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精霊の戦士たちへ  作者: 遠藤ゆきな
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第七話 大岩のモリオン

ミレット「それで、ヴィネア。 そのバングルはどんな感じ?」


朝になり、シオナギで買った、魚の干物を三人分焼きながら、ミレットは聞く。


ヴィネア「そうねえ。 魔法が強くなった感じかな」


ヴィネアは左手首のバングルを太陽の光に当てる。

サンストーンが、赤く輝く。


ミレット「魔法か… ヴィネアは炎と針を出す魔法を使っていたよね。 他にも使える魔法はあるの?」


ヴィネア「…正確に言うと、今は使えない」


ミレット「?」


オルタ「ん? ごはん?」


オルタは干物の匂いで起きる。

二人は笑う。


焼いた干物とドライフルーツをワンカップ食べ、出発の準備をする。

火を完全に消し、出発する。


オルタ「俺達は、もう村に近づかない方がいいんじゃないかな」


ヴィネア「そうかもしれないけど、少し寄りたい村があるの」


オルタ「?」


ヴィネア「…人助けにもなるわ」


ヴィネアは少し悲しそうな顔をした。



正午頃に新しい村に着いた。

ミレットは看板を読む。


ミレット「大岩の村・モリオン…?」


三人は村に入る。

村をしばらく散策すると、巨大な大岩が目に入る。

村の半分程ある。


オルタ「なるほど」


大岩に近づくと、その高さにも驚いたが、それよりも大岩の下での村人達の行動に驚いた。

村人達はクワやハンマーを持って、大岩を削っていた。


オルタ「これは…?」


ミレットは休憩中の村人に話しかける。


ミレット「これは、何をしているんですか?」


村人「見て分からないか。 岩を削っているんだ」


ミレット「どうして?」


村人「…この大岩は、珍しいから今まで観光の目玉になっていたんだ。

だが最近、この大岩から…なんて言ったらいいか…なんか悪いものが出だしてな…

病気になるものが増えていったんだ。 だから、この大岩を崩すことが決定したんだが…」


三人は大岩を見る。村人達は岩の表面を削るのがやっとで、とても壊すことはできていない。


ミレット「これが、人助け?」


ヴィネア「そう。 私が…」


オルタ「俺がやる」


ヴィネア「でも、オルタ! まだ傷が治ってないのに」


オルタ「大丈夫。 なんかこの大岩を壊したら、強くなれる気がする」


ヴィネア「オルタ…… ならいい事を教えてあげる」


オルタ「?」



オルタ「みんな、ちょっとどいて」


オルタは村人達に声をかける。 村人達はオルタが剣を抜いているのを見て、大岩から離れる。


オルタ「よし。 ……ふー」


オルタは集中し、ヴィネアが言ったことを思い出す。


ヴィネア(オルタのその剣は、邪悪なものを切る聖剣。 剣の力を開放することで、本当の力を引き出すことが出来る。 強く念じなさい)


オルタ(おい、ジジイの剣。 俺に力を貸せ)


そう念じると、剣が光輝き、力がみなぎる。


ミレット「オルタは大丈夫かな?」


ヴィネア「大丈夫よ…!」


(……オルタはバルトの孫だから……)


オルタ「…いくぞ…!」


『一刀両断』


高く飛び、大岩に向かって剣を振る。


大岩が真っ二つに切れた。



どしんっと凄い音を出し、半分の岩が地面に落ちる。

岩の切れ目から、黒い霧のようなものが出て、消えた。

この光景を見ていた村人達は何も言えない。


一つの家の扉が開く。


子供「お父さん!!」


村人「! ジャン!! 元気になったのか!?」


次々に、病気の村人が治ったという知らせが届く。

村人達はオルタを囲む。


村人「本当にありがとうございます! なんとお礼を言ったらいいか…」


オルタ「そんなのいいよ」


オルタは人込みを避けて、ミレットとヴィネアの元に行く。


ミレット「凄いよオルタ!」


オルタ「ああ。 …ヴィネア」


ヴィネア「やったわね」


村人達に押される。


村人「どうしても、何かお礼をさせて下さい!!」


オルタ「……じゃあ、美味しい昼飯を」


村人「分かりました!」



村、一番の食堂で沢山の料理が振る舞われた。

久しぶりの豪華な料理を三人は喜んだ。


村長「それで、あなた方は、旅の途中なのですか?」


オルタ「まあね」


オルタは村に危害が及ばないよう、あまり答えなかった。



旅の食料を分けて貰うと、三人は村を出た。

引き留める村人達を振り返らないようにして。


オルタ「あんなにお礼をしなくても… 当たり前の事をしただけなんだから」


ミレット「あはは…」


オルタ「……ヴィネアもありがとう」


ヴィネア「ううん。 こっちもだよ」


(…魔法も戻ったんだから……)


三人は森を進む。



それを離れた所から見る男女。


??「マル、当てが外れたね」


マルギッタ「うるさい、イリュー。 お前、分かってたんだろ?」


イリュー「まあね… これであの女はかつての力を取り戻した…

彼女も要注意だ」


マルギッタ「? 他にいるのか」


イリュー「フフ… 君と……黒髪の小僧さ」


マルギッタ「くだらねえ」


二人の魔物は消える。

どこに行ったのかは、誰にも分からない。

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