がった。


「おい……嘘だろ」


「まさか……ゾンビになるなんて……」


「ヒィッ! こっちにくるな!」


 仕方ない。これ以上被害を広げさせるわけにはいかない!私はもう一度槍を構え、ゾンビとなった三人に攻撃した。この攻撃で、三人の死体は粉々に吹き飛んだ。


「こりゃーまずいね」


「ど……どうすればいいんですか?」


 と、派手な服を着たおばさんが私にこう聞いた。私はため息を吐いてこう答えた。


「後ろに戻って。私がシャッターを下ろす!」


「分かったわ。じゃあね!」


 その後、他の連中は身を守るためにBフロア入口へ戻って行った。私は連中が戻ったのを確認すると、シャッターを動かした。


「さーてと、暴れますかー」


 私は周囲に集まってきたゾンビの群れを見て、気合を入れてこう言った。




成瀬:廊下


 ふぅ……暴れすぎたかな。私の周りにはボロボロになった黒服が倒れていて、壁や床、天井は焦げたり凍り付いたり痺れていたりなどでボロボロになっていた。


「おーい! ナルセー!」


「暴れすぎじゃー!」


 後ろからヴァリエーレさんとヴィルソルが走ってきた。二人は息を切らせながら私に近付き、こう言った。


「落ち着いた?」


「少しね。でも、あの男を半殺しにしないと……」


「これ以上暴れたら大変なことになる。あの男を探すのも大事だが、今はケンジの元へ戻ろう」


 その後、私たちは剣地とティーアがいる場所へ戻ってきた。剣地はティーアの治療を受けたおかげか、お腹の怪我はほぼ完治していた。


「こっちは何とか治ったぜ」


「あー……少し疲れた」


「ごめんね、治療を任せっきりで」


 二人と会話をしていると、私の耳に何か激しい音が聞こえた。


「音がしなかったか?」


 剣地がこう聞くと、皆はやっぱりと口をそろえて返事した。


「何か聞こえるよね」


「ルハラの身に何かあったのかしら……」


「心配だ。急いでルハラと合流しよう!」


 その後、私たちは急いでルハラの元へ向かった。すると、目の前に奴隷のような人たちが現れた。


「あれ……嘘だろ……」


「どうしたの?」


 ヴァリエーレさんは顔面が青くなった剣地にこう聞くと、剣地は体を震えさせながらこう答えた。


「あの人たち……試合で死んだ人たちだよ」


 その直後、奴隷の人は剣地に向かって飛びかかった。


「ケンジ、危ない!」


 ヴァリエーレさんが奴隷に銃を撃ち、追い払った。目の前でゾンビ映画みたいな光景が流れている。これは映画じゃない、現実だ。


「まるでゾンビみたい……」


「いや、あれはゾンビだ!何らかの方法で奴隷の死体を動かしたのだろう」


 ヴィルソルの言葉を聞き、私はリバースカプセルの説明を思い出した。


「まさか……リバースカプセルの力で……」


「かもな。誰かが使ったみたいだな」


 剣地は武器を持とうとしたのだが、インフィニティポーチからは何も出なかった。


「そうだ、いつもの武器はないのか……忘れていた」


「持ってきたわよ」


 その後、私と剣地は急いでいつもの武器を手にした。うん。やっぱりいつも使っている武器の方が戦いやすい。


「さぁ、行くわよ!」


 ヴァリエーレさんの声の後、私たちはゾンビとなった奴隷に攻撃しながら先に進んだ。しばらく進むと、私たち以外の魔力を感じた。


「この魔力……ルハラが近くにいるのね!」


 私がこう言った直後、何らかの理由でぶっ飛んだゾンビが、私たちの頭上を通過した。そして、目の前のゾンビが左右の壁に飛ばされた。


「あー! 皆!」


 ゾンビをぶっ飛ばしていたのはルハラだった。ルハラは私を見た瞬間に、猛ダッシュで抱き着いてきた。


「元に戻ったみたいだね。よかったー」


「ごめんね、心配かけて」


「皆も無事のようで」


 と、ルハラはこう言いながらヴァリエーレさんとティーアとヴィルソルの胸を揉んだり、剣地の股間を触ったりしていた。


「お前も元気でよかったよ」


「待て、皆。再会したのはうれしいが……」


「この状況を何とかしないとね」


 ティーアとヴィルソルの言葉を聞き、私たちはゾンビに取り囲まれたことを察した。


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