再会
「なっもしかして栞ちゃん!?」
「あっやっぱり先輩でしたか」
御剣 栞。俺が通っていた道場のところの一人娘である。
「しかし、大きくなったね。前会ったときは胸くらいまでしかなかったのに」
「それ、3年くらい前じゃないですか!」
「そうだっけ?」
「そうですよ。それはそうとして先輩、精霊科には入れなかったって言ってましたけどどうやったんですか?」
「推薦もらった」
「なっ!?」
「ま、俺の才能が認められたってことかな」
「嘘です!脅したんですか?買収したんですか?」
「馬鹿ッ!そんなことするわけないだろ!」
「えぇ~本当ですか?」
お互いに顔を見回せて笑った。そんな一つ一つが懐かしい。
「で、ですね!3年で私もとっても強くなりました!お時間がよろしければ手合わせしていただけませんか?」
「すまん、明日にしてくれないか?さっき一戦してきたばっかで疲れた」
「そうですか…」
栞はしょんぼりとしていた。無償に頭を撫でたくなる。
「じゃ、ちょっと理事長んとこ行ってくるからまた明日。食堂って中学高校共通なんだろ?そこの入り口付近で待ち合わせな。時間は、7:00でいい?」
「はい!問題ありません!」
きっと尻尾があるならブンブン振ってそうなくらいの満面の笑みを浮かべる。思わずにやけかけるが自制。
理事長室へむかう。負けたのだから部屋をかえてもらわねばならない。
「さっき風花君が着て部屋は変えなくていいって言っていたが?」
「はっ?」
部屋を変えてもらおうとしたら、これである。
――一体どうなってんだ?
「君が勝ったとばかり思っていたが、負けたのか」
「えぇ、負けましたよ」
「君、手加減してなかったかい?」
「いえ、正々堂々真っ正面から全力でぶつかったまでです」
「正々堂々真っ正面?君が?風花君はそれでも勝てそうに見えたかい?」
「一体俺を何だと思ってるんですか。別にこの勝負、勝ちにこだわる必要ありませんでしたし」
「なっ…君はそれでも男かッ!美少女と相部屋だぞ?願ってもない状況だろう!」
「それで手を出したらあんためっちゃ怒るでしょうが!」
「あぁ、そうだ不純異性交遊はいけないのだよ」
「花の学園生活から色恋とったらどうなると思ってんですか!」
「私の学園生活に春はなかったが」
「どーせ学園のアイドルとかの追っかけやってたんじゃないんですか?」
「ばれたッ!?」
「…そりゃ嫁のもらい手がいないわけだ」
「コホン、それに負けたんなら勝者に従うべきだろう?」
「はぁ…分かりましたよ…」
部屋に帰ると桜がいて、お茶を飲んでいた。
「やぁ、おかえり」
「なんで部屋を変えなかったんだ?」
「君から学び取れるものがあると思ったからだ。これからよろしく頼む」
手を出してきた。お嬢様は握手をご所望らしい。
「分かったよ、よろしく」
手を握り返した。