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精霊の戦士たちへ  作者: 遠藤ゆきな
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第十五話 決戦! 魔王! 〈前編〉

四人はゆっくりと立ち上がる。


バゼル「…なにか、新しい力が?」


ライメイ「生まれ変わった気分だな」


チカ「…姐さん。 シャレになりません…」


ミレット「オルタ… 神様は…?」


オルタ「……」


王妃「…神はまた消えてしまった。 …もうこの世に来ることもないだろう…」


ミレット「……」


王妃「…神はお前達に新しい力を授けた。

…今すぐ、魔王を倒してまいれ!!」


ディハール「なっ!」


王妃「それだけの力がそなたらにはある」


ゴーシュ「……チッ! てめぇら! とっとと魔王を倒すぞ!

俺はすぐにでも、オリビアを探しだしたいんだ!!」


ミレット「え!? どういうこと?」


ゴーシュ「いいから、行くぞ!!」


ゴーシュはオルタの腕を掴む。


オルタ「ちょっ… 痛いんだけど…」


ゴーシュ「黙れ。 てめぇら、早くしろ!」


四人もオルタの手を掴む。


ライメイ「チカは待ってな」


チカ「はい」


オルタ「…場所は、南の一番禍々しい所……

いくよ」


オルタ達は消える。


アイラス「とうとう、魔王との決戦が…」


王妃「……」




オルタ達は魔王城のある部屋の扉の前に現れる。


オルタ「ここに、魔王がいる」


ディハールとバゼルが慎重に扉を開けようとするが、扉は開かない。


バゼル「魔力で守られている…」


ゴーシュ「それなら、突き破る。 新しく手に入れた力を一斉に放て…!」


五人はそれぞれの魔法を放つ。

扉は壊れる。


ミレット「! …本当に力が強くなっている」


ライメイ「これなら、本当に魔王を…!」


ゴーシュ「いくぞ!!」


六人は暗く窓の無い、部屋に侵入する。

その中心にいたのは、魔王であった。

五人は構える。


バゼル「お前が魔王だな」


魔王「……人間が、どうやってここまで来た…」


バゼル「今! お前を倒し、250年続いたこの南の島を支配を、終わりにさせる!!」


ゴーシュ「全力で放て!!」


五人はそれぞれの魔法を全力で放つ。

魔王は確実にダメージを負う。


しかし、魔王を見ていたオルタは、あることに気が付く。


オルタ(…違う。 効いていない。 これでは殺しきれない…

やっぱり、アイツの力が…!

行くしかない…)


オルタは瞬間移動をし、その場から消える。

精霊の戦士である五人と魔王は、オルタが消えたことに気が付かなかった。


五人は攻撃を止める。

魔王は少し、よろめいた。


ディハール「…攻撃が効いている…!」


ミレット「僕達が本当に…!」


ゴーシュ「! まだだ!」


魔王は反撃しようと、手をこちらに向ける。


ゴーシュ「奴に反撃させるな!!」


ライメイ「よっしゃ! ミレット! ディハール!

雨と風を!」


ミレット「え!?」


ディハール「…なるほど。 ミレット行くぞ!」


ミレット「…ハイ!」


ミレットは部屋に大粒の雨を降らせる。

そこにディハールが強風を巻き起こす。


ライメイ「…この環境で雷の威力は倍になる! くらえっ!!」


合体技 『暴風雨の落雷』


天井から魔王に向かって、雷が落ちる。

魔王の全身は焼け焦げる。


ゴーシュ「このまま燃え尽きろ!!」


ゴーシュは炎を放つ。

その炎を魔王の周りで燃やせるように、バゼルは土壁を作る。


合体技 『灼熱の火口』


ゴーシュ「これで終わりだ」


魔王は消し炭のようになった。


ライメイ「ああ… 勝った…!」


ミレット「……やった……!」


ゴーシュ「………… ! くっ!? これは、魔王の気配…?」


土壁の中央から闇が広がる。

その勢いで、土壁は崩れ、破片が飛んでくる。


ディハール「くっ…」


ミレット「そんな…」


お互いの姿は見えるが、部屋全体を闇が覆う。

その中央に人型の、悪魔の羽が生えた魔物が現れる。


デストロイ「フム、私の傀儡を倒すとは。

なかなか強い人間達だな」


バゼル「傀儡…!?」


デストロイ「あー、さっきの君の“お前が魔王だな”という質問。

今、答えよう。 …YESだ」


ゴーシュ「ふざけるな!!」


ゴーシュは炎を剣につけ、魔王に飛びかかる。

魔王に剣が当たる所で、魔王から放たれた闇がゴーシュを押し返す。


ゴーシュ「がっ!!」


勢い良く地面に叩きつけられる。


デストロイ「ゴーシュくん。 私は君を期待していたのだよ。

未だに、魔物でもある君だ。 今からでも力を与えようか?」


ゴーシュ「…俺には、もうそんなもの…必要ない!!」


デストロイ「そうか」


魔王は五人を見る。


デストロイ「君達には、大事な部下を沢山殺された。

その報いを受けてもらおう!」


部屋の闇がさらに深くなる。

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