二次元オタクはオタク更生委員会へ!
俺は、気がついたら椅子に座ったまま腰を目一杯かけて天井を見上げていた。特に眩しくもなく、かといって暗くもない微妙な明るさの蛍光灯にボーーっと照らされていた。すると、自分の前にパソコンのモニターがあることを思い出す。それも、こちらを淡く、青白く照らしていた。部屋はカーテンが閉められ、隙間から早朝独特の透き通るような淡い水色の光がチラついていた。まるで、これからなにかの用事で外に出て異世界に転生しそうな某オタクヒキニートの状況だが、俺は、そんなのあるわけねぇーわと、勢いよく姿勢をねこちゃんのような立派な猫背にし、寝落ちする前の記憶を辿ろうとしながらモニターを見つめた。そしてモニターにはそれはそれは尊い可愛い美少女がいた。もちろん二次元の…
その時だんだん寝落ちする前のことを思い出してきていた。そういえば、昨日は金曜日と同時に気になっていた新作ギャルゲーの発売日だったから学校からの帰りにダッシュでア○メイトに寄ってそれをゲットし、次の日はどうせ土曜日で休みだからオールナイトでやろうと意気込んで分岐で悩んでいるときに寝落ちしたんだった。
誰に説明してるわけでもないのに詳細説明乙と自分に言い、貴重なギャルゲータイムを無駄にした喪失感が俺を襲ったが、そんなこと気にしている暇はないとばかりに分岐を再度考え始めた。
「えーっと、この娘の性格と状況を考えてこっちだな。」と分岐の選択をするとモニターの中の美少女が照れた顔をしたので心が浄化されると同時にニタッとにやけた顔で
「かわいい」とつい心の声が溢れてしまった。「キモくないし…これが正常な反応だしっ!」
と周りから見るとキモいであろう自分を脳内でで正当化しつつ。
すると、カーテンの方から「てへっ」と、さっきのギャルゲーの美少女にぴったりな声がした。カーテンを開けるとベランダがあるのだが、もしかしてこれはよくある美少女との奇跡的な出会いなのではないなのだろうか。もしや、目覚めた時からもう異世界転生しちゃってたのか⁉︎と深夜テンションのせいで若干おかしくなっている思考回路が暴走して勢いよくカーテンをオーーープゥン!
しても、だーれもいない。美少女も美少女みたいなオトコの娘もロリっ子もい・な・い!
どうやら、常日頃から美少女が降ってこないかなーという願望とギャルゲーと深夜テンションがうまーくブレンドされてモニター横のスピーカーの音声がカーテンの方から聞こえたように思えたようらしい。もう末期だわ俺。
うなだれながら喉が渇いたので何か飲みたくなり自分の部屋を出ようとドアノブをひねりドアを押し、廊下に出て、一階のキッチンに向かった。そこで水を一杯飲んで、部屋に戻ると
俺は鼻血ジェットで危うく飛んでいきそうになった。そこには、俺の椅子に座って熱心にモニターを見つめる、はだけたシャツと短いスカートを着た白銀のようなロングヘアーの美少女がいた。うそやん。嬉しさのあまり関西弁が出た。すると彼女がそれに気づいたのかこちらを向き口を開いた「やっぱりあなたオタクですね。私はオタク更生委員会所属神凪琴音です。今からあなたに対してオタク更生プログラムを実行します。」
「は?」
俺は完全に思考が停止した。